「おそ松さん」特集番外編【ダ・ヴィンチ2017年11月号】

特集番外編1

2017/10/6

「おそ松さん」特集番外編【ダ・ヴィンチ2017年11月号】

奇跡の6つ子キャスト表紙!

編集M井

(※のっけからすみません、私は気合いの入った特集時にはいつも番外編が長くなるため、、体調の良い時にでも読んでください……)

 8月中旬。私は頭を抱えていました。
「世に言う死亡フラグってこれか……」

 昨年(4月6日売り号)弊誌では、「松ロスするにはまだ早い!」と銘打ち『おそ松さん』総力特集を組ませていただきました。
 当時、大変恐縮ながらアニメをあまり観る機会がなかった私は、特集番外編にありますように、『おそ松さん』に急激にどハマリし、自分が“松ロス”したくないとばかりに、最終話終了後にも関わらず、弊誌で大特集を組ませていただいたのでした。(ちなみに表紙は大泉洋さん&6つ子に飾っていただいた号だったので、発売後、大泉さんに「すごい反響です!」と報告したところ、「いや、6つ子さんでしょ!」とまさかの「さん付け」で返信をいただきまして……)

――そして今秋。その「6つ子さん」たちが帰ってくる!!
「お待ちしておりました!」と、楽しみでしかない私と編集Tは、前特集号とは逆にスタートダッシュしたいんです!と、いつも大変お世話になっている宣伝ご担当者様に、早々にこうお願いしておりました。
「6つ子の声優さんキャストで表紙撮影をお願いできませんでしょうか?」
「出来たら全員黒スーツでお願いします!(大人の男性はスーツが素敵)」

 するとすると……!ご担当者様&関係者皆様のご尽力のおかげで、奇跡の企画が実現となったのです!
(皆様には心より感謝いたします。本当にありがとうございました。涙)

 しかしながら……!です。※一行目に戻る
 個人的なことで恐縮でございますが、今年、私は担当作家の先生方の書籍刊行ラッシュ・イヤーでございました。年明けから編集作業に入った星野源さんエッセイ集『いのちの車窓から』が春に刊行、そして8月31日には、長編小説『騙し絵の牙』が発売。
『騙し絵の牙』は<主人公に大泉洋さんをあて書きした小説>で、業界的にも新しい企画であり、また昨年数々の賞を受賞し、<いま一番次回作が待たれている>と言われている社会派作家・塩田武士さんのその期待の「新刊」でございました。ですので、情報解禁と同時にたくさんの取材オファーをいただき、更には全国書店さんへのご挨拶が控えていたのです(※小説は発売されると同時に作家とと書店さんへご挨拶へ伺ったりします)

 その『騙し絵の牙』の取材&書店訪問と、『おそ松さん』特集号の撮影&特集作業の日程が!!丸かぶってしまっているじゃないか!!

 ああまずいこのままでは『おそ松さん』表紙が担当できなくなる、というか、私今年休みもないまま走り続けてるから倒れるかも、いやでもおそ松だけは(当時の葛藤の心の声)。

 そこで私は、意を決して著者の塩田さんへ電話をしたのでした。

「あの……ご相談がございまして……。じ、実は、9月に『おそ松さん』の特集作業がありまして」
「ああ、M井さん、『おそ松さん』好きやもんねえ」
「はいそうなんです……。それで、お願いがございまして……」

「9月の書店さんへのご挨拶および取材、お任せさせていただけませんでしょうか?」
(※編集はマネージャーさんみたいな役割もありまして、取材や書店さんへのご挨拶は作家に同行するのが当たり前で、にも関わらず「すみませんがそれを一人で行ってくれませんか?」と言っている最悪な編集者)

 すると数秒の沈黙後、塩田さんは明るく「大丈夫大丈夫! おそ松さん大切やわ~」と快諾くださり、結果、9月には「小説家の塩田です~」と、人気作家自らが一人で書店様に訪問されるという……他社の塩田さん担当編集者に知られるとマジで怒られそうな、大事態を引き起こしてしまったのでした……。(ちなみに本日コメンテーターとして「スッキリ」生出演されております)
あの時は、本当に申し訳ありませんでした!(この場を借りて謝罪させてくださいませ。 涙)

 そうしてこうして、担当作家に迷惑をかけながら、無事(?)迎えた撮影9月当日。

 いま声優界で第一線を走る人気声優6名が揃ったスタジオの現場は、もう!「圧巻」の一言でございました……!
 日本のアニメは世界へ発信する<誇れる文化>であり、世界中には多くの日本アニメファンがいます。そしてそれは、声を担う声優さんたちも然りなのです。(彼らのイベントなどに足を運べば、世界中のファンから「●●(国名)のファン一同」と花が贈られていたりもします!)
 そんな「世界中」を魅了し、熱狂させ続ける「声」の演じ手<大人気声優>が6名も、目の前に揃ってくださっているのです!
 想像してみてください。。震えます(この貴重さ、すごさが伝わって欲しい、と心から思う次第です)。

 さて、実は前述に塩田さんから「おそ松さん大切やわ~」いただいたお話しですが、それは私にとってはまさに「そうなんです」という言葉でございました。
『おそ松さん』はそれまで無知だった私にとって、<アニメの楽しさ>を教えてくれ、また生きてきたなかでまた一つ「楽しみ」をくれた、本当に大切な作品であります。
 また『おそ松さん』を機に声優界を知ることが出来(知れば知るほど彼らのプロッフェショナルな技術の集結に感動する)、また耳を澄ましてみれば、世の中が、そして世界がどれだけ彼らの声に溢れているのかを知ることになりました。

 以前の特集番外編でも述べましたが、「好きなこと」が増えるということは、毎日を楽しくしてくれることであり、そういうものに出会えることは大変幸せなことでもあります(大人になるほど失っていくのかなあと思ったり)。そして更に私にとっては、見えていた世界をまた、広げてくれた瞬間でもありました。

 ですので、同じように『おそ松さん』2期放送を機に、未見の方が前期と同様にたくさん今作にハマっていただければ嬉しいなと思います(その要素がたっぷりある作品です)。そうしてアニメを普段見られる機会のない方にも、プロの技が集結し、時代に寄り添い進化し続ける数々のアニメ作品の魅力に気付いてほしい。弊誌特集紙面が少しでもそれにつながれば、と願っています。

 そしてそして長くなりましてすみません! 最後になりますが、表紙解禁の際、読者の皆さまから大大反響をいただき、期待のお声を沢山いただいたので、表紙撮影時の裏話や感想(私もいっぱいいっぱいでテンパっていたので、うろ覚えで恐縮ですが)を、少しばかりですが、要約しながら書かせてくださいませ!

・今回、編集サイドの希望から黒スーツでしかも全身オール黒(靴もそうです)、チーフはそれぞれのカラーの衣装で、とお願いさせていただきました。

・クレジットで気づかれる方もいらっしゃると思いますが、櫻井孝宏さんのスーツは私服でご用意くださったものでした(すごいです……)。櫻井さんはスラリと背が高く、ひょうひょうとされていて、でもインタビューではふんわりまとめられる言葉が、スッと胸に刺さる。そして今号、扉の写真の櫻井さんあの「ポーズ」は、企画側としてもありがたく嬉しく、おかげで写真に“おそ松感”が出たように思います。(本当に感謝です)

・中村悠一さんはスーツの着こなしがめちゃくちゃ決まっていて、まったくブレがないその写真の出来具合に、シャッターを切る度に「かっこいい!」とカメラマン&ADが連発して叫んでおりました……!(全員男性)。以前、別企画で取材させていただいた際にも感じたのですが、カメラマン側として「撮りたくなる魔力」があるのだと思います。あと編集Tとずっと言っていたのですが、ひたすらにお声がカッコいい……!

・神谷浩史さんは、撮影時にワンショットごとにポーズを変えられるという凄みで(後日、副編集長が「神谷さん、すごくプロだと思う」と申しておりました)、インタビューでもロジカルな語り口にはとにかく感嘆!(インタビュー取材って、話がまとまらなかったり、質問から答えがそれたりすることも多いのですが、それが全くない)
さらに撮影後も最後まで残ってはスタイリストのアシさんが出られるのを最後まで一緒に待ってくださって……と。本当に素敵です!

・実は担当編集、唯一初めて取材させていただいた方が、福山潤さんだったのですが、もう私の中では「神対応」と呼ばせて頂きたい(笑)くらいです。スタッフ全員に気遣いの声をかけてけださったり(撮影後にふいにネクタイを外されていたので、「すみません、窮屈ですよね」と言ったところ、いやいや自分の首が太いだけですから!と笑顔で明るく返してくださったり……)、インタビューでは答えにくい質問に対しても、一番に回答しては場を回してくださる。表紙でお持ちいただいた本についても長く熱くお話しくださっていて、『ダ・ヴィンチ』編集者としては感無量でございました。(ぜひ別の機会で好きな本の取材をさせていただきたいです)

・小野大輔さんはいつも優しいほんわかとされた雰囲気で、インタビュー以外の場でも穏やかにお話くださいまして……!(ちなみに「目が綺麗すぎ!」と、これまた編集Tと騒いでおりました)
いつも懸命に本を選んでくださるのですが、今回選んでくださった本も「まさに!」と大納得な作品でして、本当に読書がお好きなんだろうなあ、と(予想)。また小野さんは執筆されているコラムからも伝わってきますが、あのお人柄が皆さんに愛されてらっしゃるんだろうなあ、と改めて感じました。ぜひ小野さんのご本も読んでみてください!

・一番お若い入野自由さんは、先輩方にかわいがられているような雰囲気が終始あって、ムードメーカーで、本当に素敵でございました! インタビューも的確にツッコみ、ツッコまれながら(笑)答えて下さり、彼が纏うその明るいオーラに、スタッフ陣皆がとても元気をいただけておりました。「トッティ」のあの可愛さは入野さんだからこそ、と思った次第です。

・そして、中村さんが選んでくださった本に対し全員が騒いでくださっていて(笑)、扉の撮影では良き笑顔のお写真をいただけましたこと、ここにこっそり報告いたします。

 撮影後、私はもっと『おそ松さん』が好きになりました。皆様本当にありがとうございました!

 

ついに、この日が……!!

編集T

 2017年10月2日深夜、久しぶりにテレビの前でリモコンを握り締めながら待機をしておりました。『おそ松さん』です。相変わらずのぶっ飛び&最高だった第一話について、今さら語るのは無粋ですが、あの、ひとつの作品を皆で待ち望んで、驚いて、笑って、楽しむ。 この一体感までを含めて「ああ、おそ松さんはやっぱり凄い!」そう実感した瞬間でした。

 あれから4日、ダ・ヴィンチ『おそ松さん&秋アニメ』特集号がようやく発売です。

 9月某所での表紙撮影、黒スーツに身を包んだキャスト6名が集結した瞬間に放たれたオーラ、いい意味での緊張感、そしてなんかもの凄く楽しそうな雰囲気!

 これを皆さんにお届けしなければ……。そんな気持ちで夢中になって誌面づくりに没頭し、そこからは長いようであっという間の日々。
 撮影当日のこぼれ話はM井がたっぷり書かせていただきましたので、私は特集の企画について簡単に振り返らせていただきます。

 『おそ松さん』描き下ろしイラスト 「6つ子全員黒スーツ」&オリジナルポストカード

 今回、キャストの皆さんに黒スーツで表紙を飾っていただくと決まった瞬間に、特集トビラを飾る6つ子たちのテーマも即決でした。「スタジオで撮影されている6つ子たち」カッコ可愛いです。必見です。

 乙一さん、松原秀さん対談

 前回のダ・ヴィンチ「おそ松」特集から続いてのご登場くださった乙一さんは、言わずもがなのおそ松ファン、その『おそ松さん』を手掛けている松原さんもまた、乙一作品の熱いファンなのです。そんな2人の対談が盛り上がらない筈がありません。第1期のあのエピソードは、乙一さんの『○○○○』が元になっていた!? という初公開の秘話から、「シリーズ構成」としての創作方法まで、お二人の話が止まっていたのは、差し入れで頂いた「あんみつ」に仲良く舌鼓を打たれている間だけでした。

 柚月裕子さん 書き下ろし小説『黙れおそ松』

 本の情報誌である『ダ・ヴィンチ』そして、読書の秋にかけて、「おそ松さん」×「日本文学」という新鮮なテーマで作品を書き下ろしていただきました。作品の随所に盛り込まれた「文学ネタ」。私も最初に拝見したときは半分も見つけられず……。みなさんどうぞ目を皿にして探してみてください。ちなみにタイトルの『黙れおそ松』は太宰の『走れメロス』からインスパイアされているそうです。

『十二大戦』安元洋貴さん、『Infini-T Force』関智一さん

 今回は『おそ松さん』以外にも、秋放送のアニメの中からダ・ヴィンチイチオシの作品と、その創り手の方々にもご登場いただきました。西尾維新×中村光原作『十二大戦』からは安元洋貴さん、タツノコプロ55周年記念作品『Infini-T Force』からは関智一さんがご登場くださり、それぞれの作品のプロデューサーと対談を。声優さんの原作や脚本の読み込みの深さや、それを声の演技にどんな風に昇華しているのか、そんな表現者の一面もを垣間見ることのできるインタビューです。

 語りだすととまらないのですが、あまりにも長くなってしまうのでこの辺で……。

 最後に、今回の特集はご登場くださった声優さんをはじめ、スタッフの皆さんの熱い「作品愛」「アニメ愛」に助けられて実現しました。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

「アニメ」ってやっぱりいいなぁ、そんなことを思い楽しみながら作らせていただきました。『おそ松さん』そして、アニメファンの皆さんにも楽しんでもらえたらとても嬉しいです!