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第27回『憧れの入院性生活』/森田哲矢(さらば青春の光)連載

森田哲矢(さらば青春の光)「煙だけでいい…… あとはオレが火を起こす!」

皆様、先月の休載申し訳ありませんでした。
事故による怪我の為、病院で死の淵を彷徨っておりました。

 

このコラムを愛していただいている、ゲス中毒者の方々にご迷惑をおかけしたことに、強烈な罪悪感を覚えてる次第でございます。
皆様のゲス不足を解消するべく、驚異の回復力で死の淵から帰ってまいりました。

 

さて、腰の骨を骨折し、車椅子での移動を余儀なくされていた入院生活。
そんな不自由な入院生活において、男なら誰もが抱くであろう大いなる期待が、僕の頭の中を駆け巡ります。

 

「AVみたいなことないかなー?」

 

そう、真っ当に生きてきた男なら誰もが期待せざるを得ないのが、AVのようなシチュエーションへの漠然とした憧れ。

 

『変態ナースのご奉仕SEX』『エロ痴女ナース集団』『Fカップギャル女医の特別治療』

 

過去に観た数々の作品を思い返し、パンパンに膨らむ期待と股間。

 

しかし、そんなパンパンに膨らんだ期待に針を刺してくるかのように、次から次へとお見舞いにやってくる芸人たち。

 

芸人は、弱っている知り合いの芸人を見るのが大好きな生き物です。
芸人が入院したという情報を聞くと、適当な見舞い品を買い、時間の許す限り病室ではしゃぎ倒す。

 

僕も1年ほど前に、ラブレターズの塚本という後輩が入院した際、ドン・キホーテのコスプレコーナーでナース服を買い、ベッドに横たわる塚本に無理矢理ナース服を着せ、きゃっきゃとはしゃいだのを覚えています。
その空間にいる人間以外は何一つ面白くない地獄のノリ。
案の定、本物のナース達が僕らに、これでもかと言うほど冷ややかな視線を浴びせてきていました。

 

そして、いざ自分が入院した時に痛感する、メリットよりも遥かに大きいデメリット。

 

シソンヌのじろうさんからの、病院という場にもかかわらず、1カートンのタバコの差し入れを見てピリつくナース達。

 

メイプル超合金のなつさんからの、少し癖のあるエロ本の差し入れにピリつくナース達。

 

バイク川崎バイクが自転車雑誌の差し入れをするというややこしいボケにピリつくナース達。

 

医療現場にもかかわらず、堂々とバンテリンの差し入れを持ってくる、ラフコン森木さんとGO!皆川さんにピリつくナース達。

 

そんなに仲良くもないのに、なぜかセットアップのスーツに、どでかい花束を持って現れたハライチの岩井さんに、「え? こいつプロポーズしに来たん?」の目を向けるナース達。

 

そしてとうとう、一年前に僕が買ってあげたナース服を持って、復讐にやってきたラブレターズ塚本。
抵抗も虚しく、無理矢理ナース服を着せられる僕。
それを見て病院は違えど、あの日と寸分の狂いもなく冷ややかな視線を浴びせてくるナース達。

 

そして日に日に増えていくエロ本とTENGAの差し入れ。
窓際に並べられた大量のエロ本とTENGAを見て、
「まるで家みたいですね」
と、突き放すように言われたのを今でも覚えています。

 

入院期間中、ひっきりなしにやってくる芸人達のせいで、ナースステーションの信頼を一気に失った僕は、入院3日目以降は地獄のような生活を強いられることになりました。

 

入院前半は、有名な芸人がお見舞いに来てくれると、それなりに色めきだっていたナースステーションも、後半には、どつき漫才でブレイク中のカミナリが来ようが、今やお茶の間の人気者のおかずクラブが来ようが、ピクリともしなくなりました。
どんなに有名であろうが、こいつに関わってる奴では意地でもテンション上がらんぞ、という強い意志が伝わってきました。

 

そんな状況下の中、面会終了時間のギリギリにお見舞いに来た、トレンディエンジェルのたかしさんが、夜勤担当のナースに言い放った最悪の一言。

 

「森田のこと宜しくお願いしますね。こいつも男なんで」

 

言葉の意味を瞬時に理解し、みるみる顔をしかめ、嫌悪感を露わにする夜勤担当ナース。
苦笑いするしかない僕。
その状況を楽しむかのようにヘラヘラ笑っている悪魔、たかし。

 

首の皮一枚で繋ぎとめられていたAVチャンスが、完全になくなった瞬間でした。

 

このハゲほんま何しに来たん?

 

車椅子で轢き殺してやろうかと思うぐらいの怒りに震え、その夜はなかなか寝つけませんでした。

 

ナースへの希望を完全に失った僕は、次なる策に打って出るしかありませんでした。

 

『ナースがダメなら見舞い客だ!』

 

というスローガンを掲げ、目標を女性の見舞い客一点に絞り、勝負に出ることにしました。

 

そこに現れた一人目の女性客が、ニッチェの近藤さんでした。
近藤さんは、事故で服がボロボロになっただろうということで、超お洒落アパレルメーカー、ユナイテッドアローズで、お洒落シャツ、お洒落ズボン、お洒落シューズを買ってきてくれました。
普段から沢山美味しいものを食べさせてくれ、仕事のアドバイスもしれくれる、本当に優しい先輩。
そんな優しい先輩に対して勝負に出る僕。

 

「近藤さんすいません、手コキだけしてもらっていいすか?」

 

「死ねっ!!」

 

怒りに震えながら病室を後にする近藤さん。

 

流石に先輩に対して、そんなことお願いするのは失礼だったか、と思った矢先、今度は後輩のAマッソという女性コンビが現れました。

彼女達とは知り合って8年ぐらいは経つ仲で、僕がご飯を奢ったり、仕事のアドバイスなどをしてあげてる可愛い後輩。
そんな可愛い後輩に対して勝負に出る僕。

 

「ごめんお前ら、どっちでもええねんけど、ちょっと手コキだけしてもらっていい?」

 

「死ねっ!!」

 

先輩に中指を立てて病室を後にするAマッソの二人。

 

芸人の世界って先輩の言うことには逆らったらあかんのちゃうかったっけ?という疑問を抱いていると、Aマッソよりも更に後輩の、おかずクラブがお見舞いにやってきました。

 

しかも今度ある、自分たちの単独ライブのチケットを売りつけにくるという暴挙をかましてきましたが、仕方なく2枚買ってあげました。

 

これ以上の失敗は許されない。

 

普段よりも優しく丁寧に振る舞う僕。
そして、少し気の強いゆいPは諦め、元ナースの経歴を持つオカリナ一点に絞り勝負に出る僕。

 

「オカリナ、チケット買ったったし、手コキだけしてもらっていい?」

 

「手袋つけてだったらいいですよ?」

 

というまさかの答え。
変な条件付きとはいえ、さすがは元ナース。母性本能で溢れかえっています。
しかし、オカリナの顔をよーく見て冷静さを取り戻す僕。

 

「まあ、冗談やけどな」

 

慌ててボケだったことにする僕。

 

「え? 本当にやりますよ?」

 

真っ直ぐな目で言ってくるオカリナ。

 

「うん、まあ冗談冗談」

 

キャンセルのボタンを連打する僕。

 

「え? いいんですか?」

 

なぜか食い下がってくるオカリナ。

 

「やってあげなよオカリナ!」

 

全くいらない援護射撃をしてくるデブ。

 

「いや、可愛い後輩にそんなことさせられへんから」

 

実際は“可愛くない”からさせられないという、とんちが効いた台詞。

 

行き過ぎた性欲は時に、地獄の会話を生みだすことをこの時初めて知りました。

 

そんなこんなで、病院での性生活を完全に諦めた僕。
そもそも個室でもない限り、そんな夢のようなシチュエーションなどあるわけはないし、もっと言えば、6人部屋の病室では、自慰行為ですら実行に移すのはかなりの根性がないとできないのです。

 

病院での性生活に関して、達観したと言っても過言ではないと思っていた僕に、突如として、本当の地獄が襲ってきました。

 

「森田さん」

 

という声と共に、病室のカーテンが開くと、そこには一人の女性が立っていました。

 

 

ヤリマンやん!!!!!!

 

 

そう、なんとそこには数ヶ月前に一度だけお世話になったヤリマンが立っていたのです。

 

え? え? どういうこと? なんでこんなとこにヤリマンがおんの? もしかしてここの病院が世界初のヤリマン治療みたいなん始めたんか?

 

僕はパニックになりながらも、なぜか手術を怖がる子供の病室に、伝説のメジャーリーガー、ベーブ・ルースがお見舞いに来て、「僕が明日の試合でホームランを打つから、君も手術を受けるんだ」と、子供を勇気づけたエピソードを思い出しました。

 

もしや、病院での性処理を怖がる僕を、ヤリマンが勇気づけに来てくれたのか?

 

頭は打っていないながらも、中々のクソ推理を展開する僕に、ヤリマンがしっかりと事情を説明してきました。

 

「なんか○○さんから連絡があって、森田さんがここに入院してるから行ってあげてって言われたんです」

 

そう、僕が「結局病院でエロいことなんてどう足掻いてもできない」と愚痴をこぼしたことにより、それを聞いたとある芸人が、僕のもとに送り込んだ史上最悪の見舞い品が、そのヤリマンなのです。

 

「病院ではエロいことできないから、あいつをムラムラだけさせて帰って。って言われました」

 

と言いながら、カバンからおもむろに自前のパンティとブラジャーを出してくるヤリマン。
僕をムラムラさせる為だけに持ってきた破壊力抜群の布。

 

そう、前にこのコラムでも言った通り、基本的にヤリマンは良い奴なので、もちろんこういう時のノリも心得てるのです。

 

目の前にこんなエロい女がいるのに、何もすることができない強烈なジレンマ。
そこに山があるのに登れない登山家のような気分。

 

先ほどまで達観していた自分が嘘のように、その山を登りたくてウズウズする登山家。
登頂とは言わないまでも、5合目ぐらいまでは登りたくなる登山家。

 

そしてとうとう僕は、本域の小声でヤリマンに言いました。

 

「ごめんやけど、手コキだけしてくれへん?」

 

今までのそれとは全く熱量の違う、心の底からの魂の懇願。
手コキは本当に5合目なのか? 8合目ぐらいじゃないか? という疑問はさておき、とにかく魂の懇願をする登山家。

 

「え? 流石に病室ではヤバくないですか? 他の患者さんもいるし、看護師さんもいつ入ってくるか分からないですよ?」

 

昼間のヤリマンは冷静でした。
一言一句が正論でした。

 

「この悪天候での登山は危険だ」

 

と、言われているような気持ちになりながらも、「流石に病室では」という言葉から伝わる、

 

“恐らく手コキ自体は無理なわけではない”

 

というヤリマンの微妙な感情を、僕は見逃しませんでした。

 

手コキ自体は嫌ではないが、病室での手コキは流石にバレる可能性がある。
だったらバレる可能性が少ない場所なら良いのではないか?

 

僕の股間に、一筋の光が射しました。

 

気がつくと僕は、ベッドから起き上がり、車椅子に飛び乗っていました。

 

「よし! 車椅子押して!」

 

「え? どこ行くんですか?」

 

「ええからとりあえず押して!」

 

僕とヤリマンは病室から飛び出し、車椅子で院内を縦横無尽に走り回りました。

 

誰にもバレずに手コキができる桃源郷を探す旅。

 

まるでスピルバーグ監督の名作『E.T.』のラストシーンを彷彿とさせる車椅子での逃避行。

 

僕のイチモツは、E.Tの人差し指ぐらい勃起していました。

 

なんとかひと気の無い場所を探そうとするE.T.とヤリマン。

 

トイレ、屋上、喫煙所、向かいのホーム、路地裏の窓、交差点、桜木町など、山崎まさよし並みに“抜ける場所”を探すE.T.とヤリマン。
こんなとこで抜けるはずもないのに。

 

突然の要求にもかかわらず、献身的に車椅子を押してくれるヤリマン。
彼女こそが白衣の天使だと実感しながら、人差し指をギンギンにするE.T.。

 

しかし、どこを探してもひと気のない、抜けそうな場所は見つかりません。

 

こんなに色んな設備が整った病院やったら『抜き室』みたいなとこあってもよくない?

 

という、よく分からない思考回路になるE.T.。

 

そして、終わりの時は突然やってきます。

 

「森田さん、私そろそろ帰らないといけないんですけど?」

 

突然のエンディング。

 

「え? ちょっと待って! もっかい3階のトイレ見に行ってみいへん? 逆に手術室とかの方が人おらんかも!」

 

必死に食い下がるE.T.。

 

「いえ、もう時間切れです。帰ります」

 

流れだすエンドロール。

 

「ワンモアタイム! ワンモアチャンス!」

 

必死に駄々をこねるE.T.。

 

「は? とにかく帰りますね。また退院して元気になったら遊びましょ」

 

そう言うと、ヤリマンはそそくさと帰っていきました。

 

スピルバーグ作品とは思えないほどスッキリとしないエンディングに、僕は呆然と座りつくしていました。

 

こうして、僕の憧れの入院性生活は、大惨敗のうちに幕を閉じました。

 

退院後すぐに、僕は何かを取り返すべく、首にコルセットを巻いたまま、ナース系の風俗に行きました。
すると、風俗嬢がナース服を忘れるという大失態を犯し、僕だけ患者のコスプレでプレイするというよく分からない時間を過ごしました。

 

そして腰の骨折が完治するまで約2ヶ月。
それまでは大量に残ったエロ本とTENGAを消費しようと思います。



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