今日から改善! 残業ゼロを目指すならパソコン回りから見直せよ

ビジネス

公開日:2017/7/19

『最速のリーダー 最少の時間で最大の成果を上げる』(赤羽雄二/KADOKAWA)

 誰にとっても、時間は平等である。会社の環境によっては残業代で稼ぐという方法も取れるだろうが、ライフワークバランスの大切さも叫ばれる昨今では、できれば「残業ゼロ」を目指したい人びとも少なくないだろう。

 それに伴い、あらゆる“時短”仕事術の本も世の中には溢れているが、本稿では7月13日に電子書籍が配信された、『最速のリーダー 最少の時間で最大の成果を上げる』(赤羽雄二/KADOKAWA)を取り上げたい。本書は、日本の労働環境を批判的に捉える一方で、経営者や管理職、そして、現場で働く人びとにも役立つ具体的な職場環境の改善方法を提案している。

 その中から、今すぐにでもはじめられる「残業ゼロを実現する仕事術」を紹介していこう。

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◎「単語登録」や「テンプレート」でパソコン回りを見直す

 仕事は「どんどん加速できます」と主張する著者は、そのためのポイントとして「効率よく行うコツ」が必要であると示す。今や日常業務に欠かせないパソコン回りを見直すのも、残業ゼロを目指すための第一歩だ。

 例えば、文章作成や変換の手間を省きたいなら、日常的によく使われる言葉をあらかじめ「単語登録」しておくのもよい。著者はみずからの経験から、200ほどの言葉を登録したあたりで「自分はこんなに早くメールを書けたんだっけ?」と驚くほどになるというが、頻繁に使う短文やURL、メールアドレスなどを登録しておけば、メールや書類の作成にも役立つだろう。

 また、さらに効率を高めるなら、各種書類のテンプレートを自分なりに作っておくのもベター。報告書や議事録など、仕事上では日常的に様々な書類を作る機会があるはずだ。必要なときに入力するだけでよくなれば、それだけで次回から「3分の2~2分の1の時間で作成できるようになります」と著者は感覚を伝えるが、できれば、依頼や通知する文例なども用意して、パソコンのデスクトップ上でフォルダ分けをしておけばさらにはかどるはずだ。

◎事前の“仕込み”でいざというときのプレッシャーも軽減

 料理人が下ごしらえするのと同じく、ビジネスパーソンにとっても事前の仕込みこそが、仕事の質やスピードを上げる「鍵になります」と著者はいう。例えば、本書で提示される具体例は以下のようなものだ。

・企画書をつくることがわかっていたら、関連情報を先に集めておく
・出張前にはある程度の下調べをしておく
・重要なインタビュー時には、事前に関連情報に全部目を通しておく
・他部門との連携が必要なら、同期などに依頼して知識を増やしておく

 一見、当たり前に思われることばかりかもしれないが、意識しておくのとしていないのとでは動き出す瞬間の速さも変わってくるはずだ。また、著者は「少しでも頭出しをしておくのとそうでないのとでは、心の余裕が違い、初動が異なり、プレッシャーが違ってきます」と心理的な負担をやわらげる意味も持つと語る。

◎「即断即決」「即実行」をキーワードにミスも恐れぬ覚悟を!

 報告・連絡・相談は、社会人の基本ともいわれる。どんな仕事も一人で完結できるものは少なく、たいていの場合は、多かれ少なかれ誰かとの連携が必要になってくるだろう。その前提からすれば、場面によっては「いかに上司を巻き込み、うまく活かすか」が鍵になると著者はいう。

 ただ、その前に自分自身に対して肝に銘じておくことがある。それが「即断即決」「即実行」というキーワードだ。残業ゼロを目指すにあたり「スピード優先」の意識が必要だと著者は語るが、完璧主義に陥ることなく、時にはミスを恐れない姿勢も大切であると暗に示す。

 特に、経験が浅ければミスは尽きものである。ただ、その先で成長すればよいだけで、著者は「ミスがあってもあまり気にせず次の機会にチャレンジしているうちにミスもなくなり、スピードアップできる」と主張する。

 さて、いくつか紹介してきたが、すべてを今日からガラッと変えるのは難しいかもしれない。しかし、知っているのと知らないのとではきっと、仕事の効率も違ってくるはずだ。本書を手に取り、日常でふと思い出しながら、少しずつ身の回りの職場環境を改善していくのが望ましいといえそうだ。

文=カネコシュウヘイ