社会

日本中を席巻!ケント・ギルバートの啓蒙本はなぜ売れている? 2017年上半期ベストセラー新書と下半期ヒット予測

 2017年上半期のベストセラー新書(ノンフィクション・教養)にはどんな作品がランクインをしたのか? その興味深い結果は別表をご覧いただくとして、その上半期ベストセラー新書(※)の中から、ヒットの理由が異なる注目の3冊を紹介しよう。

 とはいえ、単なる書籍紹介では芸がない。ということで今回はゲスト・コメンテイターに「新書のプロ」である内田剛氏(株式会社三省堂営業企画室)をお迎えし、各作品に対するコメントや、下半期のヒット予測なども織り交ぜて“新書の未来予想図”を描いてみたい。

『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱(中公新書)』(呉座勇一/中央公論新社)

 最初に紹介するのは、『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱(中公新書)』(呉座勇一/中央公論新社)だ。「応仁の乱は、ほとんどの人にとって実態がわからない。ですからその知りたいという知的欲求に応えたことでベストセラーになったわけです」(内田氏)

 著者の呉座勇一氏も本書冒頭で応仁の乱が難解な理由を「なぜ戦乱が起こったのかよく分からないし、最終的にだれが勝ったのかもよく分からないからだろう」と記す。

 本書は11年も続いた応仁の乱が日本社会に残したものは何だったのかを探るべく、様々な史料にあたり、戦乱の分析のみならず、当時の人々の生活がどうだったのかを解き明かそうと試みている点が大きな特長だ。

『サイコパス(文春新書)』(中野信子/文藝春秋)

 次に紹介するのは『サイコパス(文春新書)』(中野信子/文藝春秋)だ。クールビューティという言葉がぴったりの、脳科学者でテレビ・コメンテイターとしても人気の著者。

「売れ行き良好の要因は著者のメディア露出の多さと、構成が極めて巧みでとても読みやすいことにあると思います。そして美貌もプラス要因ですね。新書の著者は多くが男性陣で、少々暑苦しい顔が並んでいますから(笑)」(内田氏)

 サイコパス(他者への思いやりや痛みに対する共感の欠乏が特徴)と聞くと、犯罪者を想起する人が多いだろう。しかし、本書には「勝ち組サイコパス」(犯罪とは繋がらず、身近に潜むサイコパス)も多く登場する。そうしたメンバーには、かのスティーブ・ジョブズ、マザー・テレサ、織田信長までもが含まれる可能性があるというから驚きだ。

 サイコパスとは、どういう考え方・性格・行動をとる人物で、どのような脳の機能障害が考えられるのかなど、サイコパスについてわかりやすく教えてくれるのが本書だ。

『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇(講談社+α)』(ケント・ギルバート/講談社)

 最後に紹介するのは、『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇(講談社+α)』(ケント・ギルバート/講談社)である。この数年、ケント・ギルバート氏の著者活動は留まることを知らない。

「すごい勢いですね。2015年4冊、2016年7冊で今年は上半期だけで既に7冊が発売されています。三省堂ではケント・コーナーを作って展開しています。平均的に人気がありますが、やはり本書『儒教~』が突出して売れています。

 これまではっきりと物が言えなかった隣国に対して、真っ当な意見を述べてくれていると共感している人が多いのでしょう。また、時代を遡った歴史観の蓄積はすごいですし、第三者の立場として客観視して論評することが、説得力にも繋がっています」(内田氏)

 儒教と聞けば、「徳の高い教えでは?」と思うだろう。そこで本書で著者が例にあげる「正直者」に対する孔子の考え方を紹介しよう。

 自分の父親が盗みを働き、そのことを子どもが知ったとする。もし、子どもが父の悪行を役人に明かしたら、その子どもは正直者か否か?

 孔子の考え方はこうだ。

「父は子のためには罪を隠してかばい、子は父のために罪を隠してかばうものです。この罪を隠すことのなかにこそ、正直の精神があるのです」

 つまり家族愛の名のもとに、「公」よりも「私」を優先してかまわないというわけである。この考え方を国際社会に転じれば、周辺諸国が何と言おうと、自国が良ければそれでよし、となる。著者はこうした特異な価値観が、中国が国際社会から孤立しがちな要因だと指摘している。そして本書によれば、中華思想を取り入れた韓国においても、同様の傾向が見られることになる。

 本書は、こうした「儒教の呪い」の歴史をひもとき、現在も着々と進められている対日工作である「儒教の陰謀」を解き明かし、日本人がどんな心構えで隣国たちと接するべきなのかを啓蒙するのである。

 さて、最後に下半期はどんな新書がトレンドになりそうなのか、内田氏の予測を紹介しよう。

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること(講談社現代新書)』(河合雅司/講談社)

「下半期の現在の1位は少子化問題をテーマにした『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること(講談社現代新書)』(河合雅司/講談社)です。先行きが見えにくい時代だからこそ、未来を知りたい、リスクを回避したいと願う人は多いでしょう。そのため、下半期はこうした予測本がベストセラーランキングに入ってくることが考えられます」(内田氏)

文=町田光

(※)日販トーハン調べ  集計期間2017年1月1日~2017年6月30日

 

上半期ベストセラーランキング 新書(ノンフィクション)部門ベスト10位

1位『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇(講談社+α)』(ケント・ギルバート/講談社)
2位『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱(中公新書)』(呉座勇一/中央公論新社)
3位『それでもこの世は悪くなかった (文春新書)』(佐藤愛子/文藝春秋)
4位『サイコパス(文春新書)』(中野信子/文藝春秋)
5位『言ってはいけない 残酷すぎる真実(新潮新書)』(橘 玲/新潮社)
6位『雑弾力(PHP新書)』(百田尚樹/PHP研究所)
7位『テレビじゃ言えない(小学館新書)』 (ビートたけし/小学館)
8位『怖いほど運が向いてくる! 四柱推命(青春新書プレイブックス)』(水晶玉子/青春出版)
9位『本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方(SB新書) 』(堀江貴文/SBクリエイティブ)
10位『すべての教育は「洗脳」である 21世紀の脱・学校論 (光文社新書)』(堀江貴文/光文社)

この記事で紹介した書籍



この記事の画像

TOPICS

最新記事

もっと読む

人気記事ランキング

ダ・ヴィンチ×トレインチャンネル

特集


ダ・ヴィンチニュースの最新情報をチェック!

ページの先頭へ