47都道府県の地元スーパーを制覇! 「サラダカンテン」「はさめず」って?

暮らし

公開日:2017/4/15

『地元スーパーのおいしいもの、旅をしながら見つけてきました。47都道府県!』(森井ユカ/ダイヤモンド社)

 最近は、日本各地でご当地グルメの大きなイベントが開かれるようになり、都心の地方自治体によるアンテナショップが賑わっている。さらに、近所のスーパーでも、流通が発達したおかげで他の地方の名産品や特産品フェアを見掛けることも珍しくなくなった。

 それでも、地元住民だけに愛され、全国展開をしていない“おいしいもの”は、どうやらまだまだたくさん存在するらしい。

 本書『地元スーパーのおいしいもの、旅をしながら見つけてきました。47都道府県!』(森井ユカ/ダイヤモンド社)の著者は、立体造形家で雑貨コレクター。30年前のスペイン旅行で、現地のスーパーマーケットを利用。当時の日本にはない“パッケージデザイン”に魅せられ、イラストにまとめたのが、世界各国のスーパー巡りの始まりだったそう。既に、日本全国のおいしいものの“顔(パッケージ)買い”も前作(2013年)「おいしいご当地スーパーマーケット」で一度達成した。本書は日本列島2巡目となる続編だ。

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 今回は、各都道府県で発祥・展開している“ご当地スーパーマーケット”で働き、地元出身の従業員さんに取材をしている。食文化のリアルな実態や、地元で愛されるおいしいものが、また新たに発掘された。それに著者が感じた「本音の“ご家庭ご当地食”と建前の“観光ご当地食”」がだんだんと、わかってくるのも面白い。

 ワンプレートで構成されたご当地料理の“スーパーディナー”も各県のページに用意されている。実家や故郷の味を懐かしむ人にも、新たに名産品を知る人にも、興味をそそる構成となっている。

 さっそく、いくつか紹介していこう。

【秋田】秋田市

ジュンサイがたっぷり詰まった一升瓶は圧巻! そして、秋田は甘いおかずが多いと聞くが、スーパーディナー「サラダカンテン」の“ほんのり甘い”とはどの程度なのか、気になるところだ。秋田犬諸越も要チェック。


【富山】富山市

写真から昆布とは切っても切れない食文化が伝わってくる。「とろろ昆布は、おにぎりには黒、お吸い物には白など調理や好みで使い分け」るそう。海産物の昆布〆は“反芻”できるほどおいしいとのこと。そして、かまぼこも食卓のおかずのスタンダード。


【三重】津市

田舎あられ(写真左側)は、なんと、丼ぶりにあられを入れて“お茶漬け”で食べるとは驚き。醤油のネーミングにも注目。「おいしいのに箸で挟めないから“はさめず”」とは!「はんぺい」は、はんぺん。


【大阪】岸和田市

泉州の田畑で育った特産品が並ぶ。スーパーディナー「紅ショウガの天ぷら」は関西ではごく普通にスーパーで扱いがあるそう。そして“だんじり”にちなんだ「泉州巻き」がご当地食のニューウェーブ。


【大分】大分市

カボスと鶏に椎茸が特産品。「ざびえる」のお菓子に異国情緒を感じずにはいられない。スーパーディナー「りゅうきゅう」と「やせうま」の謎を、ぜひ解き明かしておこう。


【東京】新宿区

最後に東京も。佃煮はもちろん、関東らしくでんぷんの弾力残るくずもち、あっさり醤油味のラーメンは、東京の味。パッケージに“日本橋”や“築地”と、しっかり地名を入れるのは、江戸からの伝統の流れなのか。


 これらの写真の前ページは、各都道府県のスーパーの従業員さんへの取材を含めた紀行文となっている。同じ県でも南北で気質が違うことや「ちくわはピンクがスタンダード」「(全国的に郷土料理とされている煮物)家で食べたことないですね。作ったこともありません」など、現地ならではの証言も飛び出す。どこの県かは、読んでからのお楽しみに。

 これから大型連休も控え、爽やかな観光シーズンを迎える。次の旅先で、あなたも地元のスーパーに寄り道してみませんか。

文=小林みさえ