IQや才能よりも大切なのは「脳の筋力」! 茂木健一郎が教える、やり抜く脳の鍛え方

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公開日:2017/5/2

 脳科学者・茂木健一郎が提唱する“新たな脳の鍛え方”を紹介した、『IQも才能もぶっとばせ! やり抜く脳の鍛え方』が2017年4月20日(木)に発売された。

 春は新しいスタートの時期。やることなすことが初めてで、何かとうまくいかないことが多いもの。「あいつは才能があるからいいよな」「生まれつき頭がいい奴には、かなうわけないよ」「自分にも特別な才能があれば」―こんなふうに、人は自らの能力の限界を感じ、無限に広がる可能性をあきらめてしまいがち。しかし、著者・茂木はそんな考えに「ノー!」を突きつける。

 茂木によると、生まれつき特別な才能に恵まれていないからといって悲観する必要はなく、脳の中の「ある要素」を鍛えればいいだけだという。それは“脳の筋力”とされる「やり抜く脳」。これを鍛えることによって、IQや才能に自信がない人でも成功にグッと近づく。同書では、その具体的なヒントを3つ紹介している。

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1. 深化したいなら「T字型人間」になれ!
 物事を深く考え、掘り下げていく行為の裏には、その思考を支える幅広い知識見識が求められる。ちょうど画びょうのように、垂直に降りていく思考という1本の針があり、そこを支える広い平面が知識見識という具合。茂木は、このように縦と横の両方のベクトルで物事をやり抜いていける人のことを「T字型人間」と呼んでいる。

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 何かをやり抜くためには、ただ井戸を掘るように前に進むだけではなく、さまざまな多様性を探りながら、脳のバランスを取っていかなければならない。このT字型人間になることが、物事をやり抜いて大きな結果を出すためには効果的だという。

2. ストップウォッチを味方につけろ!
 勉強が苦手な子に茂木が強く推奨しているのが「ストップウォッチ勉強法」。これはストップウォッチを使って、たった5分だけ苦手な勉強に挑戦してみるというもの。5分経ったらやめてもいいのだと知ると、子どもたちはやる気になる。時間を区切って、「やる・やめる」「やる・やめる」を繰り返すうちにだんだん持続力がつき、最後にはその内容も理解できるようになっていく。

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 「パッと始まり、パッと終わる」「瞬間的に集中して即座にやめる」、このメリハリが「やり抜く脳」を鍛えていくためには大切。これは大人でも同じで、たとえ5分でもいいから取り組んでみる。そして5分集中できたという成功体験が、次は10分、20分とのびていき、「やり抜く脳」につながっていく。

3. 自分と“取引”して「メタ認知」能力を手に入れろ!
 大きな結果を出して成功を手にしている人々は、自分を説得し、励ましながら、自分の目標に向かって進んでいる。これを“自分と取引する”と茂木は呼ぶ。

 例えば、「さあ、この宿題はあと5分で終わらせてしまおう!」「さあ、この本は何としても今日中に読んでしまおう!」という時に、「いやいや、それは無理でしょう!」と思う自分に対して「やってみればできるよ。もしも達成できたら、コーヒーブレイクでチョコレートを5個提供しよう!」と励ますような感じ。こうした日々の“自分との対話”によって、脳の「メタ認知」能力が鍛えられ、いつの間にか目標達成の意識が育つという。

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 同書には、成功や結果につながる脳の鍛え方、「やり抜く脳」を鍛える方法が具体的なメソッドとともに紹介されている。やる気が出なかったり、いつも三日坊主になってしまう自分に嫌気がさしている人、なかなか勉強が手につかない子どもの学習法に悩んでいる人にとってヒントになる言葉が満載。「やり抜く」力を脳から鍛えるという新たな方法を試してみよう。

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)
1962年東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。脳科学者。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職はソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。専門は脳科学、認知科学であり、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。2005年、『脳と仮想』で第4回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。主な著書として、『結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方』『もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」のつかい方』『人工知能に負けない脳』『金持ち脳と貧乏脳』などがある。

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