「使い捨てなんて最低」パリジェンヌも憧れる“ギャルソンヌ”とは? シンプルで上質な暮らしをめざす女性は必読!

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更新日:2017/6/2


『パリジェンヌのあこがれ、“ギャルソンヌ”になるためのレッスン』(ナヴァ・バトリワラ/日本文芸社)

 安物買いの銭失い、という言葉がある。たいして必要でもないくせに、あれこれ大量に買ってしまったり、本当に必要なのに、安いもので手を打ってしまったり。いいものを、必要な分だけ。わかっているのにどうしてもそこへ辿りつけないのは、自分に自信がなくて、自分が何を求めているのかも、わかっていないからかもしれない――。そんな人におすすめなのが『パリジェンヌのあこがれ、“ギャルソンヌ”になるためのレッスン』(ナヴァ・バトリワラ/日本文芸社)だ。

 そもそも“ギャルソンヌ”って? また新しい言葉を作って流行らせようとしてる? なんて人もいるだろう。だがギャルソンヌとは昨日今日できた言葉ではない。ココ・シャネルを代表とした、型破りで独創的、才気と自立心あふれる姿勢で新時代を切り開いてきた、“新しい女性”のこと。女はこうあるべき、なんて古い固定観念を脱ぎ捨てているから、装いもマニッシュ(男性的)なものを好む。見かけの女らしさに惑わされない、真の美しさをまとった女性たちを、ファッション業界を中心にさまざまな分野から14人選出し、インタビューしたのが本書だ。

 たとえばコメディエンヌの女性は、あるとき友人に、そんな服を着ている女に色気を感じる男はいない、と言われたという。だが「男の人の気を惹くために服を着るなんて、まったく理解できない。ただ自分が感じたままに装うだけよ」と言い放つ。「使い捨てなんて最低だ」というアーティストの女性や、「間にあわせで服を買うんじゃなくて、ほしいアイテムのベストを買いたい。それがベストならハイストリートファッションでも迷わず買う」というファッション誌エディターの女性。みな、その言葉に迷いがないのはたぶん、自分のセンスを信じて生き抜いてきたからなのだろうとインタビューを読んでいるとわかる。最初は手探りだったかもしれないが、信念を貫いてきたからこそ確立された“何か”がそれぞれにあるのだ。

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 社会的地位も高い女性ばかりだ。言っていることはわかるけど、そんなに強くはいられないよ、と及び腰になってしまうかもしれない。だけど本書を読めば、彼女たちが決して、別世界の住人でないことがわかるはずだ。ファッションデザイナーの女性は言う。「たまにくだらないものを買ってしまって落ち込むことがあるわ。なにかを買いにでかけるときは、本当にそれを買いたいのか、だいたい自分に問いかけるの。笑っちゃうわね」。

 彼女たちも、同じだ。誘惑に流されそうになることはあるし、仕事で落ち込むこともある。自分たちが完璧でないことを誰より知っているから、装いを確立して、強くあろうとしている。その積み重ねのうえで、スタイルができあがる。そんな彼女たちに近づくことは、誰にとっても不可能ではないと思わせてくれる、女性にとって勇気を与える一冊だ。

文=立花もも