ジミヘンはギターも××もすごかった! ミック・ジャガーが関係を持った男性アーティストとは? ロック・スターの豪快エピソード集

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公開日:2017/6/3

『ロック豪快伝説』(大森 庸/リットーミュージック)

 ロック・スターとは単に優れた音楽を発表し、セールス的に成功した人々を指す言葉ではない。ロック・スターの生き様は一般人を呆れさせ、爆笑させ、憧れさせる。彼らは音楽やライブと同じくらい、人生そのものの魅力によって人々を惹きつけるのだ。

 2004年に出版され、音楽ファンから絶賛された『ロック豪快伝説』(大森 庸/リットーミュージック)が加筆修正されて復刊した。現在を生きる読者はロック・スターたちの大胆不敵な伝説の数々に何を感じるのだろうか? ぜひとも目を通してほしい。

 本書で紹介される伝説たちが「豪快」なのは、そこに大金が費やされているからではない。金の費やされ方が常軌を逸しているのである。著者はこう語る。

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もちろん世界にはここに登場する人たちより、もっとすごいお金持ちはいる。でもここまでおバカな使い方を、実行するのがロック・スターなのだ。

 代表格はクイーンのフロントマン、故フレディ・マーキュリーだろう。とにかくパーティ大好き人間で、異常なほどド派手な演出にこだわり続けた。コンサート終了後のバックステージにはトップレスのウェイトレスやストリッパーが招かれ、酒池肉林の宴が催されていたという。自分の誕生日パーティともなれば友人たちを超音速旅客機コンコルドで招待したり(もちろん自腹)、出席者に女装を義務づけたり、花火で自分の名前を空に刻んだりとやりたい放題。最高級ホテルを5日間貸し切った誕生日パーティ費用は総額20万ポンド(約8000万円)にも上った。

 史上最強のライブ・バンド、レッド・ツェッペリンもエピソードに事欠かない。長時間のセックスを可能にする魔術に傾倒していたジミー・ペイジ(ギター)もすごいが、語り継がれるのはやはり、故ジョン・ボーナム(ドラム)だろう。ツアー先のホテルでどんちゃん騒ぎを繰り広げるのがバンドのストレス発散方法で、その中心にいたのがボーナムだった。ホテルの廊下をバイクで走り回りカーペットを切り裂いたり、東京ヒルトンの部屋を日本刀で破壊したり、ステージ以上の暴れん坊ぶりを残している。もちろん、破壊するたびに巨額な弁償金を支払っていたという。

 レコード会社の会議中に鳩の頭を引きちぎったオジー・オズボーン、たまたま入ったシーフード・レストランで生簀のロブスターを買い占め海へと帰したポール・マッカートニー、股間のサイズで新ドラマーを決めたレッド・ホット・チリ・ペッパーズと、ほとんど奇行の域にあるロック・スターたちの逸話はインパクト絶大である。そして、ロック・スターといえば気になるのがセックス事情だろう。

 天才ギタリスト、故ジミ・ヘンドリックスはベッドの上でもテクニシャンだった。イチモツは石膏細工師の女性によって型を取られたことがあるが、固まるまでの15分間、勃起し続けていたという。

 キッスのジーン・シモンズは酒も麻薬もやらなかったが、女は大好きだった。彼は関係を持った女性との写真を撮る趣味があり、その数は30年の間に4000枚を超えた。

 アイスランドの歌姫ビョークは神秘的な音楽性と対照的に「毎日マスターベーションをすることだってある」と性に対してあけっぴろげな発言を残している。

 ローリング・ストーンズのミック・ジャガーは女性と寝るだけでは物足りず、男性も相手にしていた。彼と「ロマンティックな関係」を持っていたミュージシャンとして故デヴィッド・ボウイ、故ブライアン・ジョーンズ、エリック・クラプトンなどの名前が挙がっている。ジャガーはバイセクシャルだったのではない。彼ほどのモテ男になれば、男性と一夜寝るなどささやかな遊びのうちだったのだろう。

 本書に登場するロック・スターたちの人生を振り返っていると、不倫程度で大騒ぎになる現代日本の芸能界は何なのだろうと思わされる。人目を気にせずに自分を貫くロック・スターは、だからこそ時を超えて多くのファンを生み出し続けているのだろう。

文=石塚就一