待望の2巻が発売!「利き蜜師」の仙道と弟子のまゆが、新たな”不思議”に挑む傑作ファンタジーを見逃すな!!

文芸・カルチャー

2017/5/1

『利き蜜師物語2 図書室の魔女』(小林栗奈/産業編集センター)

早くも「利き蜜師物語」の第2巻が発売された。『利き蜜師物語2 図書室の魔女』(小林栗奈/産業編集センター)は蜂蜜と魔術とおとぎ話……様々な要素が詰まった、どこか絵本のような雰囲気を漂わせつつ、大人も楽しめるファンタジー小説だ。そんな作風を象徴するようなカバーイラストは、イラストレーターの六七質(むなしち)さんが手掛けている。

前作『利き蜜師物語 銀蜂の目覚め』では、利き蜜師として最高位「金のマスター」である仙道(せんどう)の過去や秘密が弟子の≪まゆ≫によって解き明かされ、強大な敵との「初戦」が繰り広げられた(前回の記事はこちら)。

1巻だけ読んでも完結している作品なのだが、こちらを読んで仙道とまゆのファンになった読者も多いだろう。何を隠そう、私も仙道ファンなので、その続刊が登場したとあり、読む前からワクワクが止まらなかった。

本作『図書室の魔女』は、前作のすぐ後から始まっている。

仙道の元に、利き蜜師協会から、とある≪蔵書≫に関する依頼がやってくる。そのため、仙道とまゆは≪ベルジュ城≫という山深き城へ足を運ぶことに。

その古城には不思議な「肖像画」があった。図書室に飾られた肖像画の主は、およそ200年前、この城の当主だったレオンハルト・フォン・ゲンスフライシュ。彼は魔女の呪いにより肖像画に閉じ込められてしまったのだ。呪いを解く方法は運命の女性と出会うこと。しかし200年過ぎた今でも、レオンハルトを愛する人は現れず、また、彼が愛することもなかった。

執事のアルビノーニは魔女の末裔で、主君のレオンハルトを愛の力で救ってくれる女性を探していたのだが力及ばず。現在に至り、ついに滅びの時を迎えようとしている。

そんな時にやって来たのが、仙道たち。アルビノーニが目をつけたのは、まゆだった。彼女は13歳の幼い少女だが、利き蜜師として将来を見込まれて仙道の弟子となっている。それはつまり、普通の人間とは違う、不思議な力を持っているということ。

アルビノーニは最後の希望を託し、まゆをレオンハルトの呪いを解くために利用しようとするが……。

本作の「魔女の呪い」「肖像画に閉じ込められた男」「運命の女性の愛の力で、呪いが解ける」といったファンタスティックな内容は、「童話」のような雰囲気を感じた。一方で、それらを取り巻く「ベルジュ城の人々の想い」は「文芸」に近く、先が読めない展開も含め、読みごたえがあったと思う。それが「おとぎ話」の雰囲気を持たせつつも、大人を夢中にさせる物語だと感じる大きな要因だろう。

前作より成長したまゆの姿を見られたのも、読後の充足感に影響したのではないだろうか。そして、そんな弟子の姿を優しく見守る仙道。欲を言えば、もっと出番がほしかった……!(いや、ラストにしっかり「魅せる」ので、満足感はあったのだけれど)。

2人の物語に、ますます目が離せない第2巻。今からでも遅くない。ぜひ第1巻からどうぞ。

文=雨野裾