『SNSで夢を叶える ニートだった私の人生を変えた発信力の育て方』――第1章 叶わなかった初恋 ~ほろ苦いSNSとの出会い~

エンタメ

公開日:2017/9/15

●本当の自分とかけ離れた投稿には意味がない

ツイッターを始めて半年が経った頃、私は料理アイドルとしての活動を本格的にスタートさせます。
きっかけは、「料理タレントにならない? 料理本を出して文化人になろうよ! そしたらイメージを変えられるよ」と街でスカウトされたこと。料理の道に進みたいとツイッターでも書いていたので、興味を持ってくれたのです。
地獄にいた私からしたら、魔法のような言葉。今思うと、そう簡単に料理本なんて出せるわけがないのに、その言葉を信じてしまいました。
他にやりたいこともないし、料理はクリーンなイメージがあるし、これで飲酒・喫煙のイメージが消えるならやりたい! と、事務所に所属することにしました。
芸能界に戻りたいわけでも、もともと憧れがあったわけでもなかったのに。
料理アイドルという新しい肩書きができれば、もう叩かれることはなくなるんだと信じていました。

本格的に料理を学ぶため、高校卒業を機に東京の「服部栄養専門学校」にも通いました。
東京に出たのは、スキャンダルのせいで地元にいづらかったから、という理由もあります。その頃はどこにいても悪いイメージがつきまとい、学校でも嫌がらせを受けていたので、逃げるように上京したのでした。
ゆうこす3分クッキング」というアメーバブログも始め、シュークリームの作り方を書いたり、自炊した料理を載せ、料理してます! アピールをしていました。「毎日が充実しています」という言葉もよく使っていました。
ツイッターにも手書きのレシピ画像などの料理に結びつけた投稿を。「食育体験ツアー」を開催し、ファンの方と一緒に農業や漁業を体験したりもしていました。
学校にも真面目に通って、2014年3月には無事に卒業し、調理師免許と食育インストラクターの資格を取得。
料理アイドルとして順風満帆なスタート……のはずでした。

でも、いくら待っても料理本を出してもらえる気配はありませんでした。それどころか、グラビアDVDを出さないと本は出せないとか、よく分からない地下アイドルのイベントに出なさいと言われるように。
あぁ、だまされてたんだ……。
ようやく気づいた私は、その事務所を辞めることを決意しました。
せっかく料理本を出そうと頑張っていたのに、突然、目標がなくなってしまった。その絶望感から、再び精神的に不安定になりました。
東京にいる意味もなくなり、私は心配した両親によって福岡の実家に連れ戻されることになります。

advertisement

一番のどん底は、この頃でした。
学生でも料理アイドルでもない私には、夢も目標も、何もありませんでした。収入も、もちろんゼロ。ニートとして部屋に引きこもる日々が続きます。
LINEの友達登録もゼロにして、友達との連絡も絶っていました。みんなが私をバカにしている気がして、人と関わるのが怖くなってしまったのです。

それでも、ツイッターでつぶやくことだけはやめませんでした。
こんな状態になってまでも、「私は落ちぶれてない、不幸なんかじゃないんだ」とアピールするためです。そのためだけにSNSをやっていました。私って、本当に見栄っぱりですよね(笑)。
事務所を辞めたとは言え、フォロワーにはだまされたことを知られたくなかったし、せっかく料理学校を卒業したんだから、やっぱり料理でいかなきゃ! と思ったり。
葛藤(かっとう)した結果、ツイッターでは相変わらず”料理アイドルとして充実した日々を送っている私”を装いました。
でも、そんな発信のモチベーションでいい投稿ができるわけもありません。クオリティの低い料理の画像を投稿し、無理やり料理に関連づけていたというのが実情で、それも2ヶ月に1回くらいの頻度でした。
それ以外は「おはよう」「今日はこれをしてきます」とか、相変わらず誰も必要としない情報をツイートして、たまにフォロワーに求められるままに水着の自撮りを載せる、という全く統一感のない投稿。
料理を心からやりたい! と思えていなかったし、料理アイドルってなんやねん、と自分でも思っていたんです。
それは、私の発信に如実に表れていたのでした。


●ブレているうちは、失敗する

結果として、料理アイドルとしてのファンは一人も増えませんでした。
当たり前ですよね。応援する側からしたら、私が何をしたいのかが分からない。料理に対する熱量も見えないし、どこが応援ポイントかも分からない。
中途半端な夢を語って、中途半端な情報を発信している人に、ファンはついてはくれないのです。
フォロワーは増えるどころか離れていく一方で、相変わらず多くのアンチからのリプも来ていました。

ここから学んだのは、「本気で好きじゃないことを発信しても失敗する」ということ。
自分が楽しくないと、どうしても“楽しくないオーラ”が出てしまう。それは読者にも見抜かれてしまいます。
そして、投稿の方向性がブレると、アンチが叩く隙ができてしまう、ということも分かりました。料理アイドルと名乗っているのに水着写真を投稿したりなんて、ブレブレですよね。
ブレるから叩きたくなるんです。
たとえ叩かれても、それが本当に好きなことだったら、反省して次に活かそうと思えるのですが、特にやりたいことでもないのに叩かれると、どんどん辛くなっていきます。
次第に、ツイッターを開くのも嫌になっていきました。

でも、今になって思うと、当時のどん底もよかったなと思うのです。
アンチへの耐性ができたし、SNSのダメな使い方も知ることができたのだから。
このときの経験があったからこそ、私はブレなくなったし、本気で好きなこと以外はやらないようにしようと思えました。
毎日SNSで戦い、叩かれることに飽きた私は、どうせ叩かれるならこれからは自分の好きなことだけ、やっていてワクワクすることだけを発信していこう! と決めたのです。