「ブルゾンちえみ with B」型婚活もあっていい!「ぽちゃ婚」「処女婚」…コンプレックスにつけ込む婚活サービスへの違和感

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更新日:2017/4/4


 婚活ビジネス市場は1000億円以上の規模であるにもかかわらず、その成婚率は1割前後だそうです。実際の打率の低さゆえに焦るユーザーと、あの手この手で結婚への希望を途切れさせたくない婚活ビジネスサイド。双方の思惑によって多種多様な婚活が登場しています。オタク婚活、スポーツ好き婚活、猫好き婚活……筆者は「土偶作り婚活」というのも耳にしたことがあります。

 過去に厚生労働省が「結婚相手の条件として考慮・重視する割合の推移」を調査した結果、“共通の趣味”を重視する/考慮する人の割合は男女どちらも7割以上でした。最も重要視されているのは「人柄」で、男女ともに9割超え。一方で男女間の差が大きく出たのが「経済力」「職業」「学歴」です。

女性は相手の職業、経済力を重視する

 ゆえに男性参加者を医師、弁護士、公務員……等々、特定の職業従事者に限った婚活は非常に多く見られます。「3高(高収入、高学歴、高身長)」は古い、いまは「4低(低姿勢、低依存、低リスク、低燃費)」だ「3NO(暴力、借金、浮気をしない)」だなどといわれますが、高身長を除いた「高」を求める女性は現在も少なくないようです。

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「いまどき男にばかり経済力を求められても!」という声もあるでしょう。女性医師をターゲットとした婚活も存在はしますが、そこに経済力のない男性が群がって逆タマを狙う……という露骨な雰囲気は感じられず、成婚例を見ると男性側もほとんどが医療従事者でした。

男女とも相手の容姿にこだわりあり!

 同調査では、男性では約82%、女性では約76%が相手の「容姿」を重視する/考慮すると答えています。美男美女を求めているわけではなく、自分の好みに合った相手と結婚したいということでしょう。

 2016年には「ぽちゃ婚」なるサービスが登場しました。同サイトには、

ぽっちゃり体型は人気がない!モテない!生涯のパートナーに巡り会えない!そんな風に思い込んでしまっているすべての人達を幸せにしたい

 とあるように、体型を気にする女性に結婚のチャンスを提供するサービスで、ぽっちゃり女性のためのファッション誌『ラ・ファーファ』とのタイアップ企画もあり、勢いを感じます。

ぽっちゃりは非モテの原因ではない

「太っているからモテない」は、自縄自縛な発想でしかありません。「痩せてから婚活する」という女性らを尻目に、ダイエットの“ダ”の字も口にしないまま「ぽちゃ女性が好きな人は確実にいるから、私はその市場を狙う」といってモテまくっている女性を筆者は知っています。太った女性専門の性風俗店もあります。以前、そうしたお店の在籍女性に取材したところ、口をそろえて「この体型が好き、という男性がいるとわかったから、自分の体型がきらいじゃなくなった」と言っていました。

 また、数年前に「処女である女性と、結婚相手に処女を希望する男性との出会いをサポートする婚活サイト」も登場し、物議をかもしました。表向きは「処女であることがコンプレックスで積極的に婚活できない女性のため」といいながら、同サイトのQ&Aを見ると「女性の人格ではなく“処女である”という点にのみ価値を見出す男性のために、該当する女性を提供する場」という側面が強いように見えます。女性のためというのは、おためごかしに過ぎません。

処女を求める男性たちの気持ち悪さ

 処女を求める男性らを「お試しお相手検索」で見てみると、年齢層は20代後半~40代が中心ですが、なかには50、60代の男性もいました。もしかすると自身も性経験がなくそのコンプレックスを軽減したいという願望があるのかもしれませんが、それだけ長く生きてきて女性を「性経験の有無」でしか見られないのだとしたら、そりゃ婚活は難航するでしょう。

 ぽっちゃり女性専門婚活はこれとは違うものの(処女専門婚活サイトが女性は無料なのに対し、ぽちゃ婚では女性も有料のため)、結局のところ「容姿や性的経験値といった、社会性や人間性とは別のところにあるものでもって、男性から女性が評価される」というところからは抜け切れず、釈然としないものを感じます。

男女逆転したら幸せな結婚になるかも?

 先述の調査では男女どちらも「容姿」を考慮・重視すると答えた人の割合が高かったものの、「ぽっちゃり男性専門婚活」などは存在せず、男女の非対称性は明らかです。もちろん「童貞専門婚活」もありません。

 どんな出会いも「きっかけ」に過ぎず、その後関係をどう育んでいくかはその人次第ですが、男性にのみ経済力を求め、女性には思いどおりの容姿や経験値を求める傾向が根強いのであれば、成婚率1割という数字も、むべなるかなという気がします。男性側は女性の才能に惚れ込み、女性は男性のルックスを評価する「ブルゾンちえみ with B」型婚活だって、あっていいと思うのですが。

文=citrus 三浦ゆえ