オオカミが恋をした相手はウサギだった―。この感情は「食べてしまいたい」という欲求? それとも愛?『BEASTARS』

マンガ

公開日:2017/6/10

17歳の大型肉食獣のオオカミ・レゴシが恋をした相手は、小さな草食獣・ウサギのハルだった。

ここは厳しい法律の下、肉食獣が草食獣を食すことをタブーとする世界。
しかし、一部の肉食獣は違法にその肉や血を手に入れ、自らの欲望を満たしていた。

ハルへの感情が肉食獣としての本能から来る「食べてしまいたい」という欲求なのか、愛なのか、自分でも混乱するレゴシ。

同時に、ウサギのハルにとっても、オオカミと一緒にいることは、大きな冒険でもあった。

様々な種の仲間たちや、自分の本能に戸惑う中で成長していく、心優しい少年オオカミの青春と恋の物語。

「擬人化した動物たちの高校生ライフを描いた作品」と聞くと、いわゆる“ほのぼの系ストーリー”をイメージするかもしれませんが、『BEASTARS』(板垣巴留/秋田書店)は全くそうではありません。

 1巻冒頭のサスペンス調で始まるエピソードといい、喰うもの喰われるものという本来の食物連鎖の関係性が、作中に常に緊張感を漂わせているのです。

 表面上は平和な、しかしどこか歪なこの世界で生きる動物高校生たち。種族を越えた友情や恋もあれば、相容れることのない対立もある。
 これは擬人化ではなく、人間の本性を動物たちに置き換えたヒューマンドラマなのです。
 世の中にある理不尽や、偏見、自らの本性、更にはスクールカーストまで。そんな極めて“人間的”な壁にぶつかりながらも成長する高校生たちを描いています。

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 そんな中、ウサギに恋をした少年オオカミ、レゴシ。ウサギへの感情が肉食獣としての本能から来る「食べてしまいたい」という欲求なのか、愛なのか、自分でも混乱します。
 二人は一緒にいることはできるのでしょうか? 普通のラブストーリーとは違う意味で、ドキドキとハラハラが止まりません。

(C)板垣巴留(週刊少年チャンピオン・秋田書店)