ぼろぼろのぬいぐるみに詰まった、笑いや涙の思い出

暮らし

公開日:2017/6/24

 ぼろぼろになるまで共に過ごしたぬいぐるみを紹介する『愛されすぎたぬいぐるみたち』が、2017年6月13日(火)に発売された。

 同書の著者は、アイルランドの首都ダブリン在住の写真家マーク・ニクソン。4年前、彼は自分のスタジオで大切なぬいぐるみと持ち主の写真を撮り、ホームページに載せたところ、1カ月で150万件以上のアクセスが集まり、3カ月で450万件を超えるほどに。それらをまとめた写真集『MUCH LOVED』は中国からペルー、アイスランド、アルゼンチン、アメリカからロシアまで、そしてヨーロッパ中でもニュースやブログで話題に。日本でも、2015年6月に放映された「マツコの知らない世界」で紹介されている。

 日本語に翻訳された同書では、U2のボノやミスター・ビーンのクマをはじめとした、愛の重みを一身に受けたぬいぐるみたちの笑いや涙の思い出が詰まった文章&写真を61体も掲載している。ここではそのうちの11体を紹介しよう

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グレッグのクマ

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U2の「ワン・トゥリー・ヒル」はこのぬいぐるみの持ち主だったグレッグのために作られた曲。グレッグが若くして交通事故で早世したとき、親友のボノがもらい受けた。

ピンクテディ(24歳)

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1988年のクリスマス、持ち主が生後6カ月の時に鮮やかなピンクのクマとしてプレゼントされた。そのクリスマスパーティでこのテディは何故かバラバラにされてしまったので、大おばさんが来て丁寧に直してくれたそう。その事件以来とても大切にされている。

ビリー(102歳)

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ビリーはアランが4歳の時、おじさんにもらったぬいぐるみ。アランが20歳のとき、ビリーを残して働きに行ってしまったので弟のダレルのものに。102歳になっても飾り棚で微笑んでいる。

ピーター(50代)

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この『愛されすぎたぬいぐるみたち』の展示会のためにピーターは連れてこられた。50代なかばのピーターはお手製の編み物で遊び着を作ってもらい、今は寝室でいちばんセレブな場所に置かれている。

ペドロ(47歳)

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持ち主が赤ちゃんの時から一緒。毛もなくなって母親に洋服を作ってもらい、目と鼻はドールホスピタルでつけてもらったそう。

フィリップ(34歳)

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フィリップはとてもおしゃれなサテンの箱に入ってやってきた。アメリカでサマーキャンプも経験し海賊として冒険することになったが、ふたたび現れた時はバンダナを巻き、剣と地図を持っていた。

ミスター・ビーンのテディ(22歳)

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持ち主はミスター・ビーンのプロダクション。ミスター・ビーンはテディを生きているかのように扱い、クリスマスプレゼントを買ってあげたり、朝は起こさないように気を使うほど。

チェッキー(32歳)

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若いころはほとんど裸で過ごしていたが、つめものが無くならないように洋服を着ている。今は持ち主の娘と一緒に寝ているそう。

テディ・ギリガン(24歳)

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テディはショーンが生まれたとき、おばさんがカナダから送ってくれたぬいぐるみ。ラベルが擦り切れるほど大切にしていたショーン。テディの背中に焦げた跡があるのはベッドに行く前に暖炉で暖めたから。ショーンが7歳になるまでママと同じくらい大事だったが、いつしか箱にしまわれ、10年後ショーンに娘が生まれたときに復活した。

テディー(60歳以上)

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1950年代初めに生まれたが、確かな年齢は定かではない。持ち主の友人に間違ってねじ回しをさしこまれ、20年間声が出ない経験をもつ。でもテディーは手術を受け唸り声がだせるようになったそう。そして大事にされ半世紀友人と暮らしている。

ミスターテッド/ジョニーのクマ(43歳)

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ミスターテッドは、持ち主の兄ジョニーに買われたが、ジョニーがダウン症で6歳前に亡くなるまで夢中になったぬいぐるみ。ジョニーが亡くなったあと母がとても大切にし妹達が可愛がった。そして3人の子供達の相手をしてくれたジョニーのクマは、母の詩で紹介されている。

 巻末には、読者が持っているぬいぐるみのプロフィールを書くページがついており、写真を添付しそのぬいぐるみについての身の上話を書き足すことができる。ぼろぼろになるまで愛され続けたぬいぐるみたちのエピソードに癒されよう。

マーク・ニクソン(Mark Nixon)
国際的な賞を受賞した、肖像写真や編集用写真、広告写真の写真家で、アイルランドのダブリンを拠点に活動。マークは年に1度、『愛されすぎたぬいぐるみたち』の撮影のためにニューヨークとロサンゼルスを訪問する。

※掲載内容は変更になる場合があります。