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娘が「AV女優」になったらどうしますか? 親公認AV女優たちが人前で脱ぎ続ける理由

『うちの娘はAV女優です』(アケミン/幻冬舎)

 今と昔でAV女優の活動に大きな違いがあるとすれば、メディア露出の幅広さだろう。飯島愛などの例外を除き、お茶の間からは完全に切り離された存在だった過去のAV女優に対し、現在はバラエティ番組などの活動を通して、地上波での知名度を獲得しているAV女優も少なくない。テレビに限らず、グラビアやサイン会などでAVファン以外の目に留まる機会は確実に増えている。

 しかし、そこで当然の疑問が生じる。彼女たちの活動を家族は知っているのだろうか? もしも知らないのだとすれば隠し通して活動することが可能なのだろうか? 『うちの娘はAV女優です』(アケミン/幻冬舎)はAV女優であることを家族に告白しながら活動する道を選んだ女性たちへのインタビュー集である。

 どんなに知名度が高くなろうとも、人前で裸を晒し、セックスを記録される仕事を良く思う親はまずいない。だから、多くのAV女優が家族に隠しながら活動を続けている。本書に登場する某プロダクションのマネージャーによれば、「親バレ」した女優の7~8割は即引退を決意するのだという。

 それでも、活動を長く続けていきたかったり、秘密に耐えられなかったりする女優は自ら親に仕事を打ち明けることもある。自らも長くAVにスタッフとして関わり、現在はフリーライターとして働く著者は、女性ならではの目線で、そんな女優たちの話を聞きだしていく。

 娘から仕事を聞かされた親たちの反応はさまざまだ。人気単体女優の涼木愛花(仮名)の両親は驚くほどすんなり受け入れてくれたという。成宮リリ(仮名)の実家では、家族全員が彼女の作品を鑑賞するまでになり、アドバイスもくれるようになった。一方、借金苦からAV女優になった、かなで自由は、両親に仕事を認めさせるまでに激しい口論を経験する。

 涼木のように親が簡単に受け入れるケースでは、「職業差別のない物分かりがいい人たち」と思えるが、実態はもう少し複雑である。前出のマネージャーによると、親が子どもをコントロールできないため、トラブルに巻き込まれるくらいなら「AVをやらせたほうがマシ」とあきらめている可能性も高いのだ。

 親への説得材料が増えてきた、という状況もある。たとえば、吉沢明歩、みひろなどの人気女優が多数在籍した恵比寿マスカッツは女性のファンも多く、自らAV界に志望する女性たちを増やすきっかけとなった。現在でもメンバーを総入れ替えした二代目マスカッツが全国ツアーを成功させるなど、話題を提供し続けている。その他にもCDデビューを果たしている女優は珍しくなく、「有名になりたくてAVに出る」と娘が親に説明するとき、前例を挙げられるようになったのだ。

 しかし、いかなる理由があってもAV女優という職業への風当たりが弱まっているとは言い難い。2016年に引退した丘咲エミリは、しばらく親との絶縁状態を味わい、最後まで仕事を許してもらえなかった。表面上は娘を応援している親たちも、心の中では世間体を気にして葛藤しているのかもしれない。

 どうして家族などを傷つけてまでAVに出ようとするのか? 本書はそんな問いを突き詰めていく。

 桜井あゆは大阪の色街、飛田新地でトップクラスの売上を記録し、3年間という制約を自ら課してAV界に渡った。2016年3月の引退まで、「あまり好きじゃない」というセックスをこなし続け、過労や血尿を起こしながらも毎月母親に100万円の仕送りを続けていた。その意志の強さは「好きなことをして楽にお金を稼げる仕事」というAVのイメージからは程遠い。

 目先の快楽や有名願望に狂ってAVに足を踏み入れてしまう女性たちが多いのは事実だ。しかし、その一方で親ですら干渉できないほどの信念を持ってAVに出ている女性たちもいる。彼女たちのようにやり遂げたいことをどれほどの人が見つけられるのだろう? 本書は親との関係を通じて、AV女優たちの信念を露にしていくのである。

文=石塚就一



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