ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室。冷蔵庫の中身が変わるだけで人は変われる!

食・料理

公開日:2017/4/15

『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』(キャスリーン・フリン:著、村井理子:訳/きこ書房)

 生きていくためにどうしても毎日やらなければならないことなのに、どうもうまくできないという場合、どうするのが正解なのだろうか。例えば食事の支度。自炊するのは面倒だからインスタント食品やコンビニ食で済ます、または外食で済ますといった選択をする人もいるだろう。しかし、その選択が食事以外の生活にも影響を与えるとしたら、もっと別の方法を選ぶかもしれない。料理の仕方を覚えたことで人生が一変した女性たちの物語『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』(キャスリーン・フリン:著、村井理子:訳/きこ書房)を取り上げる。

ライター兼料理講師が書いた体験記

 著者のキャスリーン・フリン氏は、ライターでありながら30代後半でフランスの名門料理学校「コルドン・ブルー」に入学。37歳で卒業した後、アメリカに帰国してから綴った体験記がベストセラーになったという変わり種の料理家だ。そんな彼女が、料理の苦手な人を相手に料理教室を始めることになったきっかけは、とあるスーパーの食品売り場で、小さな子どもを連れながら次々とインスタント食品や冷凍食品、缶詰などをカートに放り込む女性に出会ったこと。つい、おせっかいにも「丸鶏を買ってさばいた方が断然安い」「同じお金を払えば野菜はこんなにたくさん買える」と付きまとって教えたことから始まる。「料理が苦手」なのは単に手先が不器用だからとは限らない。マスコミや食品会社の刷り込みによって、思い込みで苦手意識を植え付けられているパターンも多いのだ。

できないことができるようになるということ

 この本はアメリカのベストノンフィクション賞を受賞した作品だ。登場人物は、料理の仕方自体がわからず、料理に極度の苦手意識を持っていた10人の女性と、彼女たちを教える料理教室の講師の11人。料理初心者というよりも料理恐怖症と言った方が正しい10人が相手ということもあり、最初は包丁の持ち方から教えることになった。丸鶏の解体やスープストック作り、捏ねないパン作りといった展開はいかにもアメリカらしい内容だが、これを日本に置き換えるなら、魚をさばいて出汁を取り、ご飯を炊くということになるのかもしれない。

実話なのにドラマティック

 化学調味料とはどんなもので、天然の調味料とどこが違うのかといったテイスティングをする場面では、彼女たちがなぜインスタント食品に走っていたのかがよくわかるくだりがある。自分の味付けに自信が持てずに、画一的な味の食べ物ばかりを食べていたのだ。このクラスで学ぶ前は、冷凍のピザやインスタント食品中心の食生活を送っていた生徒たちが、インスタント食品の添加物の多さやコストパフォーマンスの悪さに徐々に気付いていく。一般的な人よりもほんの少し料理の仕方を知らなかったというだけで、常にレトルト食品や缶詰を食べることになっていた彼女たちは、基本的な料理の仕方を教わったことで生活も体形も180度変わることになる。

言い訳が生活をダメにしていた

 自分の身体が食べ物から作られているということを意識したことがあるだろうか。仕事や子育てが忙しいと、ついインスタント食品や総菜類に頼りがちだが、その状況をベストだと思っている人はそれほど多くないだろう。「忙しいから」「こっちの方がおいしいから」と言い訳して目をつぶっているという状況かもしれない。だから、ちょっとした手間をかけられるようになるだけで、食生活に限らずあらゆることに対する考え方が一変する。この料理教室の生徒は、必ずしも日本語タイトルに付けられた「ダメ女」に当たる人ばかりではないが、料理への苦手意識が無くなる中で、生き方が変わったことだけは間違いない。

ちょっとしたきっかけで人生が大きく変わる

 食べることは生きることに直結しているため、どんなものを食べるかが生き方にも影響を与える。親と同居して食事を作ってもらっていた人が一人暮らしを始めると生活が乱れたり、体形が変わったりするのも理由は同じなのだろう。丸鶏の解体まではできなくても、簡単な自炊はできるようにしておき、週の半分は自炊すると決めておいたら生活の乱れを止められるかもしれない。

文=大石みずき