「好調を続ける企業」と「失速する企業」の分かれ道は? 飛躍を続ける会社の法則とは

ビジネス

公開日:2017/5/26

『好調を続ける企業の経営者はいま、何を考えているのか 新進リーダーたちが狙う次の一手』(鈴木博毅/秀和システム)

 好調を続ける企業と、失速する企業の分かれ道はどこにあるのだろう。製品もサービスも飽和状態を迎えているなかで、次の一手どころか、目の前さえ見えないという経営者も決して少なくはない。だが、そんな情勢の中でも、飛躍的な成長を成し遂げる企業はある。高成長を続ける企業はこれから先に何を見すえているのか。もし、企業の成長力を持続させる方法があるならば、誰もが知りたいはずだ。

好調を続ける企業の経営者はいま、何を考えているのか 新進リーダーたちが狙う次の一手』(秀和システム)は、『「超」入門 失敗の本質』(ダイヤモンド社)などで知られるビジネス戦略コンサルタント・鈴木博毅氏が、“飛躍を続ける会社の法則”に切り込んだ1冊。鈴木氏は、3年で売上5倍にまで成長した東大初のバイオベンチャー・株式会社ユーグレナ、求人情報メディア事業「バイトル」等を展開し、5年間で株価が68倍になったディップ株式会社など、あらゆる業界で日本経済を牽引する8社の企業トップに取材を敢行。成長を継続できる環境を実現している企業の目指す方向には、あなたの会社と相違点があるはずだ。この本には自分の会社に何が足りないのか、どうリーダーシップを発揮すれば企業を成長へと導くことができるのかそのヒントが詰まっている。

 そもそも企業の成長力を維持するには、何よりも戦略が重要だ。成長企業は「新しい顧客を開拓する」ことを拡大の源泉にしている。一つの企業として成長を続けながらも「過去と同じことをしていない」。つねに新しい顧客を生み出すために、「新業態を打ち出す」「業態を変更する」ことを計画的かつ継続的に実行できるのが成長する企業の特徴といえるだろう。

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 例えば、株式会社ユーグレナは、世界で初めてミドリムシの食用屋外大量培養に成功しながらも、当初は事業化と収益化の目途が立たず、極めて厳しい状況にあった。それを転換できたのは、伊藤忠商事の受注を獲得できたことで生まれた信用が大きい。だが、そこにとどまることなく、「バイオ燃料にも向いているのでは」という外部からの指摘を柔軟に受け止めて同社は探究。その結果、「2020年にミドリムシのバイオ燃料で飛行機を飛ばす」という壮大な目標を掲げる、現在のエネルギー・環境事業へと展開したのである。

 人材情報メディア事業で知られるディップ株式会社が創業当初提供していたのは、コンビニに端末を置き、消費者が資料請求をするとカタログが無料で届く「無料カタログ送付」サービスだった。このアイデアは冨田英揮社長が、「父親の英会話スクールの集客で、一番反響のあったパンフレットのラック」からヒントを得たもの。次の事業の転換も、「無料カタログ送付」でもっとも反響が大きかった人材派遣業界に注目して求人情報サービス「はらたこねっと」を立ち上げたことにある。ディップ株式会社は、旧事業の内容や特長を変更するのではなく、その事業で得た発見を活用して新事業へ転換することで、継続的な成長を実現してきたのだ。

 過去に強みを持っていた会社は、自社に不利をもたらす新たな流れに目をつぶりがちだ。しかし、成長を続ける企業は、自社にとって都合の悪い新たなトレンドをすぐに認識し、追い風に変えていく。この本は、次の一手が打てるリーダーになるためのバイブル。勢いのある企業に学び、あなたの企業の次の戦略を改めて考えてみてはいかがだろうか。

文=アサトーミナミ