『SNSで夢を叶える ニートだった私の人生を変えた発信力の育て方』――第1章 叶わなかった初恋 ~ほろ苦いSNSとの出会い~

エンタメ

公開日:2017/9/15

●怒りや悲しみ、ネガティブな発信はしない


私はアイドルを辞めた後、普通の高校生に戻りましたが、落ちぶれたと思われたくなくて、ツイッターで精一杯、「今でも幸せです」とリア充アピールをしていました。
別につぶやきたいことがあるわけでもなく、ただ見栄(みえ)をはるためだけに「今日も一日楽しかった」とか、「クッキーがおいしかった」とか、毎日楽しく過ごしているかのようなツイートをしていました。

でも、その頃は何をつぶやいても、アンチからの否定的なリプ(リプライ=返信)が来るばかり。
「おはよう」とつぶやくだけで、「死ね」とか「おっぱい見せろ」、そんなリプが毎日のように来ていました。「おやすみ」とつぶやいても、「おっぱい見せろ、死ね」。
何をつぶやいても同じような反応。みんな私のファンではないので、好き勝手に言いたい放題です。
私もそれに対して落ちこんだ暗いツイートをしたり、怒ったりしていたので、アンチは余計盛りあがります。情緒不安定だと、叩く隙(すき)ができてしまうんですよね。
そんなツイートをした後で「今日も楽しかったです」とつぶやいても、なんの説得力もありません。見栄をはって幸せアピールをしているのがバレバレで、そこでまた「嘘つくな」と叩かれる……完全に負のループにはまっていました。
今思うと、ここまで言われるのって逆にすごくない? と笑い話にできるのですが、当時は辛かったです。フォロワーが6万人いるといっても、マイナスでしかない。

そして、ネガティブな発言はアンチを過激化させる元にもなっていました。
HKT48脱退後、私は福岡でのイベントを自主開催していたのですが、人数が集まらないことも多く、苦戦する日々。
そこで、「今日もファンイベントに来てくれた人が少なかった」とつぶやいたことがあります。こう言ったら、心配して次のイベントに来てくれる人が増えるかな? と思ったのです。
でも、これは完全に逆効果。それまで野次馬的な、ひやかすようなリプが大半だったのが、突然、脅迫のようなものが届いたのです。
イベントのチラシを破って焼いている動画や、私のポスターをハサミで切り刻みながら、「あっはっはっは」と笑う動画が送られてきたり……。
このときはさすがに怖くなりました。
私がHKT48を辞めたことでメンバーに迷惑をかけた部分もあるので、私のことが嫌いな人もいるだろうな、というのは分かりますが、ここまで憎まれなきゃいけないのか……とショックを受けました。

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でも実は、これは私の発信方法が悪かったのです。
ネガティブなことばかりを発信していたから、ネガティブなものを引き寄せてしまった。
怒りや悲しみなど、負の感情はアンチを作りやすいのです。
なぜなら、叩きやすいから。
自分が仕事やプライベートでうまくいかないとき、自分より辛そうな人を見つけると、ちょっと安心してしまうこと、ありませんか?
「好きな人にフラれて辛いけど、あの子のフラれ方に比べたらまだマシ」とか、「仕事でミスをして上司に怒られたけど、あの子の方がもっとひどいミスをいっぱいしているから、私はまだ大丈夫」とか。
人間って、そう思ってしまう生き物だと思うんです。
SNS上では顔が見えない分、その気持ちがエスカレートしてしまう人がいます。うまくいっていない人を見つけては、悪口を言い、叩くことで、その人より自分が上位にいるという安心感を得たい……。
今ならそういうことも分かるのですが、当時は真に受けて悩んでいました。
私はエゴサーチ(自分の名前を検索すること)もしていたので、リプライ以外のデマやひどい悪口もどうしても目に入ります。
グループ脱退の理由以外にも、ヘンな噂が事実であるかのようにひとり歩きすることはめずらしくなく、それを信じた人たちが「ゆうこす、マジ最低だな」とまた悪口を書いて拡散する。そんな負の連鎖が止まらないのです。

「死ね」と言われながら「私は辛くない!」と幸せアピールをする。
本当に地獄でした。
朝を待っているのに、ずっと外は暗いまま。永遠に明けない夜から抜け出せない日々。
「これからも頑張るから応援してほしい」という気持ちで始めたツイッターだったのに、この頃はアンチとの戦いの場でしかなかったのです。

●人はポジティブなものに惹かれる


今なら私も分かります。
「人はポジティブなものに惹かれる」ということが。
みんな、ワクワクするものについていくんです。
でも当時は、自分が「ネガティブなことを発信している」という自覚すらありませんでした。

私もそうでしたが、ネガティブな発信をする人は、意外と多いんです。
例えばアイドルが「このCDが売れなかったら解散します」と崖っぷち感をあおってCDを売る。これもネガティブな発信です。そう言ったら売れると思っているのかもしれませんが、長い目で見たらそんなことはないと思います。
情緒不安定だったり、同情を誘う投稿も同じようなもの。
フォロワーを増やしたいと思っているのに、わざわざ応援しにくい雰囲気を作っているんです。これは、応援してくれている人にも失礼だと思います。
実は、私も自分がどれだけネガティブだったか、改めて実感した経験があります。
つい最近、フォロワーの女の子が「私、昔からゆうこすのこと好きだったの。3年前くらいにゆうこすからもらったリプ、これなんだよ」と言って見せてくれたのですが、その内容があまりにも暗くてびっくりしました。
その子は「どうしたら、ゆうこすみたいにかわいくなれるの?」と送ってくれていたのですが、私は「いや、私は全然かわいくないです。鏡を見て泣いちゃうくらい。自分のダメなところと向き合わなきゃ……」みたいなことを、絵文字もなく返していたんです。
……暗い。暗すぎます(笑)。
今だったら「ありがとう!」って普通に返すのに!
その女の子は、「今のゆうこすが元気なこと発信してて嬉しい」と言ってくれて、泣きたくなるほど感動しました。こんな返信が来てもファンをやめずにいてくれたことには、感謝の気持ちしかありません。

でも、これはめずらしい例。
たいていの場合、ネガティブな発信は、ネガティブなものしか引き寄せません。
ネガティブな投稿を繰り返していると、ネガティブなフォロワーしか増えないので、気をつけた方がいいと思います。
私も今は、応援してくれる人のためにも、後ろ向きな発言はしないと決めています。

>>本当の自分とかけ離れた投稿には意味がない。