日本の「幸福度」は155ヵ国中51位。ランキング上位の国々が考える「幸せ」とは?

社会

2017/4/20

『世界幸福度ランキング上位13ヵ国を旅してわかったこと』(マイケ・ファン・デン・ボーム:著、畔上司:訳/集英社インターナショナル)

 3月20日の「世界幸福デー」に国連による「世界幸福度ランキング2017」が発表された。世界155カ国を対象にしたもので、国民の自由度やGDP、政治、社会福祉などからランキング。1位はノルウェー、2位はデンマーク、3位はアイスランドと、北欧の国々が上位を占める結果となった。北欧以外では7位にカナダ、9位にオーストラリアが続き、14位にアメリカがランクインしている。それじゃあ日本はというと、ぐっと下がって51位。確かに社会福祉の点では上位の国々に比べると見劣りするけれど、GDPは負けていない。とはいえ、確かに日本人の大好きなフィンランド生まれの「ムーミン」に代表されるのんびりとした空気を北欧の人々に感じる気がする(フィンランドは同ランキングにおいて5位)。あの人生に対する余裕のようなものはどこから生まれるのだろうか。彼らと日本人とでは具体的に何が違っているのだろうか。

世界幸福度ランキング上位13ヵ国を旅してわかったこと』(マイケ・ファン・デン・ボーム:著、畔上司:訳/集英社インターナショナル)は、ドイツ人の女性ジャーナリストがそのタイトル通り「世界幸福度ランキング」上位13カ国を旅し、幸せとは何かを考察したものだ。ここでのランキングは最近100年間に実施された世界中の幸福度調査を集めてカテゴリー分けしたデータベースのこと。これを基にアイスランド、ノルウェーなどの北欧の国々と、コスタリカ、パナマなど中米の国々で計300人にインタビューを敢行している。その結果彼らが幸せを感じる理由が見えてきた。

「私たちは人生を楽しんでいるよ。まずしっかり働き、仕事が終わったら外出してとことん遊ぶ。とにかく遊ぶ時間があったら遊ぶことだね」

 これはカナダ・モントリオールに住む男性が著者のインタビューに答えたもの。彼に限らず遊びこそ人生という意見は多い。先日、日本では15時に仕事を終えて退社するプレミアムフライデーなるものが始まった。しかし、今のところあまり機能していないようだ。特に3月の最終金曜日は年度末と重なり、ネット上の意見を見ていると「こんな日に仕事を早く切り上げられるか」という人が大多数を占めている。デンマークの幸福研究家はドイツ人である著者にこう述べる。

「ドイツ人はヘンですよ。何か他のことをやろうと思えばできるくせに、常にまず義務を果たそうとしますからね」

 完璧主義で豊かさや名声を求めるというドイツ人は日本人と近いものがあるらしい。たとえ政府が主導しても、会社がいいといっても、多くの人はやるべきことをやらないと安心して退社することができない。この仕事に対する義務感が日本人を幸福から遠ざけているのは間違いないだろう。

 もちろん、仕事を生きがいに感じている人もいるだろうし、仕事だけが日本人を不幸にしているわけではない。例えば、とかく日本人は時間に厳しい。時間をきっちり守ることはもちろん、移動時間やスキマ時間など空いた時間を上手に使うと周囲に賞賛される。しばらく前には出勤前の時間や昼休みを有効活用する「朝活」「昼活」がブームになった。これこそ時間に追われる日本人を象徴しているように感じる。著者はデンマーク人やスウェーデン人、スイス人のテンポをちょっと落とした生活から、幸福を感じるためには「時間を最大限有効利用しようなどと思わないこと」と語る。日本人はまさにこの真逆をいっているわけだ。

 とはいえ、日本の風潮に逆らって遊びを第一に考えて行動したり、時間にルーズだったりする生き方を貫くことは、よっぽど心臓に太い毛が生えていない限り難しい。ということは、日本に住んでいる限り幸福を感じることはそう簡単じゃないのではないかと、少々絶望的な気持ちになってくるのだが…。インタビューに応じるオーストラリアの医師は次のように述べている。

「幸福について話すとすれば、物事すべて100%うまくいくわけではないってことだな。現状で十分満足することだね」

 海外に移住すれば手っ取り早いのだが、なかなかそういうわけにもいかない。ならば現状で感じられるはずの幸せを取り逃さないことだろう。今足りないものではなく、今持っているものに集中することも幸せの秘訣らしい。

「幸せは筋肉ですから訓練しなければなりません」

 これはコロンビアの男性の言葉。なるほど、そう簡単に幸せにありつけるものではないようだ。幸せに順応するためには多少の努力が必要なのだろう。せっかく国が呼びかけて始まったプレミアムフライデー。時間をかけて訓練すればいつか浸透する日がくるかもしれない。

文=林らいみ