「体重70キロ超え、歩く姿は二足歩行の豚、美人憎しの陰気なブス」だった著者の人生を変えたのは?

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更新日:2017/5/15

『「美人は性格が悪い」って本当!? ブスが美人に憧れて人生が変わった話』(フジコ/大和出版)

 「私はブスでした。そして性格はもっとブスでした」。こんな書き出しでツイッターに投稿した「落書きマンガ」が反響を呼び、ついに書籍化された『「美人は性格が悪い」って本当!? ブスが美人に憧れて人生が変わった話』(フジコ/大和出版)。著者・フジコ氏は、現在、趣味のアクセサリー作りをいかして雑貨店を営む「美人に憧れている元ブス」である。フジコ氏は世にも恐ろしい「ブスの輪廻」から、どのようにして抜け出すことができたのか? 赤裸々でポジティブな体験談だ。

「20代の綺麗盛り」だというのに、「体型同様、日々の生活もとてもだらしないものだった」と自身の日常を語るフジコ氏。床に脱ぎ捨てた昨日の服を着て、ムダ毛の処理が面倒だから毎日ズボン(ウエストはゴム)、寝ぐせがついた髪にノーメイク、誰とも話さないからと歯磨きも忘れるという通勤スタイルだったそう。会社のお昼はカップ麺と菓子パンで済ませ、SNSやスマホゲームに昼寝。ランチに出かける女子たちが本当はうらやましいのに、誰も寄せ付けないオーラを発して、傷つかないように自己防衛。「でも、だって、どうせ」が口癖で、美人が大嫌いという「外も中も、ひねくれて、こじらせきったブスのお手本」だったという。

 転機となったのは、ツイッターで知り合ったアニメ好きな「腐女子」のオフ会だった。集まったのは、なんと美人ばかり! 存在を消そうと固まる著者を、美人たちが、ユーモアと知性と優しさでリラックスさせてくれたおかげで、「人と話すのが楽しい」「また話したい」という初めての経験をするのだ。

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 オフ会で出会った美人を観察し、美人には共通点があることを発見。美人とは外見の美しさだけでできているものではなく、「自分も周りの人も大切にして、人を幸せにできる人」なのだと気づく。そして、ブスだから損をしていたのではなく、ブスを言い訳に何もしなかったから損をしていたのだと思い至ったという。こじらせきった心を開き、本来の素直な人柄を引き出してくれたのは、なんと「美人」だったのだ!

 まずは美人の共通点「お礼を言う」「人を褒める」「自分に手間をかける」を真似してみることに。するとランチ仲間ができ、職場の居心地がよくなり、素敵な服を着たくなって20キロのダイエットに成功。人と話すのが楽しくなったおかげで、イベントでハンドメイドアクセサリーを頒布し、そこから雑貨店のオーナーになる道が開けていく。これはまさに「美人の輪廻」!

「本当に欲しかった物は見た目の美しさではなく、自信と友達だった」と気づいた著者の、外見と共に内面もどんどん進化していき、人生が好転していく様子は爽快だ。「ブスのおいたち」から「元ブスになる」までと、とにかく「ブス」のオンパレードだが、思考や心情がリアルに伝わってくるところも本書の魅力だ。

文=泉 ゆりこ