中年男性=「熟メン」が抱える生きづらさの実態 豊かに生きるための秘訣とは―

社会

2017/3/30

『「男損」の時代 「熟メン」が人生をソンしない18の知恵』(牛窪 恵/潮出版社)

 今は「女性が元気な時代」などとよく言われるが、本当にそうなのだろうか? もしかしたら、男性が元気のない分、女性が元気に見えているだけなのかもしれない。日本ではとりわけ40代~60代半ばの熟年男性・通称「熟メン」が生きづらさを感じているようだ。そこで、『「男損」の時代 「熟メン」が人生をソンしない18の知恵』(牛窪 恵/潮出版社)』を取り上げる。

熟メンの生きづらさは成長した時代のせい?

 日本の男性、特に40代~60代半ばの男性の幸福感は、諸外国と比べて圧倒的に低いという。彼らに共通しているのは若い時期に高度成長やバブルを経験したという点なのだが、その点では同年代の女性も同じと言える。しかし、40代~60代半ばの女性は、バブルがはじけた後も根拠のない自信に満ちあふれていて、なぜかポジティブでパワフル。男性陣とはどうも雰囲気が違う。それに対して熟メンたちは「男たるものは」とか「男の沽券に関わる」とかいう考え方が心の片隅に常にある世代。がむしゃらに働きながらもバブルがはじけたりリーマンショックを体験したりしたせいで、必死にやっても報われないことがあることはわかっているはずなのに、景気のよさも体験しているために働きすぎて疲れてしまうのだ。自分自身で「男女平等の世の中だから」と言っておきながら、心の片隅に男らしくあらねばならないという気持ちがあるから、強迫観念に駆られて苦しくなる。そこに同世代の女性たちが当然のように男らしさを求めてくるから逃げられなくなってしまうという構図がある。ゆとり世代以下ように、割り勘当然、家事も仕事も得意な方がやって当たり前とはなかなか考えられない世代だから、どうしても男性が損をして疲れてしまう場面も多くなるというわけだ。

女子力アップで自身の男性観を変えてみる

 熟メンは、忙しさのために幸福感が薄れるのは仕方がないとあきらめている部分がある。その点は「もっと自分には輝ける場があるはずだ」「もっと自分にとって心地よい生き方があるはずだ」とどんなことに対してもポジティブ過ぎる発想をする同年代の女性とは大違いだ。例えば、40代でマンションを買うとなると、女性は買った後の過ごし方を想像しながら満面の笑顔で契約書にサインをするのに対して、男性は責任感と不安とで硬い表情になりながらサインをすることが多い。もともとの発想や物事のとらえ方に性差があるからだ。それなら、男性が自分自身や周りの人にかけられるプレッシャーから解放されるためには、女性的な視点や女性的発想を取り入れればよいということになる。若い女性が好むような美魔男や細マッチョを目指してみるだけでも、自分自身の男性観が変わって楽になることも考えられる。

時間やお金を自分の幸福のために使ってみる

 中高年の男性の場合、いくら忙しく働いても、稼ぎのほとんどは家族を養うために消える場合が多い。必死に働いているのに、自分が自由に使えるお金はわずかというケースが少なくないのだ。それなら若い世代の男性も同じだろうというかもしれないが、実は状況の受け止め方が微妙に違う。若い世代はないことに慣れている世代なのに対して、熟メンたちはあることを知ってしまった世代。そのわずかな違いが閉塞感に繋がっている可能性が否めない。しかし、ただ何となく満たされない気持ちを持ち続けていても、それが自然と幸福感に変わることはあり得ない。自分自身で動いてみなければ何も変わらないのだ。実際、熟メンたちの中にも、限られた時間と少ない小遣いをうまくやりくりして、自分なりの楽しみ方を見つけている人たちがいる。この本では、趣味や副業、家庭円満のための取り組みなど、一部の熟メンたちが自分の幸福のために行っていることを取り上げて紹介している。男性が読めば、幸せな生き方をするためのヒントになるし、女性が読めば、気付かなかった男性たちの本音を知ることにも繋がる。同世代の女性たちが熟メンたちに生きづらさを感じさせている一端を担っていることに気が付けば、お互いの協力でもっと楽に熟メンが生きやすさを感じられるようになるかもしれない。

文=大石みずき