一度に使い切る! お酒がススむ、東西の”薬味”を効かせた型破りな絶品おつまみ【作ってみた】

食・料理

更新日:2017/7/11

『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』(ツレヅレハナコ/PHP研究所)

 あらゆる料理の味をキュッと引き締め、あるときは風味豊かに、またあるときはピリッとさせてくれる名脇役の薬味。これから暑くなる季節、たまりませんね! そこでおススメなのが、『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』(ツレヅレハナコ/PHP研究所)。

“寝ても覚めても、美味しい料理とお酒のことばかりを考えている”という著者のツイッターやインスタグラムは今や大人気! 本書では、そんな著者がたっぷりの薬味を主役級に使って、ド定番のおつまみから、旅先で感激した味を再現するなど95品のレシピを紹介している。

 がしかし、日本では薬味に対して「割高感」「シャレた料理すぎる」「使い切れずに余る」などの理由から、食卓にのる機会が少ないように感じている、と著者はいう。そんなイメージを払拭すべく、バサッと加え、切らずに丸ごと、一度に使い切る! といった大胆な工夫がレシピに反映されている。

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 また和食にバジル、洋食にミョウガを使うなどボーダレスな楽しみ方を提案し、新しい味の発見がいっぱいの1冊といえる。その中から実際に3品を作ってみた。

1. カンタン! ヘルシー!! ネバネバ納豆が美しくまとまる“バジルと納豆”(P.25)


 バジルを手でちぎる。納豆に醤油、オリーブ油を混ぜて、器にごはん、納豆、バジル、卵黄をのせれば完成。

 納豆のネバネバがオリーブ油と黄身により、クリーミーな泡となり、ふわふわして美味しい! そこにシソとこしょうを合わせたようなバジルの風味が加わることで、納豆の臭みがなくなり全体が上品にまとまっている。これまで納豆といったら、「ネギ、からし、醤油で決まり!」と思っていたが、この新しいテイストはクセになりそうな予感! 写真ではごはんと一緒になっているが、ごはん抜きのおつまみとして海苔でくるんだり、オン・クラッカーでも実に美味しかった。

2. ウイスキーがススむ! 香ばしい“栃尾揚げ(とちおあげ)のみそチーズみょうが焼き”(P.57)


 栃尾揚げ(油揚げ、または厚揚げ)に、酒を混ぜた味噌を塗り、魚焼きグリルかトースターで少し焼き目がついたら取り出し、ピザ用チーズをのせ溶けるまで再度焼く。最後に小口切りしたみょうがをのせれば、できあがり。

 頬張った瞬間、シャキシャキの香り高いみょうがが口いっぱいに広がる。そして味噌の香ばしい風味、塩分のきいたチーズのコク、それから栃尾揚げの大豆の甘みが次々と押し寄せ、噛めば噛むほど旨みが増して美味しい! この夏スーパーでみょうがを見つけるたびに作りたくなる、定番のおつまみとなりそうだ。

3. お楽しみのシメの一杯! 日本人の魂揺さぶる、激ウマねぎあえそば!(P.111)


 器にオイスターソース、酢、豆板醤を混ぜてタレを作る。万能ねぎを小口切りにする。つけ麺用の中華麺を茹でて水気を切り、器のタレを絡めてその上にねぎをどっさりのせる。仕上げにフライパンで熱したごま油をかければ完成。

 “シンプル・イズ・ベスト”とはこのことだろうか! 熱したごま油をかけた瞬間に“ジュッ”とネギが焼ける音がして、香ばしいごま油とネギの香りがふわっと舞いあがる。ツンと鼻にくるネギの辛さ、シャキシャキとした食感、モチモチの太麺にタレが絡みつき、最後の喉ごしがたまらない。いったん食べ出したら箸が止まらない美味しさに、終始感動してしまった。

 その他にも、著者が“ヨーロッパ薬味の旅”で出会った料理や香草の面白い食べ方などが写真とともに書かれており、他国の文化も分かり読みものとしても興味深い。例えば、トルコではイタリアンパセリを皿にどっさり盛り、肉料理の箸休め的に食べたりするそうだ。

 さらに便利なことに、本の最後には薬味別、お酒別でレシピが掲載されている。

 本書を参考にしながら、薬味メインの料理とともに、美味しいお酒を味わってみてはいかがだろうか?

文=澤 ゆか