世界で稼げる子どもに育てる! 子どもを連れて「ハワイ教育移住」する人が増えている?

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公開日:2017/7/7

『経営者を育てるハワイの親 労働者を育てる日本の親』(イゲット千恵子/経済界)

 今、教育に関心の高い親たちが最も注目しているのが「教育移住」だ。ハワイの学校に通わせるために移住する、そのメリットとは? 「子どもと一緒にハワイに教育移住」のすべてがわかる『経営者を育てるハワイの親 労働者を育てる日本の親』(イゲット千恵子/経済界)は、ハワイで出産、子育てをし、起業家として活躍するイゲット千恵子氏が「最先端の経営者教育」を教える一冊だ。

 「教育移住」とは、子どもの教育のために、子どもと親が別の国に移住することだ。家族全員で移住する場合もあれば、父親は日本で仕事をし、母子で子どもの教育に合わせて、ベストな国に移り住んでいくパターンもあるという。

 みんながオハナ(ファミリー)というアロハ・スピリットがあるハワイは、アメリカの中でも唯一人種や文化が混じりあう「メルティングポット」が成立している地域だ。多国民の中で、多様性を理解し、自分で考えることを学び、人生に起こる問題を解決できる強さが身につき、子どもがのびのびと育つ恵まれた自然もあると著者は述べている。ハワイの教育費は高額のため、アジアの富裕層の子どもが多い。ハワイに来て高校まで過ごし、アメリカ本土の大学に行くというのがアジア富裕層の教育ルートになっているため、高い授業料は、将来のビジネスパートナーとなる学友や人脈を手に入れるための投資でもあるのだと著者は述べる。

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 日本では、働くこととは「どこかの企業に就職してお金をもらうこと」という意識だが、アメリカの子どもたちは「起業して自分で仕事をつくること」という教育を受けている。むしろ雇われていては満足するお金を稼げないという認識を持っているそうだ。そのため何かしらの能力とお金を動かすことで「Make Money」ができるという思考を小さい頃から身につけていく。大学に入るときには「経営力」を問われるため、高校生で株式投資やベンチャー企業を立ち上げる子どももたくさんいるという。

 子どもの、経営者マインド、起業家マインドを引き出すためにどうしたらいいかを常に考えるアメリカの親は、レストランが流行っている理由を考えさせるなど、身近な例を通してビジネスや世の中のしくみを考える力を養う工夫をしているそう。たとえ企業に勤めたとしても、「Make Money」は必要なスキルとなるからだ。

 一方、日本の親はよい大学に入り、大企業に就職、あるいは医者や弁護士の資格をとっておけば安心という古い価値観を引きずっている。しかし医者や弁護士も雇われている限りは高給労働者。独立しても経営者の教育を受けていないから経営ができない、というのが日本人だそう。「ハワイ教育移住」を通して、「Make Money」や「経営者思考」を身につけさせるための徹底した教育など、世界で戦える子どもを育てるための「経営者教育」の重要性を学べる一冊だ。

文=泉 ゆりこ