「雇ってもすぐ辞めてしまう」「いい人材が来ない」悩める採用担当者へ―求人広告のプロが明かす、すごい採用術

ビジネス

公開日:2017/5/31

『超採用力』(廣田さえ子/リンダパブリッシャーズ)

 「雇ってもすぐ辞めてしまう」「いい人材が来ない」と、人材紹介の斡旋料や求人広告費だけが積み重なり、採用に疲れてしまっている経営者や人事部のみなさん、朗報です!

「採用って、本当は楽しいことなんです」

超採用力』(廣田さえ子/リンダパブリッシャーズ)は、求人広告業界一筋24年、伝説的な実績を出している著者が「採用術」の手の内を明かした一冊だ。

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 本書では著者の廣田さえ子さんが実際に手掛けた求人広告を紹介しつつ、自身の経験談とテクニックを惜しげもなく公開している。

 読んでいて一番の感想は、とにかく、廣田さん、熱い。「人を採用する」ということに、とてつもない情熱があり、本気で「たったひとりの採用が会社を大きく成長させる」ということを信じている姿勢が、採用の技術の他に、「仕事への向き合い方」としても勉強になった。

 また、言葉選びのセンスや「人が集まる求人広告」を作るための≪発想力≫も「なるほど、これなら求人に応募したくなる!」と舌を巻くものばかり。

「汗もしたたるいい男」というキャッチコピーは、とある畳メーカーのドライバー募集の求人広告に使用されたものだ。

 その会社は埼玉県の不便な立地にあり、畳や襖を運ぶために「重労働」というマイナス面ばかり目立ち、中々求人の応募がなかった。

 廣田さんは徹底的にヒアリングを行い、結果、職種を「配送ドライバー」から「ルートセールス」に変更した。仕事内容を詳しく聞いているうちに、畳を運ぶだけではなく、お客様のお宅に伺い、家の中に入ってする仕事のため、コミュニケーション能力も必要であり、ある種の「サービス業」だと感じたからだ。配送ではなく、営業職にターゲットを変更することで、新しい人材を呼び込もうとする狙いもあったとか。

 さらに、仕事を探している人にとって、一番ネックになっているだろう「重労働」というマイナス面を、どうやって伝えるか。

 そこで例のキャッチコピー。

「体力的につらい仕事を、ユーモアのある言葉で包んだ上で、どこにやりがいがあるかを伝えました」とのことだが、確かに、この言葉なら「身体を動かす労働」なのをしっかりと伝えつつ、「なんか、カッコイイ」と仕事に対するプライドのようなものも感じられる。

 本書では、「採用をする側の意識の問題」にも鋭く切り込んでいる。人手不足を補えれば「誰でもいい」は経営者としてNGワード。また、「売り上げを〇〇増やしたいから経験が5年以上ある営業が3人ほしい」といったように、経営者は物事を数字で捉えがち。

 しかし、そんな相手の顔が見えない「のっぺらぼう」の求人ではなく、「その人にどんな役割を担ってほしいのか、何を任せるのか、どのポジションについてもらうのか」「御社にいま足りない人、こんな人がいたらいいなと思える人を具体的にイメージして人を採りにいく」ことが大切だそうだ。

「採用」でお悩みなら、この一冊。オススメです。

文=雨野裾