大切なことは2500年前に老子が語り尽くしてる!「誰もが幸せになる方法」とは?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/12


突然だが「誰もが幸せになる方法が発見された」と聞いたら、あなたはどう思うだろう。真偽はさておき、とりあえずどんなものか興味を持つのでは?

2500年前に書かれ、読み継がれてきた「老子道徳経」(略して「老子」)。究極の幸福論と呼ばれ、ここで語られる「道(タオ)」は人間の心を真に満たす教えとして現在でも洋の東西を問わず研究され続けている。たった5000字余りの小品ではあるが、この中に人生最大の秘密が描かれているというのだから驚くほかない。

しかし原文は漢文であり、読み下したとてちんぷんかんぷん。これを分かりやすい現代語でよみがえらせたのが本書『ラブ、安堵、ピース』(黒澤一樹/アウルズ・エージェンシー))だ。著者はベストセラー『あの世に聞いた、この世の仕組み』(雲黒齋名義/サンマーク出版)でご存じの方も多い、うつ症状の一種、記憶障害を患ったのがきっかけで哲学的インスピレーションを得るようになった元広告クリエイター。幸福とか悟りとか、スピリチュアルとか宗教とか、言葉で説明するのが難しいものを分かりやすく、ときにクスリと笑える面白さで解説できることに定評がある。

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「自分」が消えると「幸福」が現れる!?

ではまず誰もが一度は耳にしたことがある「タオ」とは一体何なのだろう。本書では、

『タオ』は対象ではない
君から「自分」という境界が消えたときに明らかになる、あるがままの存在の本質、そして、それを永遠に動かし続けているエネルギー

と語っている。が、こう言われてピンとくる人にそもそもこの本は必要ないだろう。

イメージとしては人間が生まれる遙か昔、宇宙の始まりの無限のパワー。あるいは生まれたばかりの赤ちゃんの気持ち。自分も自分以外もなく、もろもろの名前も知らず、存在は存在としてある世界だ。

この一体感というか大きな愛に包まれるような幸福感、あなたもうっすらと想像できるのではないか? 人間によって名前(言葉や定義、価値や基準)がつけられなければ、そこに分離や孤独はない。そしてそれこそがタオの世界、穏やかなあるがままの境地である。タオとともにあるとは、大人の成熟で赤ちゃんの無垢を生きる…とでもいうのだろうか。

そうは言っても目の前の物 には名前がつきまくっているし、分離も孤独も不幸も山ほどあると思うかもしれない。そんな時はまず物についた名前、つまりレッテルを疑ってみてはどうか? そして折に触れ「タオ」を思い出すことこそ、幸福の第一歩である。

哲学に興味がある方はもちろん、「どうしたら幸せになれるのだろう」と日々お悩みの方、悟りや非二元、ノンデュアリティ、ワンネスなどのキーワードにピンとくる方はぜひ。人生を変える、そして長く語り合える一冊だ。

文=青柳寧子