又吉も絶賛! 佐久間一行がTwitterで更新した「ふでばこ君」がついに書籍化!

エンタメ

2017/5/9

『ふでばこ君』(佐久間 一行/幻冬舎)

 ピン芸人の佐久間一行、またの名を“ほんわか王子”。その誰も傷つけない優しさと、癖になる独特の世界観で多くのファンを魅了し、R-1ぐらんぷり2011の優勝者となった彼が、Twitter上で「ふでばこ君」という作品を連載していたことをご存じだろうか。

 簡単にあらすじの紹介をする。主人公のふでばこ君は、突然空から降ってくる三角定規やペンのせいで形が変形してしまう。泣きそうになっているふでばこ君を“はさみ鳥”が助けに飛んできて、その後ほかのふでばこ仲間と合流。そんな三人が目の当たりにしたのは、雲の上から文房具軍が文房具を次々と投げ捨てる姿であった。

 なぜそんな酷いことをするの? ふでばこ君たちは正義の心で文房具軍に立ち向かい、その謎に迫っていく。

 うーん、さっくん(佐久間一行の愛称)らしい、ほんわかメルヘンストーリー! 可愛らしい絵柄のふでばこ君がTwitterでアップされるたび喜んでいたファンの方も多いはず。今回は、そんなTwitterで不定期連載されていた絵がまとめられ、幻冬舎から「ふでばこ君」という一冊の本として出版された。ほとんど絵だけで進むためテキストは少なめであり、親子揃って読むにもぴったりの絵本なのではないのだろうか。全800ページ重さ1キロという重量級ながら、パラパラマンガのようにぐんぐんと読み進められるので、読了時間は10~15分といったところだ。

 ただ、この本の魅力は、“可愛い”だけではない。むしろそういった可愛い雰囲気の中で描かれるからこそ、現実的なメッセージが浮き出てくるのだ。この作品では、文房具軍が「お前らさえ出てこなければ文房具がこんなに使われなくなることもなかった」と言って電子文具たちを虐げる場面がある。読みながら、「そういえば、最近あまり文房具を使わなくなったかもなあ」なんてギクリとしたり……(現に、今もパソコンでこの記事を書いてるし)。

 文房具に限らない。書籍でも、「電子書籍のせいで紙の本が売れない!」と嘆く人たちはたくさんいる。

 でも、本当に、そうなんだろうか。作中では、ふでばこ君たちが「互いのいいところをわかっていっしょにやっていけばいいじゃないか」と文房具軍を諭す場面がある。お前が悪いんだと言い合いをするよりも、こうやって共存の道を探っていきたいなあ、なんてしみじみと感じる場面である。なんだか、この絵本自体もTwitterという電子の世界でウケて紙の書籍になっていて、この作品のメッセージを示唆しているような気がしてしまうのだが……それは考えすぎだろうか。

 ちなみに「ふでばこ君」の存在は、Twitterで不定期連載していた頃から芸人たちの間でも話題になっていた。今回の出版に伴い、ピースの又吉やウーマンラッシュアワー村本、しずる村上、LLR伊藤など、多くの芸人たちがその作品の魅力について帯にコメントを寄せたり、自身のブログやTwitterで賞賛している。

 とにかく、全編通して、佐久間一行のあたたかさが伝わってくる素敵な絵本。さっくんファンも、さっくんを知らない人たちも、必ず読後はほっこりとした気持ちになるに違いない。

この面白さ、伝われ~。

文=園田菜々