2018年2月号 「ずっと読みたい あの人のマンガ」特集番外編

特集番外編1

2018/1/6

2018年2月号 「ずっと読みたい あの人のマンガ」特集番外編


素敵なマンガ家と出会える特集!

編集K

 昨年末某日。どん兵衛のビジョン広告と帰省客とでごった返す東京駅を脱出し、実家へと向う東北新幹線の中で、刷り上がった見本を眺めていた。「こいつらすごいなぁ」とニヤニヤしてしまう。

 小説家・佐藤正午さんの特集を作ったのはベテランの編集Iで、そこまでやるのかと素直に思ってしまった。『月の満ち欠け』で直木賞を受賞した佐藤さんの作品を、Iは以前からこのうえなく愛読していたと人づてに聞いた。彼女の枯れ専には全くついていけないが、30ページにわたる誌面には愛しか、ない。それが面白い。

 注目の小説新連載は「イミテーションと極彩色のグレー」だ。住野よるさんの言わずと知れた大ヒット小説『君の膵臓をたべたい』。そのカバーイラストを手掛けたloundraw(らうんどろーと読むそうだ)氏による、初の本格的な小説連載だ。雑誌のページをめくってこんなに驚いたのは久しぶりかもしれない。ここまで手を止めさせるイラスト、そうはないんじゃないですか。担当は本誌最若手のT岡くん。おつかれさまでした。

 よーし!と私も負けずに宣伝しておくと、今月はお馴染み連載「走れ!トロイカ学習帳」も良いですよ! はい、そこ一気に地味になったとか言わない。

  

 驚異的な好調ぶりを見せている『LDK』と『コロコロコミック』。両誌編集長に北尾トロさんがインタビューしているのですが……って便乗しているわけではなく、後半のドッキリ企画も含めて、北尾氏率いるチームトロイカらしい誌面になったと思います。本年もよろしくお願いいたします。

 さて、ここからが本題。

 こうした取材を続けながら「ずっと読みたい あの人のマンガ」特集を制作していて、考えさせられたことがある。

 毎度お馴染み「はい、K一人でやって」という愛すべき編集長(健忘症)の無茶振りに始まった本特集。企画段階から「ずっと読みたいマンガ」というワードが頭の中に浮かんでいて、その流れでまず取り組もうと考えたのは、通常の特集であれば1本しかない1万字規模のロングインタビューを4人の作家に同時に実施することだ。

 その中で改めて思い知らされたのは、弊誌で執筆してくださっているライター陣は、本当に凄腕だということ(弊誌ではインタビューと原稿の執筆をプロのライターさんにお願いすることがほとんどです)。

 ご登場いただいたのは、池辺葵さん、おかざき真里さん、益田ミリさん、ヤマシタトモコさんの4人。それぞれに松井美緒さん、立花ももさん、野本由起さん、吉田大助さんに当たっていただいた。

 池辺×松井のインタビュー現場は、二人が同世代のテレビっ子ということもあり雑談が6割の予定時間大幅超過。なのに原稿のテーマは孤独、ときている。おかざき×立花は、かつて作者と読者として「働き女子」のカルチャーで結ばれていた二人が、信仰(仏教)というテーマを巡って対峙した。益田×野本は、崎陽軒のシュウマイの匂いが立ち込める取材部屋に、神が舞い降りた。冗談抜きに必見。ヤマシタ×吉田は、年始を騒がせた駅伝の爽快さはそのままに、マラソンのように楽しめる駆け引きに満ちた原稿だと言いたい。

 4つのインタビューを通じて、ぼんやりと見えてきたような気がすること。それはやっぱり今回の特集を作り始めるとき頭の片隅にあったことで、ようは読者もマンガ家も生きてんねん!ということだ。特集の総括寄稿では、女子マンガ研究家の小田真琴氏に「同時代に生きるマンガ家と読者の連帯」というテーマで、その点を見事に可視化していただいた。脱帽。

 いろんな人に助けていただき、当初の思いつきが形になっていくのは本当に有り難いことだし、楽しいなと改めて思います。ご協力くださった皆様、本当にありがとうございました! この特集を通じて、一人でも多くの読者とマンガ家さん、作品とが出会えればいいなと願っています。

 年も本当にいろんな縁がありました。2018年も、なおのこと!

以上