早期教育がかえって脳の発達を阻害する!? 0~5才までにするべき脳育てとは

出産・子育て

更新日:2017/4/24

 昔の子どもは、小学校に入ってからひらがなを覚えた。もちろん今だって、小学1年生は「あいうえお」から習い始めるのは変わらない。しかし今、約9割は、入学前にひらがなの読みを習得している。

入学前にひらがなを読める子89%!

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・ ひらがな・カタカナ 全て読めて書けていた 45.91%
・ ひらがなは全て読めて書けていた 21.42%
・ ひらがなは読め、半分以上の文字は書けていた 14.28%
・ ひらがなを読めるけど、数個しか書けていなかった 7.14%
・ 自分のなまえや特定の文字などのみ読めていた 9.18%
・ 文字はほとんど読めない状態だった 1.02%
・ その他 1.02%

※端数は省略させていただいております。
主婦の友社読者ネットアンケートクラブ会員によるWEB調査。全国の小学校2~6年の子どもを持つ母親。回答数98。子の性別、男の子50人・女の子48人。

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 半数近い46%の子どもたちは、ひらがなはもちろん、カタカナもすべて読み書きできる状態で入学してくる。ひらがなだけにしぼれば、67%の子が入学前に読み書きを習得していて、「読める」は89%にのぼる結果となった。小学校側は「自分の名前をひらがなで読めれば問題ない」と言っているが、もはやそんな牧歌的な時代ではないようだ。

 幼児期の家庭学習は、年々熱を帯びている。読み書き計算だけでなく「入学して困らないように」と英語やピアノなどの習い事をさせるのも一般的だ。でもそれは、本当に子どもの能力を伸ばすことにつながっているのだろうか。

幼児期からの早期教育でつぶれてしまう子も

 Sくんは1才から英語のDVDを楽しみ、2才からスイミングと英語教室に通い、3才でピアノを習い始めた。家庭では母親が文字や数字を教え、習い事の予習復習もまじめにがんばらせた。幼稚園に入ってからは、ひらがなカタカナはもちろん、漢字などの先取り学習も進めていた。当然、入学直後は「天才」とほめられたが、睡眠時間はどんどん短くなり、朝起きられない日が増えてきた。次第に「頭が痛い」「おなかが痛い」と学校を休む日が増え、昼夜逆転の生活が改善できなくなり、長期間の不登校になってしまったのだ。

 小児科医であり発達脳科学者でもある成田奈緒子さんは、そのような「優秀な子」を数多く見てきたと話す。

「教育熱心な親にありがちなのは、幼児期から習い事に、家でのお勉強にがんばりすぎてしまい、失敗するパターンです。幼児期に育てるべき脳は、そこではありません」

乳幼児期に育てるべきは「生存&本能」の脳

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人間の脳は大きく3つに分けることができる。

(1)からだの脳(大脳辺縁系、脳幹)
(2)おりこうさん脳(大脳皮質、小脳)
(3)こころの脳(大脳皮質の前頭葉)

「からだの脳」は、生命維持や本能にかかわる脳だ。呼吸、睡眠、食欲、姿勢の維持など、生きるための機能をコントロールする。「おりこうさん脳」は、言葉や手先の動き、運動能力などをつかさどる。「こころの脳」は、思考力や創造性、実行機能といった、高度な人間らしさをコントロールする脳に当たる。

 これら3つは同時に発達するわけではない。最初に発達するのが「からだの脳」で、これは5才までに完成を迎える。「おりこうさん脳」は1才ごろからじょじょに発達するが、ぐんと成長するのは小学校入学から思春期くらいだ。そしてこの2つの脳がある程度育った段階で、「こころの脳」が完成に向かう。

「眠る」ことで乳幼児期の脳が育つ

 乳幼児期にしなくてはいけないのは「からだの脳」を健全に育てることなのだ。そのためには「何をおいても眠らせること」と成田さんは言い切る。

「人間は“昼行性”の動物ですから、夜眠り、朝起きるという生活リズムを確立することで、ホルモンの分泌や自律神経のはたらきが整い、脳が健全に育つのです。そのほかにも、太陽の光を浴びて遊ぶこと、心が安心・安定していることが『からだの脳』を育てるうえで重要です」

 前出のSくんの場合、幼児期の就寝時刻は夜10時、11時。外遊びの時間もとれなかった。教育熱心な親のプレッシャーも、心の安定を奪っていたのかもしれない。

 親がよかれと思ってやっている教育が、脳の発達を阻害しているケースは珍しくない。「迷ったときの指針にしてほしい」と成田さんがいうのが、3月31日発売の書籍『はじめてママ&パパのしつけと育脳』(主婦の友社)だ。

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 あと伸びするたくましい脳を育てるためにするべきことが、0カ月〜6才ごろまで発達別にまとめられている。脳育ての新しいバイブルの誕生といえるだろう。