あまり知られていない「コップ座」って? 皆に自慢したい星の豆知識

暮らし

2017/6/3

『星の辞典』(柳谷杞一郎/雷鳥社)

 月や星などの天体は、案外身近なものだ。お月見や天体観測、星座占いなど、星は私たちの日常に溶け込んでいる。そんな星について、色々なことを知っていて損はしないだろう。知識があれば、例えば日常会話の中で豆知識を披露することもできるし、ふと夜空を見上げた時の楽しみも増える。そんな星の知識を提供してくれるのが『星の辞典』(柳谷杞一郎/雷鳥社)である。

 月は、人間がもっとも見慣れている天体のひとつだろう。それだけに、月に関する話は枚挙にいとまがない。まず、月とはどんな天体かというと、これは地球と同じく46億年前にできたとされる地球唯一の衛星だ。夜に地球から見える天体の中ではもっとも明るいものであり、ギリシア神話では母性の象徴ともされている(ちなみに、同神話における父性の象徴は太陽である)。そんな月には、実に様々な呼び方がある。上弦の月(満ちる途中の半月)・下弦の月(欠ける途中の半月)や、これら2つを総称して言う弓張月などを始め、陰暦の毎月14日の月(特に8月14日の月)を指す待宵月、陰暦の毎月15日(特に8月15日の月)をいう十五夜など、その月が見える時期によって分けられる呼び方もある。ちなみに、十五夜は収穫期である芋を供える時期でもあることから、芋名月ともいう。また、月天心という言葉もあり、これは高度の高い天の中心を通る冬の満月のことだ。北半球の日本では、冬に月の高度がもっとも高くなるというが、この言葉があるということは科学が発達していなかった時代の人もそれを知っていたのだろう。不思議なものである。ちなみに、月にも海があることはご存じだったろうか。約40億年前の微惑星の衝突によってできたそれは、海または入り江・大洋・湖とも呼ばれ、「静かの海」「嵐の大洋」「夢の湖」などがある。こういった海を始め、月の模様からは色々なものが連想される。日本で有名な「月では兎が餠をついている」というのもそのひとつだ。他には「ハサミが大きなカニ」「吠えるライオン」など、地域によって様々なものがある。もう少し月の話を続けると、月そのものではないが、月の欠けた部分が地球から反射した太陽光によって薄く光る現象を地球照という。新月をまたいだ月齢27から3程度の月光が少ない時期の、地球からの反射光が多い日に空気の澄んだ場所で見ることができる。月に関する呼び方は本当に多様であり、またどれも美しいので、調べてみると学校の自由研究や自慢の種などになるかもしれない。

 12星座と言えば、占いなどでも有名だ。そのため、ここに数えられる12個の星座を知っている人は多いだろう。だが、当然ながら空に輝く星座は12個だけではない。中には名前だけを聞くと「なぜそれが星座になった?」と言いたくなるようなものもある。例えば、春にウミヘビ座・しし座・おとめ座の中間あたりに位置するコップ座だ。と言っても、私たちが普段使っているようなガラスのコップやマグカップではなく、ギリシャ風の取っ手と台座が付いている立派な盃である。イメージとしては、大会などで優勝者に贈られる優勝杯が近いだろう。こういった形の盃は古代ギリシアでは普通に使われていたことから、この星座に関する逸話は多くある。酒の神バッカスが酒造りに用いていた盃、噓つきの烏を懲らしめるようと、太陽神アポロンが烏をおびき出すために使った盃、魔女メーディアが若返りの魔術をおこなうために使った釜であるなどの説がある。逸話を聞けばこういった星座があることも納得だが、やはり名前だけ聞けば首を傾げてしまうだろう。そんな星座は他にもある。定規座・望遠鏡座・三角座などだ。このうち、定規座と望遠鏡座は夏の星座であり、しかも日本本島からは全貌を観測することができない。これらは日本で唯一南十字星が見える宮古島よりも南に行かなければ見られない星座である。三角座は秋の星座で、これは日本本島からも観測が可能で、アンドロメダ座の足元に並んだ3つの3等星がこれである。小さな星座とはいえ、キリスト教では(同教では3を神聖な数字とするため)神と精霊と人間の調和を謳った三位一体の象徴ともされている何気に存在感のある星座だ。こういったあまり知られていない星座の知識は、夜空を見上げる楽しみと共に会話のネタづくりに貢献してくれることだろう。

文=柚兎