コルク代表・佐渡島庸平「この本にひとめ惚れ」

公開日:2017/3/6

 『ダ・ヴィンチ』本誌の人気連載コーナー「この本にひとめ惚れ」から、コルク代表・佐渡島さんのひとめ惚れ本を紹介。『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』といった大ヒット作品を世に出した天才編集者・経営者が“ひとめぼれ”した本をチェック!

 

『沈黙』
遠藤周作
新潮文庫 550円(税別)
装丁:新潮社装幀室
写真:並河萬里
編集:高梨通夫

 『沈黙』は僕が文学にのめり込むきっかけとなった作品。発表50年後に、しかも海外で映画化されるようなことがあるのだから、文学はすごい。かつて遠藤氏は「核となっているメッセージが自分の意図と真逆にとらえられていた」といったことを語っていたが……。

 

『ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント』
リチャード・シェリダン/著 
原田騎郎、安井力、吉羽龍太郎、永瀬美穂、川口恭伸/訳
翔泳社 1800円(税別)
装丁(日本語版):tobufune

 役職というものが存在せず、二人一組でプロジェクトを遂行する。そんな一風変わった会社について書かれた本。「肩書き」や「上司」が存在しないと、組織はいったいどうなるのだろう? 組織を運営している者として、おおいに気になるところである。

 

『犯罪』
フェルディナント・フォン・シーラッハ/著 酒寄進一/訳
創元推理文庫 720円(税別)
装丁(日本語版):中村 聡
装画(日本語版):柳 智之
編集(日本語版):佐々木日向子

 弁護士が書いた、連作短編小説。それだけで興味をそそられるが、何よりこの本、別々の人から「おもしろい!」と絶賛の声を聞いたのだ。どれだけ面白いのか……期待値が高まる!

 

【青山ブックセンターにて彷書】

 

<プロフィール>
佐渡島 庸平(さどしま・ようへい)●1979年生まれ。南アフリカで中学時代を過ごし、灘高校、東京大学を卒業。2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、クリエイターのエージェント会社、コルクを設立。現在、漫画作品では『オチビサン』『鼻下長紳士回顧録』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『テンプリズム』(曽田正人)、『インベスターZ』(三田紀房)、『昼間のパパは光ってる』(羽賀翔一)、小説作品では『マチネの終わりに』(平野啓一郎)の編集に携わっている。
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photo=首藤幹夫