偏差値35から東大合格! 神経衰弱、ポーカーで暗記を楽しむ!「ゲーム式暗記術」

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公開日:2017/6/5

『現役東大生が教えるゲーム式暗記術』(西岡壱誠/ダイヤモンド社)

 大学入試センター試験が2020年度から新テストに変更されることが話題になっています。とくに英語は民間の検定を利用するそうです。自分も受験生だった頃、英単語の暗記で苦労した記憶が蘇ります。学生でなくとも最近では英会話の習得を奨励している企業も多く、社会人も他人事ではないでしょう。

 そんな暗記が楽しくなるかもしれません。『現役東大生が教えるゲーム式暗記術』(西岡壱誠/ダイヤモンド社)は、単調でつまらない暗記にゲーム性を取り入れた楽しい勉強法を提案しています。曰く、著者も暗記が苦手で受験勉強で苦労していたとき、このゲーム式暗記術を思いつき、偏差値35から東京大学に見事合格できたそうです。

 本書では、さまざまな教科で使える28種のゲームを紹介しています。どれも実践的で誰かとプレイしてみたくなる遊びごころにあふれています。いくつか紹介してみましょう。

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■ひとやすみ暗記ゲーム

 当然ですが、暗記は続けていると飽きます。脳が同じ刺激に慣れて反応が鈍くなることを心理学では「順化」といいます。新しい刺激を与えて脳の反応を促すことを「脱順化」といいます。この「脱順化」が暗記の秘訣だそうです。

 暗記といえば単語カードがお馴染みだと思いますが、5~10個ほどの単語カードを作ったら、その科目とはまったく関係のないおもしろ問題をランダムで混ぜます。例えば、「昨日の晩ごはんは?」とか、「今日の天気は?」とか、「いまは何時何分?」とか、毎回回答の変わる問題がよいでしょう。これだけで暗記で「順化」した脳を一休みさせ、「脱順化」を促すといいます。

■暗記神経衰弱/ババ抜き

 トランプの神経衰弱のルールを知らない人はいないと思います。それを単語カードでやるのが暗記神経衰弱です。まず白紙のカードやルーズリーフを切って、暗記したい英単語と意味、年号と出来事の2枚のカードの組み合わせを合計52枚分作ります。混同しないように対応するカードには番号をふっておきます。例えば、「(1)achievement」=「(1)達成」、「(2)1603年」=「(2)江戸幕府成立」のように。あとはトランプの神経衰弱と同じく裏返しにしてプレイしましょう。

 同じようにしてババ抜きもできます。ババにするカードは英語なら翻訳できない単語「もったいない」だとか、歴史なら未来のフィクション「宇宙コロニー完成」とかにすると面白いかもしれません。対応するカードを覚えないと勝てないので、ゲームに熱中すればするほど暗記も真剣になりますね

■英熟語ポーカー

 暗記トランプシリーズはまだあります。動詞の「go(行く)」と前置詞の「on(上)」を組み合わせると、英熟語の「go on(続く)」になります。このように意味合いが複雑に変化するのが英熟語の難しいところですが、これをポーカーにしたのが「英熟語ポーカー」です。

 まず動詞のgive・come・putなどの動詞のカードの山札と、副詞・前置詞のto・on・for・aboutなどのカードの山札の2つを作ります。シャッフルした後でそれぞれ3枚ずつ引きます。動詞カード3枚と副詞・前置詞カード3枚の手札6枚を使って相手より多くのペア(英熟語)を作った方の勝ちです。「get away with~(~をうまくやる)」など、3枚で熟語を作れたらペアの数にかかわらずその人の勝ちです。手札をチェンジしてもいいのであれば、「手札のlookは熟語が多い単語だから残しておこう」というような戦略も生まれますね。

 暗記トランプでは対戦相手が必要ですが、著者の西岡壱誠さんが受験勉強のとき、もっともやる気を持続させる要因になったのが、同じ目標を持つ友人だったそうです。ゲーム式暗記術もライバルに勝ちたいと思うからこそ身が入るのです。

 これまで暗記は一人で苦労してやるものだと思っていましたが、みんなで楽しく遊ぶものという逆転の発想に新しい世界がひらけました。

文=愛咲優詩