文具メーカー・コクヨ社員が教える、アイデアがあふれ出てくるノート活用術

ビジネス

更新日:2017/3/13

「年間1億冊」。これはキャンパスノートでおなじみの文具メーカー・コクヨのノートの販売部数だ。PC・モバイル機器が普及し、オフィスのペーパーレス化が進む現代でも紙のノートはバリバリの現役なのだ。

『たった1分ですっきりまとまる コクヨのシンプルノート術』(コクヨ株式会社/KADOKAWA)では、そんなノートのプロ集団であるコクヨ社員たちがノートの活用術を解説しながら、普段の仕事で使っているノートをありのままに掲載している。

 ノートの種類は、大きく分けて横罫ノート、方眼ノート、無地ノートの3つがあるが、コクヨ社員のノートは書き込みが罫線や方眼のマス目におさまらず、文字や図式、チャート、アイデアがカラフルなペンで紙面いっぱいにあふれ出ている。スケッチブックのようにアーティスティックなイラストを描いている人もいて、どのノートも自由で創造性に満ちている。

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 ノート選びは、社内で使うか、社外で使うかで大きく好みが分かれるようだ。

 例えば、社内での企画会議やブレインストーミングでアイデアを発想したり、構想を整理したりする場合は、A4サイズや大きめのノートだ。ページの中心から書き始め、上下左右に書き込みを広げていく。ヨコ型のノートは目の配置と一緒で頭に入りやすく、PCにデータとして取り込むときにも楽なのだとか。

 取引先や顧客先など、社外での打ち合わせの際には、持ち運びや出し入れがスムーズなA5サイズの利用者が大半を占める。片手で持ったときに安定感があり、いつでも平らにページが開けるリング綴じがオススメだという。ポケットがあれば、名刺や自社のリーフレットを収納できて急な機会でもすぐに渡せる。A5サイズは見開きでコピーすると、一般的な書類で使われるA4サイズになるので後で資料にまとめやすいのも利点だ。

 また社外用では、測量野帳の愛好者も多い。測量野帳とは野外で作業を行う測量士が使うことを想定した手帳で、胸ポケットに収まるスリムなサイズ、片手で書きやすい厚めの表紙、水に濡れてもヨレない丈夫な紙が用いられており、使い勝手がよく重宝するという。



 作業ごとに何冊ものノートを使い分ける人もいる。会議の議事録など事務的な「記録(インプット)」は、文字列を箇条書きで並べやすい横罫ノート。文字では表現しづらい図やチャートでアイデアを「発想(アウトプット)」するときには方眼ノート。無地ノートはスケッチを加えたり、文字を斜めにして書いたりと特殊な用途に向くという。社員それぞれノートの特性を活かしている。

 完全なアナログかと思えば、デジタルも使いこなしている。手書きのノートをデータ化してクラウドサービスのGoogleドキュメントやスプレッドシートで管理、情報共有している人も少なくない。コクヨも無料アプリ「Camiapp」を自社開発してオフィスのIT化に一役買っている。


 その他、「基本のペンは青色、強調は赤色」「付箋でToDoリストを作る」「メモパッドをマスキングテープで貼り付ける」「ページを3分割して使う」「最初のページはインデックスを作る」「記号や矢印でマークをつける」など、すぐにマネしてみたくなるテクニックが満載だ。ノートの紙質や余白の広さ、罫線の色などにも、社員ごとのセンスや熱いこだわりが読み取れて、見ているだけでも飽きない。

 なかでも面白いと思ったのは、ある人の雑談用のネタノートだ。プライベートでちょっと気になった物事を掘り下げて調べて1ページごとにまとめているのだ。ノートを書く楽しさが伝わってきてテクニックの練習がてら、自分でもやってみようかなと、白紙のノートを開いてペンを走らせたい気持ちが湧いてきた。

文=愛咲優詩