「限界」を決めているのは、自分自身? 5つの「思い込み」を疑うことで広がる“可能性”

暮らし

公開日:2017/7/21

『自分が信じていることを疑う勇気』(長谷川雅彬/きこ書房)

 最近、世の中の決まりごとや常識、自分の価値観に疑いを持ったことはあるだろうか? 幼いころ、若いころには「なんで、毎日学校に行かなきゃならないんだろう?」といった素朴な疑問を持ったもの。いつしか世間のルールはあたり前のことになり、みんながやっているから守るべきことという「思い込み」に変わってしまってはいないだろうか。

 そんな「思い込み」を疑うことで無限の可能性が広がることを教えてくれるのが、『自分が信じていることを疑う勇気』(長谷川雅彬/きこ書房)だ。著者の長谷川雅彬氏は、投資家、投資ストラテジスト、アーティスト、コンサルタントなどいくつもの肩書を持ち、世界各地で多彩な活躍をしている。本書では、著者自らの経験と、スティーブ・ジョブズやレオナルド・ディカプリオなど著名人の視点の持ち方の事例を挙げながら、いかにして多くの可能性を導き出すかをわかりやすく説いている。

 著者は、「私たちは自分が信じているようにしか物事を見ることができない」ことに言及。その上で、今まで漠然と信じていることに疑いを持ち、自分に問い続ける習慣をつけることで新しい視点が生まれ、その先に、それまで見えていなかった無限の可能性があるとしている。「疑う」ことから始まる発想の転換法には、「そう言われればそうかも」「痛いところを突かれている」と何度も思わされる。その中からいくつか紹介してみよう。

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■「二者択一」を疑う

 世の中は、白でも黒でもないことがほとんど。どれかが絶対に正しいなんてことはあり得ない。二者択一の思考ではそれ以外の可能性を見失ってしまう。

■「価値観」を疑う

 特定の価値観を受け入れることで、常識という行動規範が共有される。価値観の異なる集団に入れば、常識も変わる。常識を肯定も否定もせず、根底にある価値観から一度距離を置いて自由になれば、新たな可能性を見いだせる。

■「時間」を疑う

 過去が現在を作っているのではなく、未来という可能性が現在の自分を作っている。可能性(未来)は、自分が何を欲しいと思い、何をゴールにするか次第で変わるものである。

■「評価」を疑う

 すべての人に受け入れられようとすると、選択肢が極端に狭くなるもの。他人から好かれようとする前に、まず自分自身が一番自分を好きになること。自分の可能性やアイディアは、まず自分で価値を認めよう。

■「視点」を疑う

 思い通りにいかなかったとき、壁にぶつかって悩むのは物事の解釈が固定的だから。世界はすべて関係性によって成り立つもので、いくらでも変化する。物事をあるがままに見て状況を決めつけないこと。

 他にも、お金、本、神様、量子力学などさまざまな観点で、モノの捉え方や考え方についてのアドバイスが綴られている。

 天台宗で得度をして僧籍も持っているという著者。穏やかに導く言葉遣いはすっと受け入れやすく、自己啓発系の書籍に慣れない人にもおすすめ。テクノロジーの進歩によりいろいろなことが簡単にできるようになった今が、一歩前に踏み出すチャンスだそうだ。

文=三井結木