モテたい人は「吉田松陰」に学べ?! 元CAの結婚コンサルタントが語る「日本史」で愛される方法

恋愛・結婚

公開日:2017/5/8

『愛されたい! なら「日本史」に聞こう 先人に学ぶ「賢者の選択」』(白駒妃登美/祥伝社)

 「結婚したい」「誰かに愛してほしいなぁ~」と悩んでいる時、「そうだ、日本史を参考にしよう!」と思う方はそうそういないはず。一見、全く接点のない「愛・結婚・縁」と「日本史」。これらを巧みに融合させた日本史愛にあふれる一冊が『愛されたい! なら「日本史」に聞こう 先人に学ぶ「賢者の選択」』(白駒妃登美/祥伝社)。

 著者は元大手航空会社の客室乗務員で、現在は結婚コンサルティングの会社を経営している一方、全国各地で歴史講座を精力的に行っているという≪歴女≫の白駒妃登美さん。

 歴史上の人物の様々なエピソードから、「人から愛される方法」「開運の法則」「幸せな結婚のためのヒント」を学ぶというのがテーマの本書。「日本史おもしろ雑学」と「自己啓発書」をかけ算したような内容だ。

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「なんちゃって歴女のこじつけ論だったらつまらないな~(偉そうですみません)」と思いながら本を取ったところ、なんというか、すごく「感動した」。

 著者の日本史愛が素晴らしいのか、紹介されている偉人たちのことも好きになれるし、その歴史上の人物を通して、日本という国にも尊敬の念が湧いてくる。そんな「熱い」内容だった。どのエピソードも「それはこじつけだろ!」と思わせない説得力を感じられたのもよかった。

 例えば、「異性・同性問わず、信頼されてモテたい人」には、「吉田松陰(しょういん)」の生き方が参考になるとのこと。

 江戸後期の思想家・教育者として名高い吉田松陰。彼が後進の教育にあたった「松下村塾」は、幕末期に活躍した「維新志士」たちを多数輩出している。日本の初代総理大臣として有名な伊藤博文も通っていた。松陰は、優れた教育者だったのだ。

 なぜ彼の元から逸材が育ったのか。それは松陰が「相手の自己重要感を満たす」ことに長けていたからだという。人は誰しも、「自分のことを認めてほしい」「大切にされたい」という欲求がある。だから「自分って、大切な存在なんだ」と思わせてくれる相手には、信頼を寄せるもの。つまり、自己重要感を満たせる人は、「魅力のある人」でもあるのだ。

 松陰は弟子の吉田稔麿(としまろ)に宛てた言葉に、「足下の質は非常なり。(あなたの資質、人間性は、尋常でなく素晴らしい)」というものがある。手放しで才能を褒めているのだ。

 また伊藤博文には「周旋家になりそうな」と評価。「周旋家」とは「人と人との橋渡しが得意で、面倒みがよく、いつも動き回っている人」という意味。当時の伊藤博文は、久坂玄瑞や高杉晋作などの卓越した才能を持つ塾生に比べ、それほど目立つ存在ではなかったそうだが、それでも松陰は彼の優れた点を見抜き、しっかりと褒めている。

 松陰によって自己重要感をしっかりと満たされた弟子たちは、大いに勉学に励んだことだろう。松下村塾で育った若者たちは、明治期に入り日本の近代化に大きく貢献している。

「強運の秘訣」としては、戦国時代を生きた山内一豊(かつとよ)の妻、千代(ちよ)を挙げている。10年ほど前に大河ドラマにもなり、千代は「賢妻」としてのイメージが強いだろう。

 彼女の有名なエピソードは、夫の一豊にお金がなく、泣く泣く諦めた高価な馬を買うために、大切に貯めていた10両を渡し、無事に購入できた駿馬を一豊の上司である織田信長が見初め、一家来に過ぎなかった一豊が出世する足がかりを作った……という逸話(簡潔にまとめたので、詳細を知りたい方は本書を)。

 この時、千代は、「その馬さえあれば信長様の目に夫が留まるかも」と計算していたわけではなく、「単純に運が良かった」だけでもない。千代が惜しげもなく10両という大金を夫に渡したのは、千代はいかなる時も「夫のために精一杯、≪今≫できることをする」女性だったのではないかと白駒さんは述べる。そしてそれこそが、「強運の秘訣」なのだ。

 運のいい人の共通点の一つに、「不確かな未来に対していつも積極的」というのが挙げられるという。誰にも分からない未来を「どこまで信頼し、積極的になれるか」。千代はその積極性があり、それが夫の出世に。ひいては「賢妻」の称号を得ることにつながったのだ。

 この他、坂本龍馬、真田幸村、豊臣秀吉、福沢諭吉などなど、様々な偉人の「生き様」が「生き方」を教えてくれている。日本も、日本史も大好きになる、今までありそうでなかった一冊ではないだろうか。悩んだ時、迷った時、何度でも読み直したいと思う。

文=雨野裾