千葉雄大、大杉漣でドラマ化! ネットを感動の渦に巻き込んだ、“ゲームを介した親孝行物語”『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』

エンタメ

2017/4/1

『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』(マイディー/講談社)

 このブログ書いた人、神なんじゃないかな……。めちゃくちゃ笑えるのに、うるっと涙してしまう『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』(マイディー/講談社)。

 本作はオンラインRPG「ファイナルファンタジーXIV」プレイヤーブログの中の、「光のお父さん計画」を書籍化したものだ。「光のお父さん計画」とは、著者のマイディーさんが考えた壮大な親孝行である。

「60歳を越えるゲーム好きの父に『FF14』をプレイしてもらい、自分は正体を隠してフレンド登録。共に冒険を続け、いつの日か自分が実の息子であるという事を打ち明ける」という、オンラインゲームの匿名性をうまく使った新時代の親孝行計画だ。

 これを思いついたきっかけは、父親が胃がんになった時、「僕はこの人が死んだ時、泣くのだろうか?」という疑問が浮かんだこと。仲が悪かったというわけではない。だが、「泣くほどの思い出もない」ということに気づき、初めて自分と父がすれ違ってきた事を認識したという。

 それなら思い出を作り、仲良く笑い合える親子関係になろう! ということになったのだが、それがオンライン上というマイディーさんの発想もすごい。著者がオンラインRPGをものすごく愛しているのも、本作から伝わる。

 オンラインゲームは「作り物の世界であり、仮想空間」に過ぎない。だが、「仲間と一緒に困難を乗り越える喜び」があり、「この仮想の世界で人と人との間に生まれる『言葉』、交わされていく『想い』は間違いなく本物だ」と語る。熱い。マイディーさんのオンラインRPGに対する想いにも、胸を打たれる。その「感動」を、すれ違い続けた父親と共有したいという気持ちもあったのだろう。

 そしていよいよ、さりげなく父親にゲームを渡し、プレイヤーを一緒に作り簡単に操作方法を教えてあげて、「光のお父さん計画」が実行される。

 だが、計画は簡単に進まなかった。

 キーボードを持っておらずチャットができないため、話し掛けられると逃げてしまうお父さん。雪国の街にて、他のプレイヤーがみんなコートを着ている中、自分だけ半袖だったことを恥ずかしく思い、一時ゲームを辞めてしまったお父さん。自分の技術が未熟で仲間の足を引っ張ることを申し訳なく思い、ゲームに疲れてしまったお父さん。
様々な困難はあるのだが、その度にマイディーさんはお父さんをフォローし、冒険を続ける。

「光のお父さん計画」は息子による父親への「親孝行」なのだが、マイディーさんにも、たくさんの「気づき」をもたらした。
作中には、度々父親との現実の思い出話が挟まれるのだが、その時は理解できなかった父親の心情が共に冒険することで分かったり、「外での父親の顔」を知り新鮮な気持ちになったりと、マイディーさんにとっても、この冒険はかけがえのない時間だったと思う。

 本作は4月より放送を開始するドラマ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』の原作にもなっている。主人公のマイディーさん(稲葉光生役)を千葉雄大、お父さん(稲葉博太郎役)を大杉漣、ヒロイン役が馬場ふみか。そして、ゲームパートで光生が操作するキャラクターを声優の南條愛乃が演じる。

 実写とゲーム画面を織り交ぜながら展開するそうなので、今までにない新しいスケールのドラマになっているのではないだろうか? 『FF』ファンは必見だが、ゲームに興味がない人でも楽しめる作品になっていることは、原作を読んでいても間違いないと思う。(私自身ゲームは未プレイだが、とてつもなく楽しめたからだ!)。放送が楽しみ過ぎて、待ちきれない。

文=雨野裾