紗倉まな「小説を書いたことで色んなことがつながった」第二作目小説『凹凸(おうとつ)』発売記念サイン会レポート

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更新日:2017/3/24


 昨年、小説『最低。』(KADOKAWA)で鮮烈な作家デビューを果たした、現役AV女優の紗倉まなさん。自身が生きるAV業界をテーマにした処女作では、性に翻弄され、葛藤する女性の生き様を描き、10~20代女性の圧倒的な支持を獲得。この秋には実写映画化も決定し、ますます話題を集めている。そんな紗倉さん待望の二作目となる『凹凸(おうとつ)』(KADOKAWA)が3月18日(土)に発売され、神保町にある書泉グランデでサイン会が開催された。

産みの苦しみを味わった

 事前の囲み取材では、「とても難産でした」と語るも、無事“第二子”の誕生日を迎えることができ、満足げな表情を浮かべていた紗倉さん。昨年の6月頃から本作の構想を練り始めていたそうだが、本格的に執筆に集中したのは12月末から。

「お正月休みと書き物休みを組み合わせて、追い込むように書きました。実質、2カ月くらいで書いたんですけど、本当に終わるのかな……と思うくらい、後半はドタバタしていました」と苦笑い。

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 また、「前作は自分の職業が題材でしたし、短編だったので区切りをつけながら書くことができたんです。でも、今回はひとつの家族を掘り下げていく長編だったので、とても難しかった。書きすぎてしまって、出来上がった原稿から何万字も削減しましたし、担当編集さんと何十回もやり取りしたんです」と苦労を滲ませた。

 今作のテーマとなったのは、“父性“と”母性“。とある母子家庭の物語を通し、ふたつの性に迫った力作だ。母親とのふたり暮らしや母親像には自身の経験も投影させつつ、作家として物語を膨らませていったという。

 並々ならぬ想いをこめた本作。「ギリギリまで作業していましたし、本当にできあがってよかったです。紙質や表紙の雰囲気にもこだわっています」と、その出来栄えには自信を見せる紗倉さん。「狙いたい文学賞は?」という問いかけには「いただけるものなら何でも」と笑いつつ、「映画化のお話をいただけたのもそうですし、小説を書いたことでいろんなことがつながったんです。だからこそ、ずっと小説を書き続けていきたいと思っています」と今後の決意を新たにした。

サイン会では泣き出す女性ファンも

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 その後始まったサイン会には、定員一杯の150名が押し寄せた。中には大きなプレゼントを持参し、紗倉さんに会えることを心待ちにしていた人も。さらに目立ったのが女性ファンの数。紗倉さんに会えて泣き出す人や、「彼氏と一緒に来たんです」と嬉しそうに語る人もおり、紗倉さんも感激している様子が印象的だった。

 処女作『最低。』の5刷も決定し、二作目『凹凸』も発売当日の盛り上がりを見るにつけ話題作となることは必至だろう。作家として好調なスタートを切った紗倉まなさん。その名はもっと大きなものになっていくはずだ。

取材・文=五十嵐 大

紗倉まな『凹凸』特設サイト