予備軍1000万人…若者にも起こりうる孤独死の背景に迫る

社会

2017/4/13

『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(菅野久美子/双葉社)

 誰にも看取られず、ひっそりと息絶える孤独死。昨今、少子高齢化社会に伴いメディアなどでもたびたびこの問題が取り上げられる。日本少額短期保険協会の調べによれば、東京23区内の自宅で死亡した65歳以上の単身者の人数は2014年で2885人にのぼったという。

 社会問題化して久しいが、その実態を綴ったルポ『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(菅野久美子/双葉社)がある。各所の統計や特殊清掃業者への取材などを通して、現場からの声をまとめた一冊だ。

 著者によれば、孤独死が問題視され始めたのは2000年代後半以降。2008年に初めて広辞苑(第六版)で「看取る人もなく、一人きりで亡くなる」ことと定義されたことなどを受け、市民権を得たという。

 各所により定義も様々であるが、その意味を「異常死の内、自宅で死亡した一人暮らしの人」とする東京都監察医務院の調べによれば、1987年には男性788人に対して女性が335人。しかし、約20年後の2006年には男性が2362人で女性が1033人と、およそ3倍にも膨れ上がったとされる。

 そして、本書ではその要因のひとつに「セルフ・ネグレクト」と呼ばれる問題が取り上げられている。セルフ・ネグレクトとは「必要な食事を摂らなかったり、体調不良であるにも関わらず医療を拒んだりして、自身の健康状態を悪化させるような行為」を示す言葉で、遺体や遺品の整理を手がける特殊清掃の現場では頻繁に使われているという。

 さらに、取材により特殊清掃の現場へ同行した著者は、セルフ・ネグレクトに陥る人びとの自宅には「ゴミが散乱している」「訪ねて来る人がほとんどいない」などの共通点があったと述べるが、民生委員の見守り活動などにより高齢者がケアされる一方、目の行き届かない孤立した若者については「未知数」であると警鐘を鳴らす。

 では、孤独死を防ぐ手段はあるのか。そのひとつとして本書では、孤立死救済・回避支援アプリ「元気にしTEL?!」(NPO楽市楽画)を紹介している。月額100円からのこのサービスは、午前6時、正午、午後6時に通知されるメッセージにスワイプして反応すれば安否確認をしてくれるという代物。一定時間以上スマートフォンが充電されっ放しである場合は、登録した連絡先にSOSメールを発信してくれるという仕組みだ。

 また、有用なアプリを紹介する一方、孤独死を防ぐためには日頃から「助けられ上手になれ」と著者は提言する。ポイントは以下の3つである。

【1】自分や家族のことは隠さず、オープンにすること
【2】困ったら助けてと声を上げること
【3】その結果、人に多少の迷惑がかかるのは仕方ないと思うこと

 世代を問わず、孤独死は誰にでも起こりうる問題だ。著者は様々な統計をもとに「約1000万人が様々な縁から絶たれ、孤立している状況にある」と見解を示すが、人びとの繋がりやコミュニティの大切さを、いま一度見つめ直すべき現状がある。

文=カネコシュウヘイ