海辺の町を舞台に描かれる家族4人のひと夏の物語――『東京バンドワゴン』小路幸也最新作!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/12

『東京バンドワゴン』シリーズで知られる小路幸也の最新作『風とにわか雨と花』が、2017年5月29日(月)に発売された。

同書は、メフィスト賞受賞作家の小路が描く“ひと夏の家族物語”。海辺の町を舞台に、専業作家を目指す父・博明、仕事に復帰した母・恵里佳、小学6年生の姉・風花、小学4年生の弟・天水(あまみ)の親子4人の心の機微を鮮やかに描き上げている。

僕が九歳、風花ちゃんが十二歳になった四月にお父さんとお母さんは、リコンした。どうしてかって訊いたら「今は説明してもわからないと思うので、言わない」ってお母さんは言った。
すこしだけ悲しそうな顔をしていた。
あ、お母さんは悲しいんだってことぐらいは僕にだってわかる。そして悲しいのはリコンしたからだってこともわかる。それならどうしてリコンするんだろうって不思議に思った。悲しくなることなんかしなきゃいいのにどうしてするんだろうって。本文より

父と母、姉と弟、それぞれ4人が胸に抱える思いとは…。「きっと、幸せなんだと思う。遠く離れていたって」―。ベテラン作家が描く家族の物語を優しく見守ろう。

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小路幸也(しょうじ・ゆきや)
1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務を経て、執筆活動に入る。『空を見上げる古い歌を口ずさむ』でメフィスト賞を受賞。『東京バンドワゴン』シリーズ、『花咲小路』シリーズ、『娘の結婚』、『小説家の姉と』など著書多数。

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