3か月連続刊行中! 元サラリーマンの幼女が戦場で戦う『幼女戦記』がやっぱり面白い!!

アニメ・マンガ

2017/5/19

『幼女戦記』(東條 チカ、篠月しのぶ、カルロ・ゼン/KADOKAWA)

 2017年1月から3月にTVアニメ化され、大人気となった『幼女戦記』(東條 チカ、篠月しのぶ、カルロ・ゼン/KADOKAWA)。可愛い外見とは裏腹に、狂気をはらんだ超合理主義のターニャ・デグレチャフが主人公の本作品は、戦争と魔法のある中世ヨーロッパのような世界が舞台の物語だ。

 主人公はターニャとして生まれる前、現代の日本で管理職のサラリーマンとして出世街道を歩んでいた。しかし部下の恨みを買ってホームから突き落とされ、さらにはそこで出会った神の存在を認めず怒りを買い、「非科学的な世界で 女に生まれ 戦争を知り 追いつめられるがよい!!!」と恵まれない孤児として転生させられてしまったのだ。しかし前世の記憶をそのまま持ち、サラリーマン時代に培った処世術で、神(彼曰く、存在X)に屈することなく生き延びていく。

 本作品は、元々は小説投稿サイト「Arcadia」にて連載されていた小説が原作だが、コミカライズ版が5巻まで電子書籍化され、現在各電子書店にて好評配信中。現在3ヵ月連続で刊行されており、6月には6巻も発売、電子書籍も配信予定となっている。コミックス5巻では、ターニャがいる「帝国」の国境を侵犯した「ダキア大公国」への報復として、ターニャ率いる航空魔導大隊で迎え撃つ場面が描かれている。戦術で圧倒的に有利な帝国側は、空から一方的な攻撃を仕掛けてダキア大公国の軍に圧勝。そのまま、兵器工廠を爆破した。

 その圧倒的有利な立場にある戦いを命じられた時の、ターニャの「誕生日プレゼントだ」と喜ぶ姿は、とても戦争に向かう前の子どもの姿とは思えず、エリート将校のレルゲンに恐怖を与えるほど。もちろん、アニメでもインパクト大だった、ターニャのあの“年相応の警告”シーンも描かれている。

 そんな、軍人として優秀すぎるくらいに優秀なターニャだが、大活躍しすぎて、相変わらず自身が望む安全な後方勤務はなかなか叶わない。それどころか、休む暇もなく次々と前線に送られてしまう。しかしエリートであり続けるためには、それを断るわけにはいかない。

 そんなジレンマに心の中で叫びながら、それでも戦争で最前の道を部下に示し、勝利へと導くターニャの様子を、存在Xはどう見ているのだろうか。6巻以降の軍人としての活躍、そしてターニャ自身の戦いも気になるところだ。

 また、3巻以降のコミックス巻末には、本作を手掛けている漫画家・東條チカ、コミックス装丁とロゴデザインを手掛けるグラフィックデザイナー・沼利光、TVアニメ版のターニャの声を演じた声優・悠木碧などのインタビュー内容や、脚本家の大塩哲史が語る『幼女戦記』の悪魔的魅力など、ファンならぜひとも読んでおきたい読み物ページも充実している。

「戦争」という重く難しいテーマを扱っている本作品だが、画風の切り替えやターニャの「楽をして生きたい」という一心で突き進むある意味前向きな姿勢、魔法を取り入れた爽快な戦闘シーンのおかげか、テンポよく進んでいくので読みやすい。戦争ものにあまり馴染みがない人でも楽しめる、それでいてただのロリコンホイホイではない、「戦争」と「幼女」を見事に掛け合わせた作品だ。

 紙本も電子書籍も現在ベストセラーとなっている本作。アニメを観ていた人も、原作ファンも、まだ『幼女戦記』を知らない人も、コミック版でもぜひターニャの華麗かつ潔い合理主義っぷりを楽しみ、そして時々垣間見せる、戦争という愚かな行為を嘆く彼女の思いを感じてほしい。

文=月乃雫