旅行会社勤続37年、2万人のファンクラブ会員をもつ「カリスマ添乗員」の“絶対にすべらない”京都案内

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公開日:2017/4/8


『日本一のカリスマ添乗員のすべらない京都案内』(平田進也/ PHP研究所)

 今年も各地から桜のニュースが流れる季節になった。満開のソメイヨシノも美しいが、なにかと忙しく毎年見頃をのがしてしまう人こそ、多くの種類の桜を長い期間楽しめる京都まで、足をのばしてみるのもいい。

 そんなとき、ぜひ手にとりたいのが『日本一のカリスマ添乗員のすべらない京都案内』(平田進也/PHP研究所)だ。著者の平田進也氏は、関西で絶大な人気と知名度を誇るカリスマ添乗員。本書は、そんな著者が、「京都に100回ぐらい行った人がやっと見つけたベストコースというか、1回で100回行ったくらいの満足感のあるような、そんな京都を教えて欲しい」という無茶な注文に応えた旅行本である。

「京都に行こう!」と誘われれば、たいがいの人が「行く!」と即答するくらい、京都は人々の憧れの土地だ。

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「でも、京都に行って、『なんか思っていたほど楽しめなかった…』となったとしたら、やっぱりその“行く”ことだけを目的にしてるせいじゃないかなと思うんです」と平田氏はいう。そうならないために、出かける前に「旅のテーマを決める」ことの大切さを力説するが、本書によれば、それをむずかしく考える必要はない。

「おいしいもんが食べたい」「きれいなお庭がみたい」「舞妓さんに会いたい」…まずはそんな漠然としたことから「おいしいもん」は京料理なのか、甘味なのか、とかみ砕いていけばいいのだ。

 次に、旅に「緩急をつける」。宿を豪華にするのか、食事を贅沢にするのか。食事なら、夜の本格的な懐石料理か、昼懐石で京都の雰囲気を味わうのか。本書を読むと、特に京都の旅にはプランニングが大切で、「着いてから考えればいいか」ではもったいないことに気づくはずだ。

 そして、具体的なプランに落とし込むには、まず、「目的地は『希望マイナス1カ所』くらいでちょうどいい」という。また、移動手段の比較で、京都のバス1日乗車券をぜひ購入しよう!とはいわない理由もわかりやすい。さらに、サングラスなど意外なおすすめの持ち物や、京都を満喫するコツとして「ずらし」のテクニック、「時空を旅する」発想など、さすがカリスマと思わせるノウハウが絶妙に語られ、京都の旅に引き込まれる。

 さらに、本書の後半には、9つの「平田流モデルコース」が詳しく紹介されている。「京都らしさを満喫する! 清水寺から祇園まで」「盛りだくさんな王道散歩道、南禅寺から銀閣寺」「歩かないでめぐる嵯峨・嵐山」などに加え、「御所で塩パン、のち、リッツカールトン」など、テーマを決めて、おすすめの移動手段、かかる時間やお金、観光ですべらないコツ、予約時のひと工夫、時には失敗談など、百田尚樹氏が推薦するように「読めば京都に行きたくなる! この男だから書ける、とっておきの話が満載」だ。

 旅人を楽しませるプロが書いた、これまでのものとは一味違う京都案内。読むだけでも大満足だが、そのままモデルコースをたどってみたくなる、おすすめの1冊である。

文=秋月香音