コツは「まるで◯◯」「like a ○○」と倒置法! フリースタイル・ラップで韻を踏むテク

音楽

更新日:2017/4/10


『フリースタイル・ラップの教科書 MCバトルはじめの一歩』(晋平太/イースト・プレス)

 テレビ番組『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)をきっかけに、お茶の間にも人気が広まっているMCバトル。MCバトルとは、DJが流す音楽に合わせて2人のラッパーが即興(フリースタイル)でラップし、勝ち負けを競う戦いのことだ。

 また、街中などで輪になってフリースタイルを楽しむ「サイファー」も流行中。「最近、駅前とか公園でラップしている人多いな~」と気になっていた人も多いはず。

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 そして「ちょっと自分もやってみたい!」と思っている人もいるだろうが、ラップをしている人たちに「仲間に入れて!」と飛び込むのは至難の業。まずは個人で勉強を……ということであれば、『フリースタイル・ラップの教科書 MCバトルはじめの一歩』(晋平太/イースト・プレス)という入門書を読んでみるのもアリ。著者はMCバトルの全国大会で2連覇の経験を持つラッパーだ。

 “教科書”という名前の通り、この本ではフリースタイル・ラップに関わる様々な練習法や上達のコツが紹介されている。初心者が読んで「なるほど!」と思えそうなのが、「韻を踏むコツ」についての説明だ。

 何も考えず韻を踏もうとすると「~だYO! ~だYO!」といったふうに、語尾が単調になってしまいがち。だが、「まるで◯◯」「like a ○○」という言い回しを使い、固有名詞を最後に持ってくると、誰でも簡単に韻を踏めるとのこと。具体的に紹介されている例は

そのうるささは まるで掃除機
もう聞いてられないぜ正直

俺は like a やくみつる
どんなディスでも ギャグにする

 などだ。本書によると、ラップでは文章の最後で韻を踏む「脚韻」を作るために、あえて言葉を倒置法にするなどして、独特の語順を作っていくことが多いそう。普通なら「俺は東京で生まれました」という文章も

俺が生まれたのは ここ東京
ラップで歌う街の状況

 と語順を換えて韻を踏めば“ラップっぽく”できるというわけだ。本書では、このようなラップのコツを紹介しながら、サラリーマンの自己紹介ラップや合コンで使えるラップとして、

商社勤務の サラリーマン
常に働くぜ 朝昼晩

酒が大好きなお調子もん
飲み干すぞ日本酒のお銚子も
今から目指すラップデビュー
そして嫁さん手に入れる

 なんていう具体例も紹介。また、「キーボードを叩く音がうるさい上司にラップで文句を言うには?」という質問に対して、

ブラインドタッチする キーボード 
気になるんですけど たたく音!

自信丸出しの ブラインドタッチ 
プライド高いの マジ丸出し!

 というような回答も紹介している。

 そのほか本書には、自己紹介ラップの作り方の説明や、「中吊り広告を見てラップする」「目の前の人をディスってみる」といった練習法、実際のMCバトルを取り上げたリリック分析、R-指定との対談なども収録。MCバトルをテレビや動画で見ている人も、本書を読めばその面白さがより増すはず。「飲み会のネタでラップをしてみたい」という程度の興味の人にも参考になる1冊ではないだろうか。

文=サカイノボル