“アイツら”に殺虫剤は効かない?! 夏の脅威“ゴキブリ”を全滅させる方法とは?

暮らし

公開日:2017/6/13

『ゴキブリ退治に殺虫剤は使うな!』(大久保柾幸/白夜書房)

 今年も徐々に梅雨前線が北上をはじめた。日に日に蒸し暑さも増してきた印象もあるが、夏の足音が聞こえてくるにつれて、今年は「どんな思い出を作ろうか」なんてウキウキする人たちも多いだろう。しかし、けっしてよいことばかりではないのも常で、この時期になると、夜な夜なカサカサと動き回る黒光りした“アイツら”が活発になり始めるのも事実だ。

 字面だけ見ても虫唾が走る“アイツら”。包み隠してもしょうがない、その足音から連想されるのはゴキブリである。多くの人たちにとっては、ともすれば人類最大の敵ともいえるほどの憎き存在かもしれない。

 他の生物に類を見ないほどのすばしっこさや、突如として飛び上がるさまはひと目見ただけでも強烈なインパクトを与える。何なら人が驚くタイミングをすべて理解してるんじゃないかってほどの一挙手一投足に怯える人たちもけっして少なくないだろう。

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 姿を見るやいなや「ギャーッ!」と声を上げたくなるほどの脅威だが、毎年のように悩まされるゴキブリの存在にあらがう術はあるのか。その有効手段をまとめた一冊が『ゴキブリ退治に殺虫剤は使うな!』(大久保柾幸/白夜書房)である。本書があれば「ゴキブリを全滅させることはできる」と頼もしい一言を残す衛生管理のプロである著者は、さまざまな対策を私たちに教えてくれる。

◎ゴキブリ対策に必要なのは“常識”に惑わされないという意識

 ゴキブリについて、さまざまな“常識”がまかり通っているのも事実だ。例えば、人類が誕生するはるか前から、かれこれ3億年も生き抜いてきたので完全に駆除できないという話はその一つ。もっといえば、核戦争を生き延びられるとか、とにかくトンデモな説がそこかしこで飛び交っている。

 しかし、それはあくまでも地球上での話。生活空間に限っていえば「建物内のエリアを区切れば、エリア内の完全駆除は可能」と著者は断言する。また、これに付随するのが「建物全体をまとめて駆除しなければならない」という話であるが、きちんとした対策を施せば1フロアだけでも「ゴキブリをいつかせることなく、自動で退治することができる」という。

 さらに、もう一つ言及したいのは、最近のゴキブリは殺虫剤の強さに慣れているため効果がないという話。著者は「薬剤の強さはあまり関係ありません」と伝える。では、何に気をつけるべきかといえば、薬剤の強さを意識するのではなく「薬剤の効果を発揮されやすい状況を作り出すこと」が何よりも大切であるという。

◎すき間や水分に気を配り「ゴキブリがすみ着けない環境づくり」を

 ゴキブリはそもそも、どうやって私たちの生活空間へ忍び込んでくるのだろうか。筆者は以前、エアコンの電源をオンにして、前面のカバーが開くと共にボトッとゴキブリが落ちる瞬間を見て驚がくした思い出があるのだが、本書によれば、意外にも「出入り口や窓から堂々と入ってくる」事例もあるそうだ。

 開きっ放しのドアや窓から入るのはもちろん、窓枠の隅でじっとタイミングを窺いながら人間が開けた瞬間に侵入するケースもある。また、エアコンのホースや配管を通している壁のすき間から入り込むこともあるため、こうした場所をチェックしてテープなどでふさいでおくのも有効だという。

 そして、日頃から心がけておくべきなのは「ゴキブリがすみ着けない環境づくり」だ。本書によれば、ゴキブリが生息するのは空間の下部に集中しているそうだが、例えば、大好物である段ボールや紙はできる限り放置せず、処分するか整理整頓をする。食器棚で皿やコップなどの下に紙や布を敷いている場合には、最低でも1年に1回は交換するなどの対策が必要となる。

 さらに、キッチンや水回りでは、ゴキブリの生命線ともいえる水分をできる限り断つのも重要。例えば、シンクはよく拭いて水滴が付いていない状態にしておく、スポンジを使い終わったあとによく絞って乾かしておくなど、細かな心がけも大切だ。

 さて、ここまで紹介してきた内容は本書のごく一部である。この時期になるとゴキブリには本当に頭を悩まされるのだが、快適な夏を満喫するため、ぜひともそれぞれの生活空間を見直してもらいたい。

文=カネコシュウヘイ