『ONE PIECE』86巻 ベッジが企む「ビッグ・マム暗殺計画」の全容とママの恩人「マザー・カルメル」の存在が明らかに!

マンガ

公開日:2017/8/7

『ONE PIECE』86巻(尾田栄一郎/集英社)

 サンジを助けだすため、ビッグ・マムが開くお茶会と結婚式をぶっ壊すことに決めたルフィ。ジンベエは「ビッグ・マム暗殺計画」を企む“最悪の世代”の1人、カポネ・“ギャング”・ベッジと手を組むことを提案し、ルフィとその仲間たちは嫌々ながら共闘することになった。そして『ONE PIECE 86』(尾田栄一郎/集英社)では、ついに陰謀だらけのお茶会の幕が切って落とされた。

 暗殺計画を遂行するため、ベッジは完璧な作戦を考えたという。それはお茶会のとき、ママが座る席の真正面に必ず立てかけられる「写真立て」を狙う作戦だ。この写真にはママの恩人「マザー・カルメル」が写っている。たかだか写真だが、ママはなぜか宝同然に扱っている。前の茶会の際、給仕がうっかり「マザー・カルメル」の写真を壊してしまったことがあった。そのときママは給仕に怒るどころか、顔は青ざめ、我を忘れて聞いたことのない大音量の奇声を発したそうだ。「食いわずらいの癇癪」とは別の発作だ。周りにいる者は耳をふさいで鼓膜を守るのに必死か、奇声とともに発した覇王色の覇気でバタバタ倒れていったという。つまりこの写真を壊せば、会場中の猛者共の動きを止められるのだ。

 そしてこの計画の最大のポイントは、「ママ自身も弱る」ところにある。普段は「鉄の風船」の体を誇り、銃弾や砲弾を食らっても、街や船を壊しても、体に傷1つないママ。しかしカルメルの写真が壊れた前のお茶会のとき、ママはショックでひざをつき、その拍子にひざを擦りむいて血を流したのだ。写真を壊せば、お茶会の猛者共の動きを止められるどころか、ママの暗殺も遂行できる。

advertisement

 お茶会で出されるママの宝「マザー・カルメルの写真」を壊す。そのあと、シーザー・クラウンが用意した殺人兵器「猛毒ガス弾“KXランチャー”」をママに打ち込み、その首を討ち取る。これがベッジの考えた作戦だ。しかしワンピースファンならお分かりのように、この作戦は失敗に終わるのだった。

 お茶会の行方が気になるところだが、ママの恩人「マザー・カルメル」も気になるところ。ママとカルメルの関係を語るならば、63年前の新世界「エルバフ」までさかのぼることになる。当時5歳だったママだが、この頃からすでに怪物ぶりを発揮。そのせいでママは自分の住む国に甚大な被害を出し、面倒を見きれなくなった両親は、ママをエルバフの地に捨ててしまったのだった。なぜこの地を捨てる場所として選んだかというと、身分・種族を問わず、行く当てを失った子どもたちを引き取る「聖母」カルメルがいたからだ。ママもカルメルに引き取られ、カルメルの愛を受けながら育った。しかしある日、トットランドに巨人族が1人もいない理由につながる、とんでもない事件が起こったのだ。そしてママとカルメルの関係も恐ろしい結末を迎えることになる。

 陰謀だらけのお茶会の火ぶたが切られた86巻だったが、同時に登場人物たちの過去や内面も透けて見え始めた。それぞれの企てた陰謀がボロボロと崩れ落ち、お茶会の参加者の心情もポロポロとこぼれ落ち始めたのだ。86巻の最後、暗殺計画に失敗したルフィたちは大ピンチに陥る。迫りくるママと猛者共。果たしてルフィたちはお茶会から生きて帰ることができるのだろうか。

文=いのうえゆきひろ