丼ものってこんなに作れるんだ……! アイデア満載の丼ものが楽しめる、ラブコメグルメ漫画【作ってみた】

食・料理

公開日:2017/5/16

『どんぶり委員長』(市川ヒロシ/双葉社)

 あったかいご飯の上に豪快におかずをのせた、「どんぶり」メニュー。牛丼や親子丼、海鮮丼、ローストビーフ丼など、種類も値段も様々で、今や男性だけでなく、幅広い層に人気がある。そんな魅力的な「どんぶり」メニューが各話に登場する、『どんぶり委員長』(市川ヒロシ/双葉社)というグルメ漫画がある。先日最終巻の4巻が刊行されたばかりの本作品は、あることをきっかけに「どんぶり」の魅力の虜になった「委員長」が、主人公・吉田に様々などんぶりメニューの開拓、調理を命じるという、ちょっと変わったラブコメディ。

 目の前にある美味しそうな食材を「どんぶりにしたら……」と妄想し、吉田に命じずにはいられない委員長は、普段はクールで、至って真面目。それだけ、吉田の作る料理が魅力的だということなのだろう。そこで、本作に登場する「どんぶり」メニューの中からいくつか作って食べてみた。

■「こってり&さっぱりのコロッケ2食丼」(1巻 2杯目)


 まずは、買い食いをしていたところを見つかった……と思ったら、「見逃してほしい?」「だったらこのコロッケでアタシにどんぶり作りなさいっ!!!」と命令されて作った「こってり&さっぱりのコロッケ2食丼」。

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 どんぶりにご飯をよそい、半分にバター、半分に刻みのりを置いて、上に千切りキャベツをのせる。その上に一口大に切ったコロッケをのせ、バターをのせた方にウスターソースとマヨネーズ、のりをかけた方に大根おろしとポン酢をかけ、ねぎを散らせば完成!

 1つのコロッケで、こってりとさっぱりの2種類の味が楽しめる、お得感満載のどんぶり。委員長は、初めて作らせたこのどんぶり以降、味をしめたのか、何かにつけて吉田にどんぶりを作らせるようになる。

■「秋ナスはステーキにして委員長だけに食わせろ丼」(2巻 14杯目)


 続いて、「秋ナスはステーキにして委員長だけに食わせろ丼」。ある日、美味しそうな茄子が売られているのを見つけて、どんぶりにしてもらおうとワクワクしながら調理室へ向かった委員長。しかしそこには、なんと先客が……! 嫉妬した委員長が、「アタシだけのためにナスでどんぶり作ってよ!!!」と言って作らせたのが、このどんぶり。

 にんにくを牛脂で炒め、そのフライパンで、切れ目を入れてレンジで加熱した米茄子を焼く。ウスターソースで味付けし、ご飯に盛りつけてパセリとバターをのせれば完成。

 米茄子のジューシーさ、にんにくとバターの食欲を刺激する味、少し焦げたウスターソースの香ばしさがたまらない一品。肉も魚も使っていないのに、食べ応えもしっかりとある。即席でこんなものを作れるなんて、委員長が吉田を独り占めしたくなるのも頷ける。

■「サプライズカレーマボチ丼」(4巻 31杯目)


 最後は、委員長が自身の誕生日に、「アタシのためにサプライズでどんぶり作ってくれる!?」とふっかけてきた難題でできあがった「サプライズカレーマボチ丼」。合いびき肉をフライパンで炒め、麻婆豆腐の素、豆腐、カマンベール入りチーズ、カレー粉を加えて煮込む。ご飯の上に麻婆豆腐を盛りつけ、黄身に穴をあけた生卵をレンジで加熱した半熟卵、ねぎをのせればできあがり。

 一見ただの麻婆豆腐丼なのに、カレー味で、チーズ、卵ともよく合う……っ! 食べてその工夫に気付く、まさに“サプライズ”などんぶり。

 次々と登場する、斬新かつ美味しそうな「どんぶり」メニュー。そして丼ぶりを介して深まっていく、吉田と委員長の仲。途中、ライバルが登場したり、イベント事やデートもあったりと、2人の関係からも目が離せない。

 この『どんぶり委員長』には、既存のどんぶりの常識を覆すようなレシピも多数掲載されている。「そんな組み合わせあり得ない!」「それをどんぶりにするなんて!」と思うものでも、実際にやってみると結構どうにかなるらしい。吉田や委員長を見習って、新しい組み合わせに果敢にチャレンジしてみたい。

文=月乃雫