「趣味:読書」は婚活に有利!? 結婚相談所の経営者が教える、婚活の傾向と対策

恋愛・結婚

公開日:2017/6/20

『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(大西明美/かんき出版)

 今年1~3月期に『東京タラレバ娘』(日本テレビ系列)が結婚に悩むアラサー女子の間で話題になった。3人のアラサー女子が置かれたシビアな状況を背景に、彼女たちが吐くセリフが胸に突き刺さった視聴者が続出したようだ。アラサー(をちょい超える)筆者も毎週観ていたのだが、特に試合には参加しないのにベンチから見物してバッターに偉そうなことを言っているという、婚活を野球にたとえたシーンは心をえぐられた。本気になれば自分だってと、チャンスを見送ってきた女性の心理を見事につく表現だった。だがしかし、結局主人公はいい男たちに言い寄られた挙げ句、モデルで俳優の金髪イケメン男と結ばれるという夢のような結末を迎えたことに正直がっかりした(まあ、このイケメンとその後ちゃんと幸せになったのかはわからないけれど)。さらにいえば、アラサー娘の一人を演じた榮倉奈々は、現実には人気イケメン俳優と新婚生活を送っているわけで…。いや、もうこの辺で愚痴はやめておこう。

 そんなアラサーちょい過ぎの筆者は、まずバッターボックスに立たねばなるまいと思い立ち、『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(大西明美/かんき出版)という本を手にとった。結婚相談所を経営する大西明美氏が相談所で起こっている現実を、婚活女子のタイプ別に紹介。「箱入り女子」「学歴女子」「質問女子」「フェイスブック女子」「バリキャリ女子」など、さまざまなタイプの婚活女子がどんな状況におかれ、どんなお見合いをし、その後どうなったのかをセキララに綴るのだが、大西氏の長年の経験を踏まえた分析がなされ、結婚を制するための傾向と対策を提示する。つまり、婚活女子のための赤本である。

■出産ギリギリの「年上女子」

 さて、婚活女子の前に立ちはだかる問題は何と言っても出産である。歳を重ねるほど出産は難しくなる。女性なら誰でも平等に訪れる現実。これはどうしようもない。男性は、そりゃあほとんどはそうだろうが、子供が欲しいという理由で30代半ばまでの女性を希望する傾向にあるらしい。そんなわけで、40歳・大手企業事務職のとある女性の婚活は難航。子供が欲しい彼女は男性が年上だと成人するまでに定年退職してしまうからという理由で年下の男性を希望していた。そこで大西氏が提案したのは40歳以上の女性限定のお見合いパーティである。そこに来た男性のほとんどが40代後半から50代で、1人だけ来ていた35歳の男性と見事ゴールインできたという。40歳以上の女性陣の中で若い印象を持たせることができたのが勝因か。そのパーティでは一番の若者同士だったのだろう。つまり、心理的に若く見られる状況を作り出すことが肝要らしい。確かに若さとは相対的なもの。20代だって10代の子からしたら「おばさん」。一方で、30代でも40代以上に囲まれたら「若い」と言われる。出産できる年齢が絶対的なものであることを考えると難しいが、自身の見た目だけでなく周囲も巻き込んだ“演出”は有効なのかもしれない。

advertisement

■男性を幸福にする「福女子」

 年齢もさることながら、ネガティブ思考の筆者の胸に一番突き刺さったのは「福女子」である。男性はどうせならピチピチした肌を持つかわいい女性がいいだろう…と思いきや、必ずしもそうではないという話だ。38歳のあるぽっちゃり女性は、43歳・年収800万円を超える技術職地方公務員の男性とゴールイン。男性いわく「毎日どんな小さなことでも楽しいことを見つけられる人」「一緒に楽しいことを探して生きていけそう」とベタ惚れ。10年もの長い間母親の介護をしつつも、愚痴など言わず前向きなところに惹かれたそうだ。そんな彼女を「福女」と男性は褒め称える。ちなみに、大西氏(結婚前は30歳バツイチ・ぽっちゃり・家事はできない婚活弱者だったと語る)も夫によく笑うところを褒められ、「仕事で疲れて帰ってきた後は、笑顔の女性がいるほうが助かる」と言われている。笑顔にルックスは関係ない。心持ち次第で誰でもできることだ。だが、こちらだっていつも夫に包み込むような笑顔で接してほしい。そしてときには愚痴を聞いてほしい。つまり、男女双方が笑顔で支えられたい。それではともにどのようにして笑顔を確保するのか。「福女子」はそれを可能にする力を秘めているのだろう。これは確かにどんな美人にも負けない女神のような能力だと思われる。

■知識で話を盛り上げる「読書女子」

 ダ・ヴィンチニュースを読んでいる人には朗報と言えるタイプがある。それは「読書女子」。大西氏の分析によると、1年以内に結婚が決まる女性の8割はプロフィールの趣味の欄に「読書」と書いているというのだ。女性全体では4割しかいないにもかかわらず。それはなぜか。40歳・ややぽっちゃりで地味な印象のとある女性は、お見合いの前、相手の男性のプロフィールをもらった段階で彼の仕事関連の本3冊を読破。相手の仕事の話題を膨らませ、その仕事ぶりを褒め称え理解を示すことで、42歳・年収約800万円のイケメン男性をゲットすることに成功したそうだ。読書は知識を深めることで相手との会話を盛り上げることができる。ただし、「あ、それ知ってます」というセリフはご法度とのこと。プライドの高い男性のメンツをつぶしてはいけない。賢い女性は男性をうまく手のひらで転がすのだ。

 つまり、その気になれば作戦次第で、たぶん、おそらく、結婚はなんとかなる。ただ、本書を読んでいて思ったのは、問題はどこまで本当に“その気”になれるかということだ。今さら白馬に乗った王子様が結婚相談所で優雅にお茶を飲みながら待っているわけではない。なぜ結婚に結びつかないのかを分析して、相手の条件を見直したり、過去のトラウマと向き合ったり、気付かなかった自分の悪い癖を矯正したり。自身が否定される辛さに見えない血を流し、ときには自分が振るった刃による返り血を浴び、満身創痍になりながら時間とお金をかけた闘いに挑む覚悟はあるのか。う~ん…。というわけで、結婚市場価値ゼロになる前に、不安と焦りがピークに達して“その気”になることを待っている今日この頃である。

文=林らいみ