落語に将棋・・・今マンガ界のブームは「和モノ」

マンガ

更新日:2012/5/24

『ちはやふる』の大ヒット以来、「和モノ」マンガが一ジャンルを為している。ダ・ヴィンチ3月号の「次にくるマンガ」特集では、次にくる有力「和モノ」マンガとして下記の作品を推している。

『昭和元禄落語心中』(1~2巻) 雲田はるこ 講談社KC×ITAN
『ひらけ駒!』(1~4巻) 南 Q太 講談社モーニングKC
『数奇です!』(1~2巻) 山下和美 集英社愛蔵版C
『路地恋花』(1~3巻) 麻生みこと 講談社アフタヌーンKC

歴史モノとは異なり、こちらは現代に息づく和の世界を、たとえば『ちはやふる』『とめはねっ! 鈴里高校書道部』のように部活を通じて描き、『昭和元禄落語心中』『ぴんとこな』のように芸事を通じて描くものだ。

 その一大勢力といえば将棋であろう。
『3月のライオン』『ハチワンダイバー』などのビッグタイトルのみならず、本誌読者には『ひらけ駒!』にもぜひ注目してほしい。作中ことさらに言及されることはないが、ここで描かれるのは今日的なシングルマザーの家庭である。しかし本作は「母子家庭」のステロタイプとも、将棋の古臭さとも無縁だ。ただそこにある母と子の世界、二人に共有される将棋という遊戯のおもしろさのみがひたすらやわらかに伝わってくるのである。わざとらしさとは無縁の、現在進行形のしなやかな和の世界がここにはある。

 一方、大都会・東京のど真ん中に、日本古来の数寄屋の一戸建てを作ろうと奮闘する自らの姿を描くのが『数奇です!』。ところが予算はもちろん、土地の問題、間取りの問題、建材の問題などなど、21世紀の現代に数寄屋を造ろうとすることがこんなにも大変なのかと、山下先生の努力には嘆息するばかりだ。『やっちまったよ一戸建て!!』に並ぶ「家モノ」コミックの傑作になりそうな予感である。

 舞台は江戸から京都へと移って、『路地恋花』。「京都」「職人」というキーワードとは裏腹に、製本、銀細工、キャンドル作家と、登場するのは「洋」な職人がほとんどなのは一体どうしたことだろう。というのも本作で描かれる「和」とは、職人ではなく路地という場にこそあるからだ。路地と長屋、そこに暮らす人々の触れ合い。それはたとえばが『数奇です!』の冒頭に山下先生が描いた「隣同士そでのふれ合う生活をしていたいにしえの世」そのもの。その変わらないものの中にこそ、私たちは和の本質を見るのである。

(ダ・ヴィンチ3月号 「次にくるマンガランキング」より)