『週刊SPA!』で連載中! 風俗嬢との激しい恋モノ『ロマンス暴風域』とまんしゅうきつこの『湯遊白書』が面白い!

マンガ

公開日:2017/8/11

『週刊SPA!』(扶桑社)

 皆さん、『週刊SPA!』(扶桑社)読んでますか? 毎号、40代オトコがモテる方法やら、低年収の生き残る道やら、キャッチーな特集をたくさん掲載している男性向け週刊誌です。男性向けであるがため、女性が手に取る機会は少ないかもしれません。が、それは実にもったいない。実は今、『週刊SPA!』で連載中の漫画が、かなり面白いと評判なんです!

 『週刊SPA!』の漫画といえば、『アラサーちゃん』(峰なゆか)が有名ですが、ここでご紹介するのは、昨年10月から連載をスタートさせた2作品。珠玉の恋愛物語と、銭湯物語です。

●騙されてる、それとも本気? 風俗嬢との恋!

 まずご紹介するのは、『先生の白い嘘』や『おんなのいえ』でおなじみの鳥飼茜先生が描く、『ロマンス暴風域』。風俗嬢との恋物語です。

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 主人公は、高校で美術の非常勤講師として働く「佐藤くん」30代半ば。恋愛経験はあるけれど、最後に付き合ったのはもはや数年前のこと。ぼんやりと、「こんな自分を愛してくれる人はいるのだろうか」と自問自答する日々を送っていました。そんなある日、何気なく立ち寄った風俗のお店で「芹香(せりか)」という女性に出会います。芹香の不思議な雰囲気に惹かれていく佐藤くん。まんざらでもない様子の芹香。そして、遂に佐藤くんは芹香を店外デートに誘うのですが……。

 自分だけに本音を打ち明け、さらには本気で好きだと言ってくれる芹香に、佐藤くんはどんどん夢中になっていきます。これだけ読むと、「ハイハイ、風俗嬢の色恋営業に惑わされる男の話でしょ?」と思うことでしょう。もちろん、筆者も最初はそう思っていました。ところが、この漫画、ただの風俗あるある物語ではなかったんです。暴風域というタイトルが示す通り、2人の恋はストーリーが進むにつれ、どんどん激しさを増していきます。

 物語は、佐藤くんの視点から描かれているため、芹香が何を考えているかまったく謎です。なので、読者は佐藤くんと同じように、芹香に振り回されてしまいます。

「結局、騙してるんでしょ?」「あれ、やっぱり本気で好きなの?」「いやいや、本当はどっち!?」……という心の葛藤が毎週繰り広げられるのです。でも芹香のことを嫌いになれません! なぜなら読者の思考は、佐藤くんと一体だからです! 恐ろしい漫画です。1話8ページという短さにもかかわらず、ストーリーが目まぐるしく展開していくため、読み応えも抜群です。

 第一部の連載はこの夏終了し、第二部の連載は、秋頃から再開する予定とのこと。読みそびれてしまった! という人、ご安心ください。第一部の単行本が、10月下旬に発売予定です。単行本を読んでから、『週刊SPA!』を毎週チェックすれば、スムーズに第二部から読み始めることができます。

 衝撃の事実が明らかになった第一部のクライマックス……。まだ読んでいないという人はぜひぜひ、単行本を楽しみにしていてください。

お互いの想いを確かめ合う佐藤くんと芹香。普通のカップルのように見えるが……。

 

●サウナと水風呂の魅力に取り憑かれる!

 『ロマンス暴風域』と同じく、昨年10月から始まったのが、まんしゅうきつこ先生による『湯遊白書』。きつこ先生が、銭湯の魅力に取り憑かれていく様子が描かれた、エッセイギャグ漫画です。

 第1話は、きつこ先生が、弟夫婦の暮らすビルの一角に仕事場を移したところからスタート。心にモヤモヤ(?)を抱えるきつこ先生の身を案じた弟さんが、きつこ先生にサウナに行って汗を流してくることを勧めます。こうして、きつこ先生の銭湯生活が始まっていくのです。

 最初は銭湯のしきたりや、マナー、どこの銭湯にも必ずいる「主(ヌシ)」と呼ばれる人々とのやりとりに辟易するきつこ先生でしたが、段々と慣れていき、銭湯を心から楽しむまでに成長。水風呂に冷たくて入れなかったきつこ先生が、サウナと水風呂を繰り返すほどにハマっていく過程が描かれています。特に、主たちとのやりとりは、かなり面白いです。銭湯に行ったことのある人ならば、きっと「ああ、こういうオバちゃんいるよね……」という気持ちに。女風呂のリアルが描かれています。

 毎週銭湯に行ってサウナと水風呂を楽しんでいるきつこ先生ですが、たまに弟夫婦とやりとりするだけの回も。『まんしゅう家の憂鬱』を読んだ方ならおわかりだと思いますが、弟もかなり曲者です。さらにその嫁も妙なので、“お家編”もかなり笑えます。家に霊がいるかもしれないとパニックになる回はかなりオススメです。『湯遊白書』も単行本1巻が、来年3月7日(サウナの日)に発売予定なので、こちらも要チェックですよ。

銭湯の主と対峙するきつこ先生。主は複数おり、いずれも強者揃いだ。

お家編のほか、編集者編もオススメ。表情に得体の知れない何かを感じる。

 

 2作品とも、女性にこそ読んでもらいたい作品。男性誌だからと敬遠していた女性も、この機会に『週刊SPA!』デビューしてみてはどうでしょうか。

文=中村未来(清談社)