非正規ループから抜け出せない就職氷河期世代、3年ごとに職場を転々とする派遣労働者…「非正規4割」の衝撃

社会

公開日:2017/11/29

“売り手市場”といわれる新卒の就職戦線の裏で、非正規から抜け出せずに苦しむ40代の現実を徹底取材した『非正規クライシス』が2017年11月20日(月)に発売された。

 同書は、2016年から2017年にかけて「朝日新聞」紙面に掲載された非正規労働に関する記事を大幅に加筆したルポルタージュ。同紙の記者3人が総力取材した「非正規雇用からなかなか抜け出せずにいる就職氷河期世代」「3年ごとに職場を転々とする派遣労働者」「図書館や保育所で働く非正規公務員の実態」「増え続ける非正規シニア」「2017年9月に判決が出た日本郵便裁判の最新事例」など、“非正規”にまつわる問題を取り上げている。

安倍政権が誕生した2012年から4年間で、役員を除く雇用者数は230万人増えたが、実に9割がパートやアルバイト、派遣社員といった非正規労働者の増加分だ。2003年に初めて3割台となった非正規労働者の割合は、2016年には37.5%まで上昇し過去最高が続いている。労働者数も初めて2千万人を超えた。「はじめに」より

 年収200万円以下の働き手も2割台半ばを占めるようになり、ワーキングプア(働く貧困層)の問題が深刻な状態になっている現代。同書では、少子化や税収減、景気回復の鈍化など、働き盛りであるミドル世代の非正規化がいかに日本経済のマイナス要因になっているかを解説していく。

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 放置すれば日本の将来に禍根を残す“非正規”をめぐる諸問題。朝日新聞記者3人が正面から取り組んだルポルタージュで“この国の危機”を知ろう。

北川慧一(きたがわ・けいいち)
朝日新聞特別報道部記者。1981年生まれ。福島総局、和歌山総局、大阪本社経済部、東京本社経済部を経て2016年10月から現職。厚生労働省や連合、電機・流通業界などを担当。

古賀大己(こが・だいき)
朝日新聞千葉総局記者。1976年生まれ。東京本社経済部などを経て2017年9月から現職。首相官邸や外務省で経済政策や通商交渉を担当してきた。

澤路毅彦(さわじ・たけひこ)
朝日新聞報道局編集委員(労働担当)。1965年生まれ。大阪本社経済部、東京本社経済部などを経て2013年4月から現職。

※掲載内容は変更になる場合があります。