相手に気持ちが伝わらない…と悩む人必見! 会話が苦手な人でもマスターしやすい、言葉に頼らないコミュニケーション術

ビジネス

公開日:2017/6/14

『伝わり方が劇的に変わる! しぐさの技術 (DOBOOKS)』(荒木シゲル/同文舘出版)

 メールやLINEなどインターネットを介したコミュニケーション方法がメジャーとなった現代。しかし、一般的には対面コミュニケーションなしで生活するには難しい世の中です。結婚、就職、ビジネス取引といった日常での大切なシーンでは顔を合わせてこそという場面は多いもの。

 そこで普段ネットでのやり取りが多く対面コミュニケーションに苦手意識を持っている人に、上手に相手に気持ちを伝える方法を具体的に教えてくれる1冊の本をご紹介します。『伝わり方が劇的に変わる! しぐさの技術 (DOBOOKS)』(荒木シゲル/同文舘出版)。著者はプロのパントマイム・アーティスト。会話が苦手な人でもマスターしやすい、言葉に頼らないコミュニケーション・テクニックを使うノウハウ本なのです。人とのコミュニケーションの中で、見る人の想像力を活かして楽しませるパントマイムの原理を上手に活用します

 その場の状況や相手によって、しぐさを変えることが、自分の気持ちを的確に相手に伝えコミュニケーションを上手に取るポイントとなります。パントマイムの世界では即興演劇の登場人物の感情や権力の表現法として“ステイタス”が使用されています。

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 人が2人以上集まれば必ずステイタスの力関係が生まれるものです。ステイタスの高さは状況に応じて変化する流動的なものであり、高ければよいというわけではありません。一般的にステイタスは外見や服装、しぐさ、職業、学歴などのさまざまな要因が絡み合って決まるといいます。職業や学歴は状況に応じて変えることはできませんが服装やしぐさはその場の雰囲気に応じて変更可能です。このため服装やしぐさでステイタスをコントロールすることで自分の立ち位置や感情を表現することが可能となります。

 たとえば自分のステイタスを高く見せたいと考えるシーンとしては、高級な商品やサービスを提供する仕事をしているとき、商談時、リーダーシップを発揮しなければいけないときなどがあります。このような場面での具体的なアクションとして、低い声でしゃべること、ムダな動きをしないこと、リアクションをワンテンポ遅らせること、動く際には大きい空間を使ってふるまうことなどが挙げられています。どれも驚くような特別なことではありませんが、このようなしぐさをする人を想像してみてください。堂々としていて何となく頼りになる、信頼できると感じませんか。

 また足をなるべく見せない服装をすることもよいといいます。司祭や裁判官など高いステイタスの職業の人の服装は足が隠れているものです。相手に主導権のある就職面接やオーディションのときの受験者は多くの場合、足が見える状態で会場にぽつんと置かれた椅子に座らされていたりします。

 本書では他にも気が利く人であることをアピールするテクニックやインパクトを与えるテクニック、相手の懐に入るテクニック、トラブルを回避するテクニックといったステイタス・コントロール技術を具体的に紹介しています。

 人はコミュニケーションを取る際に相手の顔を見ることが多いため顔周辺にある首や肩、バストトップエリアの動きは重要であるといいます。通常は横から見たときに肩がちょうど首の真横にあって、首が垂直よりほんの少し(大体5度以下の角度)前に傾いているのが理想の自然な形となり、これが基本の姿勢です。緊張していると肩が上がってしまったりします。

 この基本の姿勢から少し顎を引いた「イエスのポジション」では相手の話を聞いていることをアピールするためのしぐさを作ることができます。ただし顎を引きすぎると逆に不機嫌な印象になってしまうので注意が必要です。

 基本姿勢から少し顔を横に向けて、視線だけ相手に向ける「ノーのポジション」では相手の発言を疑い、プレッシャーを与えるしぐさを作ることが可能です。このしぐさは何かを売り込もうとしている営業担当者やセールスマンに、「本当ですか? 私をだまそうとしていないですか?」と軽いプレッシャーを与える場面などで有効になるといいます。

 本書で紹介されているステイタス・コントロールのテクニックやしぐさの作り方は時に全身を使用するものもありますが、誰でもできる簡単なものばかりです。対面コミュニケーションに苦手意識を持っている人や言葉ではなかなか自分の気持ちを表現できずに悩んでいた人は“しぐさの技術”を実践してストレスフリーな人間関係の構築を目指してみてはいかがでしょうか。

文=Chika Samon