読みもの連載

空想科学読本 正義のパンチは光の速さ!?

ガリガリ君の口はどれほど大きいか、ガリガリ君を食べながら考える。

 ガリガリ君はすごい。赤城乳業のHPによれば「子どもが遊びながら片手で食べられるカキ氷ができないか」とのコンセプトで、最初の『ガリガリ君』が発売されたのは1981年。それがバージョンアップを重ね、いまでも新商品が出るたびに話題になるのだから。

 昨年は、25年ぶりに10円値上げしたことも注目された。この値上げについて新聞は、要因は原材料費の高騰と伝え、「例えばアイスバーに使う木製の棒の価格は2013年比で9割アップしている」などと紹介した。ふーむ、地球環境についても目を向けさせてくれるガリガリ君ですなあ。

 このガリガリ君、最大の特徴は「口がデカい」ことだ。
近所のスーパーで「ガリガリ君」を買ってきて、パッケージのイラストを見ると、本当に大きい。
しかも、大きく開いてアイスを食べようとしているその口は、ほっぺたがブワッと膨らんでいる!
これ、すごいと思いません? 通常、人間が大きく口を開くと、ムンクの『叫び』のように、ほっぺたはまっすぐになるはず。
ガリガリ君の口はいったいどなっているのだろうか?

◆口にソフトボールが入る!

 ガリガリ君の載っているパッケージから取り出した冷たいガリガリ君に、定規をギリギリまで近づけてみる。
すると、長さは8㎝5㎜、横幅は棒側が5㎝5㎜、先端が5㎝3㎜、厚さは棒側が2㎝5㎜、先端が2㎝3㎜。どちらも先端が棒側より2㎜ずつ短くなっているが、これは製造工程で型から抜きやすくするため&食べやすくするためだろう。細かく工夫されているのだなあ。

 これらの結果から、パッケージのイラストを測定すれば、ガリガリ君の口の上下は10㎝、左右は18㎝。

大きい!
筆者が鏡を見ながら全力で口を開けて測ると、上下は4.2㎝、左右は6.5㎝だった。もちろん、口の左右に、ほっぺたは広がっていません。筆者と比べると、ガリガリ君の口は、上下に2倍以上、左右に3倍近くも大きいのだ。
ソフトボールの直径は3号球が9.7㎝。ガリガリ君の口には、これが左右に1個ずつ入れられるということになる。人類史上最大の口ではないかな。

◆まだまだ広がるはず!

 それだけではない。前述のとおり、ガリガリ君は大きく口を開けているのに、ほっぺたが膨らんでいる。
人間は大きく開口すると、ほっペたは真っ直ぐになるが、これは咬筋や大顎骨筋など頬の筋肉と、口のまわりの口輪筋が引き伸ばされるから。
口を開けているガリガリ君のほっぺたが、ふっくらと湾曲しているということは、筋肉にまだ余裕があるということだ。つまり、その気になれば、まだまだ開くはず!

 ほっぺたのカーブの長さから計算すると、それがまっすぐになるまで口を開けたら、口はさらに9㎝開くはずだ。その場合、ガリガリ君の口の上下は19㎝に!

 恐ろしい。日本広しといえども、長さ8.5㎝のガリガリ君(アイスのほう)を縦にしてかじれる人はいないだろう。
ところがガリガリ君は、ガリガリ君を縦に2つ並べてガリガリかじれるということだ! ややこしいけど、本当にすごい。

 これほど口が大きいと、いっぺんにどれほど食べられるのだろうか?
ガリガリ君の口の内部空間は、左右が22㎝ほどと思われる。奥行きを10㎝と仮定して計算すると、口の容積は1.2L。
パッケージの表示によれば、「ガリガリ君ソーダ」の体積は110mLだから、ガリガリ君はガリガリ君をいっぺんに10本、口に入れることができる!
ご飯なら、普通のご飯茶碗で7.7杯!

 うおーっ、ホントにすごいな、ガリガリ君!
……などと喜んで計算しているうちに、ああっ、スーパーで買ったガリガリ君はすっかり溶けてしまった。無念! 皆さん、ガリガリ君は冷凍庫に入れましょう。【了】

◆著者プロフィール
柳田理科雄
空想科学研究所主任研究員。代表作に「空想科学読本」シリーズ。また、各地での講演、ラジオ・TV番組への出演なども精力的に行っている。

◆関連リンク
空想科学読本研究所:公式サイト
公式ツイッター:@KUSOLAB

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