お酒の付き合いが多いビジネスパーソン必見! 取引先や上司に一目おかれるお酒選びのコツ

ビジネス

公開日:2017/3/10

『ビジネスパーソンのための一目おかれる酒選び』(江口まゆみ/平凡社)

 普段お酒をよく飲むという人の中には、ビジネス上の付き合いで飲むのがほとんどという人も少なくない。そんな人が、取引先や上司を連れて行くお店を選ぶとき、どんな料理を用意するかという点ばかりを重視して、お酒選びは二の次になっていないだろうか? もしかしたら、そのせいで大きなビジネスチャンスを逃しているかもしれない。そこで、『ビジネスパーソンのための一目おかれる酒選び』(江口まゆみ/平凡社)を取り上げ、ビジネスチャンスにつながるお酒選びのコツを紹介する。

酔っぱライター江口まゆみ氏とは?

 著者の江口まゆみ氏は自らを「酔っぱライター」と呼ぶ。酒飲みの視点でお酒と食べ物、旅についてのルポやエッセイを書いているライターだからだ。しかし、ただのお酒好きが自分の好みだけを熱く語っているわけではない。江口氏がお酒についての記事を書くために廻った国は20か国以上。さまざまな種類のお酒について取材をするために訪れた酒蔵や醸造所も100か所を超える。飲む立場と作る立場の両方を知った上で書いているから、本当においしく飲むためにはどうしたらよいかということがわかりやすい。しかも、SSI認定唎酒師(ききざけし)やJCBA認定ビアテイスターの肩書も持っている江口氏。お酒の味についてのコメントも信憑性が高い。

一般人の思い込みに切り込む

 お酒好きを自負する人の中には、間違った知識をお酒の常識だと思い込んでいる人がかなりいるようだ。だから、この本では多くの人が勘違いしているお酒の常識が指摘され、実際にはどうなのかということが細かく説明されていた。

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 例えば、瓶ビールと缶ビールと樽生では、缶より瓶入りが、瓶入りより樽生がおいしいと思われがちだが、同じ銘柄なら実は中身は全部同じ。出来立てが封じ込められ、直射日光にも当たらない分、缶ビールが最も状態がよいという。現在缶ビールに用いられている缶は、内部がコーティングされているから、ビールに金属の臭いが付くことはないし、直射日光にも空気にも当たらない。缶が他のビールよりもおいしくないとしたら、それは缶から直接飲む飲み方のせい。グラスに入れて飲めば、グッとおいしくなるはずだ。

混ぜ物=悪ではない

 ウイスキーならグレーンウイスキー、焼酎なら甲類のようになお酒を、混ぜ物の入った安くて質の悪いお酒と思い込んでいる人が多い。しかし、戦時中などとは違い、現在では、身体の害になるような怪しい混ぜ物の入っているお酒などない。実際、混ぜ物を入れることで味を引き立て、旨みを増しているお酒も多いという。それなのに、酒税法の関係で安く飲めるのだから、単に価格が高いだけのお酒を選ぶよりも、飲む人の好みに合い、食事との相性もよいお酒を上手に選んだ方が断然お得というわけだ。

スクリューキャップに惑わされるな

 最近のワインはスクリューキャップを利用しているものが増えているが、「安っぽい」とか「ワインはコルク栓のものが一番」などと思っていないだろうか? 実は、スクリューキャップは、コルクが主な原因で起こるワインのカビ臭「ブショネ」の対策のために用いられるようになったもの。オーストラリア産やニュージーランド産では高級ワインもスクリューキャップが用いられている。もちろん、スクリューキャップも万能ではないため一長一短はあるが、スクリューキャップかどうかだけでワインの味を判断するのは愚かなことなのだ。

各酒の基本知識と選び方のコツを網羅

 本の後半部分では、日本酒、ビール、ウイスキー、焼酎、ワイン、カクテルそれぞれについての基礎知識が語られている。そして、それぞれのお酒についての締めくくりとして、「◯◯の選び方」と「一目おかれる◯◯のキホン」というページが1ページずつ用意されている。お酒ごとの基礎知識の中でもさらに細かく種類分けをし、どんな料理にどんなお酒が合うかを書いているのも心強い。

文=大石みずき